「ドッグフードを新しいものに変えたいけれど、どう切り替えればいいの?」——そんな飼い主さんに向けて、ペットリサーチ編集部が失敗しにくい切り替えの手順をまとめました。フードの切り替えは、いきなり全部を新しいものにするのではなく、7〜10日ほどかけて少しずつ混ぜていくのが基本です。この記事では、日数ごとの混ぜる割合の早見表を中心に、切り替え中に見ておきたいポイントや、うまくいかないときの対処法までやさしく解説します。
結論:ドッグフードの切り替えは「7〜10日かけて少しずつ」が基本
先に結論からお伝えします。ドッグフードを切り替えるときは、今までのフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、7〜10日ほどかけて割合を入れ替えていくのが王道の方法です。ある日から急にフードをすべて入れ替えてしまうと、消化器官が追いつかず、下痢や嘔吐、食欲の低下といったお腹の不調につながることがあります。アメリカンケネルクラブ(AKC)も、急な切り替えは胃腸の不調(嘔吐・下痢・食欲低下)を招くおそれがあるとして、段階的な移行をすすめています。
・切り替えは7〜10日かけて少しずつ
・お腹が敏感な子やシニア犬は10〜14日とさらにゆっくり
・切り替え中は便・食いつき・元気の3点を毎日チェック
・不調が続くときは無理せず獣医師に相談を
なぜ徐々に切り替える必要があるの?
「そもそも、どうして一気に変えてはいけないの?」と気になる飼い主さんもいるはずです。理由は大きく2つあります。
理由1:消化器官と腸内の環境が慣れる時間が必要だから
フードが変わると、原材料や栄養バランス、脂質の量などがそれまでと変わります。犬のお腹の中では、食べたものを分解する消化酵素や、腸内にすむたくさんの細菌(腸内細菌)が、それぞれのフードに合わせて働いています。新しいフードに切り替わると、これらがあらためて対応していく必要があり、その調整には数日〜1週間ほどの時間がかかると考えられています。急に全部が入れ替わると調整が間に合わず、消化がうまくいかずに軟便や下痢といった形で表れることがあるのです。
理由2:犬は「食べ慣れないもの」に慎重な面があるから
もう1つの理由は、犬の食に対する性質です。犬には、食べ慣れないものに警戒する保守的な一面があり、見た目やにおいがガラッと変わると口をつけなくなることがあります。今までのフードに少しずつ新しいものを混ぜていくと、においや味の変化がゆるやかになり、警戒されにくくなります。お腹への負担を減らすためにも、愛犬に「これは今までと同じごはんだ」と感じてもらうためにも、少しずつの切り替えが役立つというわけです。
【早見表】日数×新旧フードの混ぜる割合の目安
ここが今回の記事のいちばん大事なところです。7〜10日プランでは、切り替えを次の4つの段階に分けて進めます。1回の食事の中で、今までのフードと新しいフードを下の割合で混ぜてあげてください。愛犬の体調に問題がなければ、次の段階へ進みます。
| 段階 | 日数の目安 | 今までのフード | 新しいフード | ねらい |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 1〜2日目 | 75% | 25% | 新しい味・においに慣れてもらう |
| 第2段階 | 3〜4日目 | 50% | 50% | ちょうど半分ずつで様子を見る |
| 第3段階 | 5〜7日目 | 25% | 75% | 新しいフードを主役に |
| 第4段階 | 8〜10日目 | 0% | 100% | 完全に新しいフードへ |
表のとおり、最初は新しいフードを4分の1ほどから始め、数日ずつかけて割合を増やし、最後に100%へ切り替えます。参考までに、AKCが紹介している手順では「1日目に新25%・旧75%、3日目に半々、5日目に新75%・旧25%、7日目に新100%」という約1週間(7日間)のスケジュールが示されています。今回の早見表は、それよりも少しゆっくりめの7〜10日ペースにして、お腹への負担をよりおさえやすい形にしています。愛犬の様子を見ながら、日数は前後に調整して構いません。
お腹が敏感な子・シニア犬は10〜14日とさらにゆっくり
もともとお腹をこわしやすい子、シニア犬、同じフードを長年食べ続けてきた子は、切り替えにさらに時間をかけたほうが安心です。7〜10日ではなく10〜14日ほどに延ばし、1段階あたりの日数を長めにとってあげましょう。焦らず、便の様子を見ながら「大丈夫そうなら次へ」を繰り返すのがコツです。
切り替え中に見ておきたい3つのポイント
切り替え期間中は、いつもより少しだけ愛犬をよく観察してあげてください。チェックするのは主に次の3つです。
1. 便の様子
いちばんわかりやすいサインが便です。いつもと同じくらいの固さ・色・回数なら、その割合は愛犬のお腹に合っていると考えられます。反対に、ゆるくなってきた・回数が増えた・においがきついといった変化が出たら、切り替えのペースが少し速いのかもしれません。次の段階へ進むのを一旦止めて、様子を見ましょう。散歩のときに便の状態を確認する習慣があると、変化に気づきやすくなります。
お散歩と食事のタイミングの関係が気になる方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

2. 食いつき(食欲)
新しいフードの割合が増えたときに、食いつきが落ちていないかを見ます。少し残すくらいなら、次の食事で様子を見れば問題ないことが多いですが、まったく口をつけない・においだけかいで離れるといった場合は、割合を前の段階に戻してゆっくり進めましょう。逆に、新しいフードが気に入って勢いよく食べすぎる子もいます。早食いが気になるときは、こちらの記事も参考にしてみてください。

3. 全身の様子・元気
便や食欲だけでなく、いつもどおり元気に過ごせているかも見てあげましょう。よく寝てよく遊び、いつもと同じように過ごせていれば安心の目安になります。反対に、ぐったりしている、何度も吐く、水を飲みたがらないといった様子があれば、切り替えとは別の不調が隠れている可能性もあります。切り替えを中断して、早めに獣医師へ相談してください。
うまくいかないときの対処法
手順どおりに進めても、思うようにいかないことはあります。よくある2つのケースと対処を見ていきましょう。
新しいフードを食べてくれない
新しいフードの割合を増やしたとたんに食べなくなったら、まずは前の段階の割合に戻して、そこから改めてゆっくり進めます。切り替えの日数を長めにとるだけで、すんなり食べてくれることも少なくありません。どうしても進みにくいときは、体調が落ち着いていることを前提に、ぬるま湯でふやかしてにおいを立たせる、少量のトッピングで風味を足すといった工夫も選択肢になります。トッピングの一例として、犬にヨーグルトを与えるときの考え方をこちらでまとめています。

すでにお腹の調子をくずしているときにトッピングを足すと、原因が切り替えなのかトッピングなのか分かりにくくなります。まずは便が落ち着いてから試すのがおすすめです。犬が食べられない食材(ねぎ類・ぶどう・チョコレートなど)は絶対に加えないよう注意しましょう。
軟便・下痢気味になった
便がゆるくなってきたら、切り替えのペースが速いサインかもしれません。次の段階へ進むのをやめ、1つ前の割合に戻して数日その割合をキープします。落ち着いてきたら、また少しずつ進めましょう。1段階あたりの日数を長くとるだけで改善することもよくあります。元気や食欲があり、一時的にゆるくなっただけなら、あわてず様子を見て構いません。
受診を考えたい目安
以下のような様子が見られるときは、自己判断で切り替えを続けず、動物病院で相談することをおすすめします(ここで挙げるのはあくまで一般的な目安で、診断ではありません。心配な症状があるときは早めに受診してください)。
- 下痢や嘔吐が続く、または回数が多い
- 便に血が混じる、便の色が明らかにおかしい
- 元気がなくぐったりしている、水を飲みたがらない
- ペースを戻しても不調がなかなか改善しない
- 子犬・シニア犬・持病のある子で、少しでも心配な変化がある
とくに子犬やシニア犬は、体力の予備が少なく、下痢や食欲不振が続くと体調を大きくくずすことがあります。「様子見でいいか迷う」ときは、早めにかかりつけの獣医師に相談すると安心です。
子犬期にふやかしを卒業してドライフードへ移行するタイミングについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。

ライフステージが変わるときのフード切り替え
フードを切り替える理由でよくあるのが、成長にともなうライフステージの変化です。子犬用から成犬用へ、成犬用からシニア用(高齢犬用)へと切り替えるタイミングの考え方を見ていきましょう。切り替えの手順は、これまで説明してきた「7〜10日かけて少しずつ」と同じです。
子犬用→成犬用は「体格」で時期が変わる
子犬用フードから成犬用フードへ切り替える時期は、犬の体格(成犬になったときの大きさ)によって変わります。AKCが体格別に示している目安は次のとおりです。
| 体格 | 切り替え時期の目安 |
|---|---|
| 小型犬・超小型犬 | 生後8〜12ヶ月ごろ |
| 中型犬 | 生後12ヶ月ごろ |
| 大型犬 | 生後12〜15ヶ月ごろ |
| 超大型犬 | 生後18〜24ヶ月ごろ |
大きな体格の犬ほど、体が大人になるまでに時間がかかるため、子犬用フードを食べる期間が長くなる傾向があります。あくまで目安なので、実際の切り替え時期は体格・成長のスピード・健康状態を見て、かかりつけの獣医師と相談しながら決めるのが安心です。子犬の食事や育て方全般については、こちらの記事も参考にしてください。

成犬用→シニア用は「決まった月齢」がない
意外に思われるかもしれませんが、「シニア用(高齢犬用)フード」には、栄養基準の上で公式に決まった区分がありません。ペットフードの栄養基準として世界的に参照されるAAFCO(米国飼料検査官協会)が定めている栄養プロファイルは、「成長・繁殖期用」と「成犬の維持用」の2つだけで、「シニア用」という独立した基準は設けられていないのです。市販のシニア用フードは、多くが「成犬の維持用」の枠組みの中で、カロリーをおさえたり関節に配慮した成分を加えたりして作られています。
そのため、「◯歳になったら必ずシニア用へ」という決まりはありません。一般に、小型犬より大型犬のほうが高齢期に入るのが早い傾向があるといわれます。フードを見直すきっかけとしては、活動量が落ちてきた、体重が変化してきた、といった愛犬の変化がひとつの目安になります。切り替えの要否や時期に迷ったら、健康診断のタイミングなどで獣医師に相談してみましょう。
新しいフードを選ぶときは、パッケージに「総合栄養食」(そのフードと水だけで必要な栄養がとれる、という表示)や、対象のライフステージ(子犬用・成犬用など)が書かれているかを確認しましょう。海外基準ではAAFCOの栄養基準を満たす旨の記載が目印になります。今の愛犬の年齢・体格に合った区分のフードを選ぶことが、健やかな食生活の土台になります。
まとめ:焦らず、愛犬のペースで切り替えを
ドッグフードの切り替えは、7〜10日かけて少しずつ混ぜていくのが基本です。お腹が敏感な子やシニア犬は10〜14日とさらにゆっくり進めましょう。切り替え中は「便・食いつき・元気」の3点を毎日チェックし、軟便や食欲低下が出たら前の割合に戻して様子を見ます。ライフステージによる切り替えも、手順は同じ。時期の目安は体格などで変わるので、迷ったら獣医師に相談しながら進めてください。愛犬のペースを大切に、無理のない切り替えを心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
- Qドッグフードの切り替えは何日くらいかければいいですか?
- A
7〜10日ほどかけて、今までのフードに新しいフードを少しずつ混ぜて割合を増やしていくのが基本です。お腹が敏感な子やシニア犬、同じフードを長年食べてきた子は、10〜14日とさらにゆっくり進めると安心です。愛犬の便や食欲を見ながら、問題がなければ次の段階へ進みましょう。
- Q少しずつ混ぜても下痢気味になってしまいました。どうすればいいですか?
- A
切り替えのペースが少し速いのかもしれません。次の段階へ進むのをやめ、1つ前の割合に戻して数日その割合をキープしましょう。落ち着いてから、また少しずつ進めます。ただし、下痢や嘔吐が続く、便に血が混じる、元気がないといった様子があるときは、自己判断で続けず動物病院に相談してください。
- Q新しいフードを全然食べてくれません。切り替えをやめたほうがいいですか?
- A
まずは新しいフードの割合を前の段階に戻し、時間をかけてゆっくり進めてみてください。犬は食べ慣れないものに慎重になることがあり、においや味の変化がゆるやかだと受け入れやすくなります。体調が落ち着いていれば、ぬるま湯でふやかす、少量のトッピングで風味を足すといった工夫も選択肢です。それでも食べない状態が続くときは、獣医師に相談しましょう。
