循環式の給水器を使っていると、替えのフィルターを買い足すたびに、これは本当に要るのだろうかという気持ちになります。通販には純正ではない互換品が並んでいますし、フィルターを外したまま毎日水を替えれば足りるという意見も見かけます。
ただ、給水器を作っている会社が何と書いているかは、あまり表に出てきません。ジェックスのピュアクリスタルには機種ごとの取扱説明書があり、製品専用の公式サイトにはお手入れのページもあって、フィルターの役割も交換の目安も、そこにはっきり書かれています。
この記事では、そのジェックス製の給水器について、フィルターを外すと何が変わるのか、交換と洗浄の目安はどれくらいか、洗ってはいけないものは何かを、メーカーの記述にそって並べます。メーカーが自分の比較試験に添えている但し書きも、省かずに出します。
ほかの会社の給水器は構造も素材も違うので、ここに書いた目安はそのまま当てはまりません。お手元の製品の取扱説明書があれば、そちらを先に開いてください。
フィルターを外すと、何が変わるのか
ピュアクリスタルのフィルターは、水を通すついでにゴミを受け止める不織布と、中に入っている活性炭やイオン交換樹脂でできています。公式サイトは不織布の役目を、食べカスや抜け毛、ホコリといった汚れを絡めとることだと説明し、フチまで厚みを持たせて本体とのすき間をつくらないようにしてあると案内しています。
つまりフィルターを外すと、食べカスや抜け毛を受け止める場所がなくなり、水に入った汚れはそのまま本体の中を回り続けます。その先にあるのがポンプなので、外したまま使うなら、本体とポンプの掃除をこれまでより短い間隔で入れることになります。
なお、同じメーカーのフィルターでも中身は三種類あって、できることが違います。活性炭フィルターは「キレイでおいしい水に」、軟水化フィルターは「下部尿路の健康維持に」、お口すこやかフィルターは「りんごの香りで口臭ケア」と案内されています。どれも効き目をうたう言葉はメーカーの表示なので、気になる場合は製品ページの但し書きまで読んでから選ぶとよさそうです。
メーカーが出している比較試験と、同じページに置かれた但し書き
純正品と互換品の違いについて、ジェックスは公式サイトで三つの比較試験の結果を出しています。数字はどれも大きいのですが、同じページの下のほうに、メーカー自身が条件を限定する一文を添えています。この二つはいつも一緒に読む必要があるので、順番に見ていきます。
抗菌:使用後360分で菌数が99.9%減ったという試験
まず抗菌の試験です。公式サイトには、第三者機関による試験としてこう書かれています。
比較試験において、純正フィルターは使用後360分で菌数が99.9%減少し、時間の経過による菌数の増加を抑えることが確認されています。
使われた菌は一種類で、試験菌としてNBRC 14213という番号の菌が示されています。ここまでなら純正品を選ぶ理由として十分に読めますが、続きがあります。
軟水化:マグネシウムとカルシウムの吸着量が約5倍という試験
軟水化フィルターについては、互換品との比較がもう少し具体的です。
比較試験では、非純正品より早く軟水化し、その効果も長く持続することを確認。さらに、マグネシウム・カルシウムの吸着量は約5倍という結果に。
どれくらい持つのかも書かれていて、「毎日水を交換しても1ヶ月間効果を発揮し軟水を作ります」とあります。交換の目安が1ヶ月前後に置かれているのは、この持続期間と揃えてあると読めます。
PFAS:開始30分で約11倍を吸着したという試験
近ごろ水道水の話題に出てくるPFASについても、メーカーは比較試験を載せています。
比較試験において、純正品に使用している活性炭は非純正品に比べ、開始30分で約11倍ものPFASを吸着し、初期段階から素早くキャッチすることが確認されています。
使っている活性炭の素性も公開されていて、「ヤシ殻活性炭は上水の精製用(人間用)として使用されているものです」と説明されています。原料の作り方として水蒸気賦活法という言葉も出てきます。
メーカー自身が「実使用環境での効果は保証しない」と書いている
ここが、互換品を検討する人にとっていちばん大事なところです。いま見た三つの数字と同じページに、条件を限る但し書きが小さく置かれています。
本結果は一定量の菌を用いた抗菌試験によるものです。水を飲むたびに唾液などが混ざり新たな菌が入る、実使用環境での菌の減少を保証するものではありません。全ての菌に対して効果があるわけではありません。
本結果は活性炭単体での自社基準試験に基づくものです。フィルター式給水機製品としての除去率や、実際の使用環境での効果・持続性を保証するものではありません。
どちらも決まった条件で行った試験の結果であって、猫が口をつけて飲む毎日の水を測ったものではない、とメーカーが先に断っている形です。そのうえで純正品についてはこう書かれています。
純正品以外のフィルターを使用した場合、ろ過能力を十分に発揮できず、キレイな水を与えられない可能性があります。
編集部で純正と互換品のどちらがよいかを決めることはできませんが、数字と但し書きの両方を並べれば、何を根拠に選ぶかは自分で決められます。互換品を使うなら、ろ過能力について作り手の保証が付かないことを承知のうえで、水替えと洗浄の回数で埋めるという考え方になります。
フィルターがピンク色になるのはなぜか
使っているうちにフィルターが赤っぽく、あるいはピンク色になることがあります。これについては公式サイトのお手入れのページに、短いながらはっきりした説明があります。
フィルターが水周りに生息しやすい菌により、まれにピンク色になる場合があります。夏場には小まめに水の交換、本体、フィルターの洗浄を行ってください。
取扱説明書のほうでは、変色そのものが交換の合図として扱われています。フィットの説明書には、3週間から1ヶ月という日数の目安に続けて、「汚れにより不織布が変色したときに交換してください」と書かれています。つまり日数が来ていなくても、色が変わったら替える、という読み方で合っています。
虫について触れている箇所もあります。フィットの説明書は「特に夏場は虫が発生する可能性がありますので、毎日の洗浄をおすすめします」として、夏だけ洗う回数を増やすよう求めています。色と虫は、どちらも日数より先に来る合図だと考えておくと分かりやすいです。
交換と洗浄の目安が、公式サイトと取扱説明書で違う
ここはやや込み入っています。同じジェックスでも、製品専用の公式サイトと機種ごとの取扱説明書とで、手入れの間隔の書き方がそろっていません。どちらかが間違いというより、まとめ方が違うと見るほうが近いので、両方を並べます。
| 何を | 公式サイトのお手入れページ | 取扱説明書(セラモ・ウェル) |
|---|---|---|
| 本体 | 1週間に1度程度。夏期は2〜3日に1度 | 約1〜2週間に1回。夏場は毎日 |
| 水の交換 | 夏期は毎日。夏場以外は1〜2日 | 夏場は毎日 |
| フィルターの洗浄 | 洗剤を使わず水で表面の汚れを流す | 水の交換のたびに。夏場は毎日 |
| フィルターの交換 | 約1ヶ月ごと | 3週間から1ヶ月に1回 |
| ポンプ | 記載なし | 約1ヶ月に1回。分解して内部を掃除 |
間隔がいちばん短いのは公式サイトの夏期で、二、三日に一度とあります。取扱説明書は夏場の本体を毎日としているので、夏に関しては説明書のほうが厳しいことになります。迷ったときは短いほうに合わせておけば、どちらの記述からも外れません。
なお取扱説明書には、目安という言葉の意味についての断りもあります。「ペットの種類や頭数、使用環境により汚れの程度は異なりますので、状態を見ながらお手入れを行ってください」という一文で、多頭飼いの家ではこの表より早く汚れると読み取れます。
洗ってはいけないものが、はっきり決まっている
掃除のやり方を調べると、重曹や酢を使う方法を勧める記事が見つかります。ところが、今回読んだ取扱説明書と公式サイトのお手入れのページに、重曹と酢についての記述はひとつもありませんでした。メーカーが名前を挙げて指定しているのは、別のものです。
本体は薄めた中性洗剤で、70℃以上のお湯は不可
本体の洗い方は、どの機種の説明書もほぼ同じ書き方でした。
セットアップと逆の手順で各パーツを取り外し、薄めた中性洗剤を含ませたスポンジで洗浄し、充分に洗い流す。研磨剤は使用しないでください。
使ってはいけないものは、注意の欄にまとまっています。セラモとウェルの説明書では、こう書かれています。
タワシやシンナー・ベンジン・研磨剤またはアルコール及び有機溶剤を含むガラスクリーナーなどは使用しないでください。本製品の樹脂は耐熱性ではないので、フィルタートレイは70℃以上のお湯で洗わないでください。
熱湯で消毒したくなる場面はありますが、樹脂が耐熱性ではないという理由で止められています。器具が傷む原因になると書かれているので、煮沸や食器洗い乾燥機の高温コースは避けておくのが無難です。
フィルターには洗剤を使わない
本体とフィルターで指示が分かれているところは、取り違えると困ります。フィルターのほうは、こうです。
洗剤は使用せず、水でフィルター表面の汚れを洗い流す。
本体は中性洗剤、フィルターは水だけ、という区別になります。中に活性炭やイオン交換樹脂が入っていることを考えると筋が通る指示ですが、まとめて洗ってしまいやすい場所なので、分けて覚えておくと確実です。
メーカーからは専用の洗浄剤も出ていて、その取扱説明書に成分が載っています。品名はフィルター式給水器用洗浄剤、成分はクエン酸が100パーセント、液性は酸性です。使い方はフィルターを外してタンクに1包入れ、電源を入れて約30分循環させる、という手順になっています。そして注意の先頭に、強い調子の一文があります。
塩素系の製品と一緒に使うと有害な塩素ガスが出て危険なので、まぜて使用しない。
台所用の塩素系漂白剤を併用しようと考えている場合は、ここだけは外せません。他の洗浄剤とは併用しない、使用時にはゴム製などの手袋を使用する、という指示も同じ欄に並んでいます。
水の勢いが落ちた・音が変わったときに見る場所
流れが弱い、音がいつもと違うといった変化について、メーカーはお手入れのページの冒頭で、まず掃除を試すよう案内しています。挙がっているのは、水の流れが弱くなった、ポンプが動かなくなった、水のヌメリや汚れが気になる、水の流れる音がいつもと違う、の四つです。
その理由にあたる説明が、取扱説明書のポンプの項目にあります。
使い続けていくと、ポンプのインペラー部にゴミ(抜け毛・フードカスなど)や水アカがたまり、インペラーが回転しにくくなります。水が循環しなくなるおそれがありますので、約1ヶ月に1回は分解してポンプ内部を掃除してください。
インペラーというのは、ポンプの中で回っている小さな羽根の部品です。ポンプカバーを外し、インペラーカバーを外して、ピンセットなどで抜き取る、という手順まで図入りで書かれています。フィットの説明書には「必ずインペラーを取り外してお手入れしてください」という一文もあるので、外側をすすぐだけでは足りないという扱いです。
掃除をしても勢いが戻らない場合の答えも用意されています。長期間使うとインペラーの磁石が劣化してポンプの力が弱くなるため、1年を目安に新しいポンプへ交換することをすすめる、という説明です。交換用ポンプの型番は機種ごとに違っていて、フィットはP-4、ウェルはP-11、セラモはP-13と書き分けられています。
なお、セラモとウェルの説明書には、お手入れの前に読む警告が付いています。差し込みプラグを抜きUSBプラグをアダプターから取り外すこと、そしてコンセントや差し込みプラグの刃と、その取り付け面のほこりを定期的に拭き取ることが、火災の原因として挙げられています。水まわりに挿しっぱなしの電源なので、月に1回のポンプ掃除のついでに刃のまわりも拭いておくと安心です。
フィルター選びで間違えやすい軸は二つあって、片方は大丈夫
買い足すときに取り違えやすいのは、犬用か猫用かという軸と、全円か半円かという形の軸です。この二つはメーカーの扱いがはっきり分かれていました。
| 取り違えやすい軸 | メーカーの記述 | どうすればよいか |
|---|---|---|
| 犬用と猫用 | 間違って買ってしまっても大丈夫と明記 | そのまま使える。買い直さなくてよい |
| 全円と半円 | 機種ごとに適合表が分かれている | 本体の機種名で適合表を確認する |
犬用と猫用については、公式サイトに「ワンちゃんに猫用・ネコちゃんも犬用を使用いただいても問題ありません」と書かれています。家に犬と猫がいて買い置きが混ざってしまったときも、そのまま使えます。
形のほうは融通がききません。猫用の機種でいうと、ウェルやグラッシーR、ニャーロ、セラモは全円タイプ、ハローやミューティー、セラミックス、コパン、フィット、クリアフローは半円タイプと、公式の適合表で分かれています。本体の機種名さえ分かれば表で引けるので、買う前にそこだけ確かめてください。
よくある質問
ここまでに出てきた記述のうち、短く答えられるものをまとめます。いずれもジェックス製の給水器についての話で、根拠は取扱説明書と製品専用の公式サイトの記述です。
- Qフィルターを使わずに毎日水を替えるだけでは足りませんか。
- A
メーカーは純正フィルターの使用を前提に書いていて、純正品以外を使った場合についても、ろ過能力を十分に発揮できない可能性がある、としています。ただし、まったく使わない場合にどうなるかは、機種別の説明書にも製品専用サイトのお手入れのページにも書かれていません。
ただ、フィルターが食べカスや抜け毛を絡めとる部品である以上、外せばその分の汚れが本体とポンプへ回ります。外したまま使うなら、本体の洗浄とポンプの分解掃除を早めに入れる前提になります。
- Qフィルターはどれくらいで交換すればよいですか。
- A
取扱説明書は3週間から1ヶ月に1回、公式サイトのお手入れページは約1ヶ月ごとと案内しています。どちらも日数だけで決めるものではなく、抜け毛やフードカスなどの目に見える汚れ、変色が目立ってきたときにも交換するよう書かれています。
- Qフィルターがピンク色になりました。使い続けて大丈夫ですか。
- A
公式サイトは、水周りに生息しやすい菌によってまれにピンク色になる場合がある、と説明しています。変色は取扱説明書で交換の合図として挙げられているので、日数が来ていなくても新しいものに替える場面です。
あわせて、夏場は水の交換と本体・フィルターの洗浄をこまめに行うよう求められています。
- Q熱湯や食器洗い乾燥機で消毒してもよいですか。
- A
取扱説明書は、樹脂が耐熱性ではないため70℃以上のお湯で洗わないよう書いています。器具が傷む原因になるという扱いなので、熱湯消毒は避ける場面です。研磨剤や、アルコールと有機溶剤を含むガラスクリーナーも、使用しないものとして名前が挙がっています。
- Q重曹や酢で洗ってもよいですか。
- A
ジェックスの機種別の説明書にも、製品専用サイトのお手入れのページにも、この二つは出てきません。編集部で可否を決められる話ではないので、気になる場合はメーカーのサービスセンターへ問い合わせるのが確実です。
メーカーが出している専用の洗浄剤は、成分がクエン酸100パーセントの酸性で、塩素系の製品と混ぜないよう注意書きが付いています。
- Q犬用のフィルターを買ってしまいました。使えますか。
- A
公式サイトは、犬用と猫用を間違って買っても問題ないと明記しています。一方で全円タイプと半円タイプは機種ごとに決まっているので、そちらは本体の機種名で適合表を確認してください。
まとめ
フィルターを使うかどうかは、結局のところ、どこまでを作り手の保証に任せ、どこからを自分の手入れで埋めるかの選び方になります。メーカーは比較試験の数字を出す一方で、実際に飲む水での効果までは保証しないと自分で断っています。その両方を見たうえでなら、どちらを選んでも説明が付きます。
手入れの間隔は、公式サイトと取扱説明書で書き方が違うので、迷ったときは短いほうに合わせておくと外れません。洗ってよいもの、使ってはいけないものははっきり決まっていて、本体は薄めた中性洗剤、フィルターは水だけ、研磨剤と70℃以上のお湯は不可です。
そして、水の勢いや音が変わったときに見る場所はポンプの中のインペラーで、月に1回の分解掃除と、1年を目安にしたポンプの交換がメーカーの答えでした。ここまで分かっていれば、替えのフィルターを買うときも、調子が悪くなったときも、次にどこを開けばよいかで迷わずに済みます。
給水器そのものを買い替えるか迷っている場合は、用途ごとの道具の選び方をこちらにまとめています。

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