ハムスターが夜中に回し車を回しはじめると、カラカラという音が部屋に響きます。検索すると厚紙をはさむ、緩衝材を貼る、潤滑剤をさすといった対処がすぐ出てきますが、回し車を作っているメーカー自身が音について何を書いているかは、あまり知られていません。
三晃商会とジェックスの取扱説明書には、どちらも異音の原因がはっきり名指ししてあります。しかも片方は、自社のホイールについて無音ではないと断りを入れています。
この記事では、両社の取扱説明書をそのまま読んで、メーカーが音の原因として挙げていること、洗ってよい部分と洗ってはいけない部分、それに取扱説明書へ書かれていないことを順に見ていきます。手元の回し車がどちらの製品でも、確かめる場所が分かるようにまとめました。
サイレントと名前が付いていても、無音ではないと書かれている
回し車やケージの商品名には、サイレントや静かという言葉がよく入っています。ところが取扱説明書を開くと、その言葉の意味はきちんと限定されていました。
三晃商会は取扱説明書に断りを入れている
ルーミィ60 グランスペース クリアーの取扱説明書には、販売者の欄のすぐ横に、枠で囲まれた一文があります。
サイレントホイール フラットは無音ではありません。(従来のホイールに比べ回転時に発生する音が静かなホイールです。)
サイレントは無音という意味ではなく、従来のホイールと比べた話だということです。同じ囲みには、どこまでが仕様の範囲なのかも続けて書かれていました。
生き物の生活音や若干の回転音、また、生き物が本品を使用している時にケースが揺れる事によって発する音に関しましては、ご容赦いただきますようお願いいたします。
ケースが揺れて出る音まで書いてあるので、ホイールそのものではなくケージ全体が鳴っている場合も、メーカーは想定していることになります。この一文を先に読んでおくと、どこまでが仕様でどこからが異常なのか、見当がつきます。
同じ会社でも、版によって書いてあることが違う
ただしこの囲みは、どの版にもあるわけではありません。三晃商会が公開している取扱説明書のうち、新しいほうにだけ入っていました。
| 取扱説明書 | 同梱されているホイール | 「無音ではありません」の囲み |
|---|---|---|
| ルーミィ・グランスペース クリアー(202208) | サイレントホイール フラット | なし |
| ルーミィ60 グランスペース クリアー(202303) | サイレントホイール フラット21 | あり |
販売者の欄も仕様表もほぼ同じ作りなので、新しい版で足されたように見えます。とはいえ同梱されているホイールが別の製品なので、同じ製品にあとから書き足されたとまでは言えません。手元の説明書に見当たらなくても、メーカーの考え方はこの文から読み取れます。
ジェックスは製品名のほうに書いている
ジェックスの場合は、同じ趣旨が商品情報のページに出ています。ケージの名前が「グラスハーモニー360プラス【とっても静かなハーモニーホイール付き!】」で、静かであるとは書いていても、無音とは書いていません。
取扱説明書が異音の原因として名指ししていること
両社の説明書には、異音という言葉がそのまま出てきます。しかもどちらも、どういうときに異音が出るのかを具体的に書いていました。
取り付けがはまっていない
ジェックスの取扱説明書は、ホイールを取り付ける手順の途中で確認を求めています。
シャフトのネジ元にある凸部(図1)と、ホイールの中心部にある切り欠き部(図2)がきちんとはまっているかを必ず確認する。
そして、なぜ確認するのかという理由が、注記として添えられていました。
はまっていないと異音などが発生する原因となります。
三晃商会のほうは、取り付けが最後まで進んだかどうかを音で確かめる方式です。説明書の図には「カチッ★と音がする所まで回し切ります。」とあり、手順も文章で示されています。
受け部と回転パーツには、取り付け用のガイドマーク(△)があります。△同士が向かい合うようにはめてから、回転パーツのカバーを回転させて、奥まで回しきりましょう。
どちらも道具が要らないので、音が気になったときに最初に確かめられます。いったん外して、はめ直すだけです。
ベアリングが濡れてサビた
もうひとつは、両社がそろって書いている原因です。ジェックスの説明書には、お手入れの手順の横にこうあります。
シャフト内部のベアリングには、金属パーツを使用しています。水で洗わないでください。ベアリング部分がぬれるとサビが発生し、異音などの原因になります。
三晃商会も同じ部品について、より強い言い方をしています。
回転パーツ内部には、ベアリング(金属部品)が内蔵されています。絶対に水で洗わないで下さい。ベアリングがサビて動かなくなります。
会社が違っても、音の出どころとして同じ部品を挙げているわけです。以前に回し車を丸ごと水につけた覚えがあるなら、ここが有力な候補になります。
洗えるところと洗えないところは分かれている
ベアリングを濡らしてはいけないとなると、では掃除はどうするのかという話になります。両社とも、洗える部分と洗えない部分を部品ごとに分けて書いていました。
三晃商会の説明書では、ホイールの図に「洗浄可能」と「ベアリングシステム(水濡れ厳禁!)」というふたつのラベルが振ってあります。手順のほうも、部品を分けて書かれていました。
ホイールを洗浄する場合は回転パーツを外し、ホイール本体のみをお手入れして下さい。
外したあとのホイール本体については、使ってよいものと避けるべきものまで指定があります。
ホイール本体のお手入れには柔らかい布か、スポンジを使用して、水、またはぬるま湯で洗って下さい。金属製のタワシや薬品、60℃以上のお湯の使用は、キズや変形、変質の原因となります。
乾かし方にも条件が付いていて、生乾きのまま戻すことは想定されていません。
お手入れ後は完全に乾燥したホイール本体を、再び回転パーツの凹凸と合わせて取り付けます。
ジェックスも流れは同じで、シャフトからホイールを外してホイールだけを洗い、水気を拭き取ってから戻します。ただしお湯の上限だけは、三晃商会と数字が違っていました。
| 三晃商会 | ジェックス | |
|---|---|---|
| 洗える部品 | ホイール本体 | ホイール |
| 洗ってはいけない部品 | 回転パーツ(ベアリング) | シャフト内部のベアリング |
| お湯の上限 | 60℃以上は不可 | 70℃以上は不可 |
| 洗うときに使うもの | 柔らかい布かスポンジ | 柔らかい布やスポンジ |
数字が違うので、手元の製品の説明書に合わせることになります。どちらにしても熱いお湯は想定されていないため、低いほうの温度に寄せておくと確実です。
取り付ける場所は、はじめから選べるようになっている
音が気になると、回し車とケージのすきまに何かをはさみたくなります。ところが取扱説明書を読むと、両社とも取り付け位置そのものを選べる作りにしていました。
ジェックスのケージには、ホイールを付けられる穴が複数あります。グラスハーモニー360Plusは背面3ヶ所、マルチ300と300Cubeは側面と背面を合わせて計7ヶ所です。三晃商会も同じ考え方で、どの穴を選ぶかの基準まで書いています。
ホイールの取り付けの際は、ハムスターがホイールを回した時、他の部分に干渉しない穴へホイールジョイントを設置して下さい。
何かに当たって音が出ているなら、当たらない穴に移すのが先、ということです。さらに三晃商会は、すきまそのものについても注意を書いていました。
ホイールはハムスターが隙間に挟まらないように、その他の用品から離し、ハムスターが安全に過ごせるように、余裕を持ったレイアウトでご使用下さい。
すきまを埋める方向ではなく、すきまに体が入らないよう物を離す方向です。はさみ物を足す前に、付ける穴をひとつずらすことができます。
置き場所についても指示があります。ジェックスの説明書は「人通りの激しい場所、振動のある場所には設置しない。」と書き、「本製品は、水平が保たれる安定した平面に設置してください。」としています。床が傾いていたり、人がよく通る場所だったりすると、ケージごと揺れる音が足されます。
音を抑える部品は、はじめから付いていることがある
緩衝材を貼るという対処もよく見かけますが、ジェックスのケージには、すでに同じ役目の部品が付いています。
ホイールホルダークリアの振動によるがたつき音を抑える、静音シートを装着しています。※剥がさないでください。
がたつき音を抑えるために最初から貼ってあるもので、剥がさないようにと指示が添えられています。掃除のときに保護シールと間違えて取ってしまうと、がたつき音を抑えるための部品が無くなることになります。
なお、ジェックスの説明書によると、マルチ300にはこの付属品がありません。同じシリーズでも構成が違うので、手元の説明書の付属品の欄を見ると分かります。
ホイールの音という点では、猫用の大きなホイールにも似た話があります。選ぶ段階で静かさをどう見るかは、こちらにまとめています。

取扱説明書に書かれていないこと
ここまでは書いてあることを見てきました。反対に、読んでも出てこないことがひとつあります。油と潤滑剤の話です。
全ページを読んだ3冊、つまり三晃商会の2冊とジェックスの1冊に、油をさす、潤滑剤を使うといった手入れは出てきませんでした。お手入れとして書かれているのは、水かぬるま湯で洗い、水気を拭き、完全に乾かしてから戻すという流れだけです。
当編集部は、油をさしてよいかどうかを判断しません。それを決められるのはメーカーだけです。ただし、関係する指示なら取扱説明書に書かれています。
分解・改造しない。(破損し、ケガの原因)
三晃商会も、ベアリングの部分をむやみに手で触らないようにと書いています。さらにジェックスの説明書には、補償の範囲についての一文もありました。
誤った使用方法、勝手な修繕・改造などによる故障などにつきましては補償いたしかねます。
では音が消えないときに取扱説明書が示している出口はどこかというと、手入れではなく交換です。
ご使用中は本品や取り付け部位の消耗状態をよく観察し安全を確認しながら使用して下さい。ひび割れや磨耗、樹脂の劣化等が見られた場合は使用を中止して新しいものと交換して下さい。
削れていたり欠けていたりする部品が見つかったら、直すより替えるほうが説明書に沿っています。
よくある質問
取扱説明書を読んでいて判断に迷いやすいところを、3つにまとめました。
- Q回し車はどのくらいの頻度で洗えばよいですか
- A
取扱説明書に洗う頻度の指定はありません。決められているのは洗い方と温度のほうなので、汚れたときにその手順で洗う形になります。回転パーツやシャフトを外さないまま丸ごと水につけることだけは避けてください。
- Q潤滑剤をさしてもよいですか
- A
当編集部では判断できません。三晃商会とジェックスの取扱説明書に、油や潤滑剤を使う手入れが出てこないためです。一方で分解と改造をしないようにという指示と、勝手な修繕は補償の対象外になるという断りは書かれています。迷う場合は、購入した販売店かメーカーに確かめてください。
- Qサイレントホイールなのに音がするのは不良品ですか
- A
三晃商会の取扱説明書は、サイレントホイール フラットは無音ではないと書いています。若干の回転音や、ケースが揺れて出る音については、説明書のなかで了承を求めている範囲です。ただし取り付けがはまっていない場合の異音は別で、こちらは原因としてはっきり名指しされています。
まとめ
回し車の音について、メーカーが取扱説明書に書いていることを並べ直します。まず、サイレントと名前が付いていても無音ではないと断られています。音の原因として名指しされているのは、取り付けがきちんとはまっていないことと、ベアリングが濡れてサビることのふたつでした。
そうなると、手を動かす順番も決まってきます。はめ直して音が変わるかを見て、変わらなければ取り付ける穴を移し、ケージが水平で安定した場所にあるかを確かめる。ここまでは買い物も道具も要らずに済みます。
洗うときは、ベアリングのある部分を外してからホイールだけを洗い、完全に乾かしてから戻します。それでも音が残り、部品にひび割れや摩耗が見えるようなら、取扱説明書が勧めているのは手入れではなく交換のほうです。
ケージのまわりの道具を100円ショップでそろえたい場合は、専用品との境目をこちらにまとめています。

