「夜中に猫が赤ちゃんの泣き声のような大声で鳴き続けて眠れない」——発情期の鳴き声に悩む飼い主さんは少なくありません。ふだんは静かな猫が急に大声で鳴くと、体調が悪いのではと心配になりますよね。発情期の鳴き声は、猫が繁殖に向けて自然に出しているサインで、病気ではありません。とはいえ、鳴き声が続くと飼い主さんも猫自身も疲れてしまいます。
この記事では、発情期の鳴き声の特徴とオス・メスの違い、いつからいつまで続くのか、そして今夜できる対処と、根本的な対応として知っておきたい避妊・去勢の相談の目安までをまとめました。読了の目安は約5分です。
発情期の鳴き声ってどんな声?オスとメスの違い
発情期の鳴き声は、ふだんの「ニャー」とは明らかに違います。「アオーン」「ウワーオ」と、赤ちゃんの泣き声や人の声のように聞こえる大きな声で、夜から明け方にかけて続くことが多いのが特徴です。この独特の鳴き声は「コーリング」とも呼ばれ、繁殖相手に自分の存在を知らせるための行動だといわれています。
メス猫の発情期の様子
発情するのは基本的にメス猫です。大きな声で鳴くほか、床に体をこすりつける、お尻を高く上げる姿勢をとる、甘えるようにすり寄ってくる、そわそわして落ち着かないといった様子が見られます。おしっこの回数が増えたように見えることもあります。鳴き声は数日間続き、いったんおさまってもしばらくするとまた繰り返されるのが一般的です。
オス猫は「発情したメスに反応して」鳴く
オス猫には決まった発情期がなく、近くに発情したメスがいると、そのにおいや鳴き声に反応して行動が変わります。大きな声で鳴く、外に出たがってソワソワする、あちこちに濃いにおいのおしっこをかける「スプレー行動」が増える、といった変化が代表的です。オス猫の行動は周囲のメスに左右されるため、去勢していないオスは季節を問わず反応することがあります。
猫の発情期はいつから・いつまで続く?
「この鳴き声はいつまで続くの?」というのは、多くの飼い主さんが一番知りたいところだと思います。発情の始まる時期や続く期間には個体差がありますが、おおよその目安を知っておくと気持ちの準備がしやすくなります。
初めての発情は生後半年ごろから
メス猫が初めて発情を迎えるのは、生後6か月前後といわれています。品種や体格、生まれた季節によって前後し、早い子では生後4か月ほどで発情のサインが見られることもあります。まだ体が子どものうちに発情が来ることもあるため、「まだ小さいから」と油断していると、思ったより早く鳴き始めて驚くことがあります。
1回の発情は数日〜2週間ほど、周期的に繰り返す
1回の発情で鳴き声などのサインが続くのは、数日から2週間ほどが目安とされています。猫は交尾をしないと排卵しにくい体のしくみを持つため、発情がいったんおさまっても2〜3週間ほどでまた発情期がやってくる、というサイクルを繰り返すことがあります。「やっと静かになったと思ったら、またすぐ鳴き始めた」と感じるのはこのためです。
室内飼いでは季節に関係なく続くことも
猫の発情は日照時間の影響を受けやすく、日が長くなる春から夏(おおむね2〜8月ごろ)に多いとされています。ただし、室内飼いの猫は照明で一年中明るい環境にいるため、季節に関係なく発情を繰り返すことも珍しくありません。「冬なのに発情している」という場合も、異常ではなく室内環境が関係していると考えられます。
今夜できる!鳴き声がつらいときの対処
発情期の鳴き声そのものを、その場ですぐに止める確実な方法はありません。ただし、猫が少しでも落ち着けるように環境を整えることで、鳴き声がやわらぐことがあります。今夜からできる工夫を紹介します。
- 遊びでエネルギーを発散させる…寝る前におもちゃでしっかり遊び、疲れさせると眠りやすくなることがあります。
- 安心できる隠れ場所をつくる…段ボールやベッドなど、落ち着ける狭い空間を用意します。
- 外の刺激を減らす…カーテンを閉め、外の猫の姿やにおいが届きにくいようにします。
- 寝室と猫の部屋を分ける…鳴き声で眠れないときは、飼い主さんの睡眠を守るために部屋を分けるのも一つの方法です。
- スキンシップで安心させる…甘えてくるときは、なでたり声をかけたりして落ち着かせてあげましょう。
これらはあくまで一時的にやわらげるための工夫で、発情そのものを止めるものではありません。発情が続くかぎり鳴き声も繰り返される点は、あらかじめ知っておくと気持ちが楽になります。鳴き声が続いて飼い主さん自身がつらいときは、無理をせず、後述する避妊・去勢について獣医師に相談することも検討してみてください。
やりがちだけどNGな対応
鳴き声がつらいと、つい強い手段でやめさせたくなるかもしれません。ですが、次のような対応は逆効果になったり、猫との信頼関係を損なったりすることがあるため、おすすめできません。
大声で叱る・叩く…発情期の鳴き声は本能的なもので、叱ってやめさせることはできません。猫は「なぜ怒られたのか」を理解できず、飼い主さんを怖がるようになってしまうことがあります。
水をかける・大きな音で驚かせる…一時的に静かになっても、猫に強いストレスを与え、信頼関係を損なう原因になります。
ごはんを増やして黙らせようとする…要求鳴きと混同して与えすぎると、肥満につながることがあります。
発情期の鳴き声は「わがまま」ではなく、猫にとって自然な体の変化です。叱るよりも、環境を整えたり、根本的な対応を考えたりするほうが、猫にも飼い主さんにも負担が少なくてすみます。
根本的な対応は?避妊・去勢は獣医師に相談を
発情期の鳴き声への根本的な対応として、避妊手術(メス)・去勢手術(オス)があります。手術を受けると発情に関わる行動が落ち着くことが多いとされ、鳴き声やスプレー行動がやわらぐケースがよく知られています。あわせて、望まない妊娠を防いだり、一部の病気のリスクを下げたりする面もあるといわれています。
一方で、手術は全身麻酔をともなう体への負担のある処置で、適した時期や体調の判断には個体差があります。費用も動物病院や地域によって幅があります。「手術をすべきかどうか」「いつ受けるのがよいか」は、猫の年齢・健康状態・生活環境によって変わるため、飼い主さんだけで決めず、かかりつけの獣医師に相談して判断することをおすすめします。メリットだけでなく、心配な点も遠慮なく聞いてみてください。
もし発情期に交尾の機会があり妊娠した場合は、出産や子猫のお世話の準備も必要になります。妊娠・出産のサインや子猫の育て方は、次の記事でくわしく紹介しています。


病院へ連れて行くときは、猫が落ち着けるキャリーケースがあると安心です。キャリーケースに慣らすコツや入れ方は、こちらの記事にまとめています。

発情期は脱走に要注意
発情期に見落としがちなのが「脱走」のリスクです。発情した猫は繁殖相手を求めて外に出たがる本能が強くなり、ふだんは出ない猫でも、玄関や窓のわずかなすきまから飛び出してしまうことがあります。とくに去勢していないオス猫は、発情したメスのにおいに引き寄せられて遠くまで行ってしまうこともあります。
外に出てしまうと、交通事故や猫同士のケンカ、望まない妊娠などのリスクがあります。発情期は玄関や窓の開閉にいつも以上に気をつけ、脱走防止対策を見直しておくと安心です。具体的な脱走防止の方法は、次の記事でくわしく紹介しています。

発情期以外にも、シャーッと威嚇するような鳴き方が増えたときの理由と対応は、こちらで解説しています。

猫の発情期の鳴き声に関するよくある質問
- Q発情期の鳴き声はいつまで続きますか?
- A
1回の発情で鳴き声などのサインが続くのは、数日から2週間ほどが目安とされています。ただし交尾をしないと2〜3週間ほどでまた発情を繰り返すことがあり、室内飼いでは季節に関係なく続く場合もあります。鳴き声を根本的に落ち着かせたい場合は、避妊・去勢について獣医師に相談してみてください。
- Qオス猫も発情期に鳴きますか?
- A
オス猫には決まった発情期はありませんが、近くに発情したメスがいると、そのにおいや鳴き声に反応して大きな声で鳴くことがあります。外に出たがったり、においの濃いおしっこをかけるスプレー行動が増えたりするのも、この時期に見られやすい変化です。
- Q鳴き声がうるさいとき、叱ってやめさせてもいいですか?
- A
叱ったり水をかけたりしてやめさせるのはおすすめできません。発情期の鳴き声は本能的なもので、叱ってもやめさせることはできず、猫が飼い主さんを怖がる原因になることがあります。寝る前によく遊ばせる、安心できる場所を用意するなど、環境を整える対応のほうが猫にも負担が少なくてすみます。
まとめ
- 発情期の鳴き声は「アオーン」という独特の大声(コーリング)で、繁殖のサイン。病気ではない
- 発情するのは基本メス。オスは近くの発情したメスに反応して鳴く
- 1回の発情は数日〜2週間、交尾しないと繰り返す。室内飼いは季節に関係なく続くことも
- 今夜の対処は「よく遊ばせる・安心できる場所・外の刺激を減らす」。叱る・水をかけるはNG
- 根本的な対応として避妊・去勢があるが、時期や可否はかかりつけの獣医師に相談を
発情期の鳴き声は、猫にとって自然な体の変化です。その場で完全に止める方法はありませんが、環境を整えることで少しやわらぐことがあります。鳴き声が続いて飼い主さんも猫もつらいときは、避妊・去勢という選択肢を、かかりつけの獣医師と一緒に考えてみてくださいね。
