今までちゃんとトイレでできていたのに、急に猫がトイレ以外の場所でおしっこやうんちをするようになって、困っていませんか。じつは猫の粗相には、トイレへの不満・ストレス・病気など、いくつかの原因が考えられます。なかには動物病院での受診が必要なサインもあるため、原因を知って早めに対応することが大切です。本記事では、猫がトイレ以外で粗相をする理由と、家でできる対策を紹介しています。参考にしてみてくださいね。
猫がトイレ以外で粗相をする主な原因
猫はもともと、決まった場所で排泄するきれい好きな動物です。それなのにトイレ以外で粗相をするときは、必ず何かしらの理由があります。大きく分けると、原因は次の4つに整理できます。
このうち、まず最初に確認したいのが「病気」です。順番に見ていきましょう。
まず確認したい「病気」のサイン
急に粗相が始まったときに、もっとも気をつけたいのが病気です。とくに膀胱や尿道のトラブル(猫下部尿路疾患=FLUTD)があると、排泄のときに痛みを感じ、トイレ=痛い場所と覚えてしまって、別の場所で排泄するようになることがあります。
排泄にまつわる問題を起こした猫を調べた研究では、その多く(およそ6割)に膀胱や尿道のトラブルが関わっていたとも報告されています。つまり粗相は「わがまま」ではなく、体の不調を知らせるサインのことも少なくないとされています。
出典: 獣医学の研究(dvm360/VIN講演資料「Elimination problems in cats」)(参照日2026-06-16)
- 何度もトイレに行くのに尿がほとんど出ない
- 排泄のときに鳴く・つらそうにする
- 尿に血が混じる・色がいつもと違う
- 水を飲む量・尿の量が急に増えた/減った
- 元気・食欲がない
とくにオス猫が「トイレで力んでも尿が出ない」状態は、尿道がつまる尿道閉塞のおそれがあり、命にかかわることもあります。様子を見ずに、できるだけ早く動物病院を受診してください。自己判断で市販薬を使うのは避け、まずは獣医師に相談しましょう。
トイレ環境への不満が原因のことも
病気が見つからない場合は、トイレそのものへの不満が原因になっていることがあります。猫はトイレの好みがはっきりしている動物で、ちょっとした不満で別の場所を選んでしまうことがあるのです。
トイレが汚れている
もっとも多いのが、トイレの汚れです。きれい好きな猫は、汚れたトイレを嫌がって使わなくなることがあります。排泄物はこまめに取り除き、いつも清潔に保ちましょう。
砂やトイレの形が好みでない
猫砂の種類を変えたとたんに粗相が始まることもあります。また、トイレの入り口が高すぎる、容器が小さすぎる、フード付きで狭いといった「使いにくさ」も嫌われる原因です。以前使っていた砂に戻したり、ふちの低い大きめのトイレを試したりしてみましょう。
トイレの場所・数が合っていない
人の出入りが多い場所や、洗濯機のそばなど音が気になる場所だと、落ち着いて排泄できません。静かで人目につきにくい場所に置くのがおすすめです。また、トイレの数は「猫の頭数+1個」が目安とされています。多頭飼いの場合は、トイレが足りていないか見直してみましょう。
出典: Veterinary Partner(VIN)「Inappropriate Elimination (House Soiling) in Cats」(参照日2026-06-16)
トイレ本体の形状が合っていないこともあります。タイプ別の特徴はこちらで解説しています。

ストレスや環境の変化も粗相につながる
猫はとても繊細で、環境の変化に敏感な動物です。引っ越しや部屋の模様替え、家具の配置換え、新しいペットや家族が増えたことなどが、ストレスとなって粗相につながることがあります。
また、近所での工事の音や、窓の外に見える野良猫の存在も、猫にとっては不安の原因になります。最近、猫のまわりで何か変化がなかったか思い返してみましょう。落ち着ける隠れ場所や高い場所を用意したり、できるだけ前と同じ生活リズムを保ったりすることで、不安をやわらげられます。
猫砂の素材が好みに合わないケースもあります。素材別の選び方はこちらで解説しています。

マーキング(スプレー)の場合
壁や家具などに、立ったまま少量の尿をかける行動は「スプレー」と呼ばれるマーキングです。これは排泄というより、なわばりを主張したり、不安や興奮を伝えたりするための行動とされています。とくに去勢・避妊をしていないオス猫に多く見られます。
去勢手術によって、オス猫のスプレー行動は大きく減るか、なくなることが多いと報告されています。スプレーが気になる場合は、去勢・避妊も含めて獣医師に相談してみるとよいでしょう。
出典: Veterinary Partner(VIN)「Inappropriate Elimination (House Soiling) in Cats」(参照日2026-06-16)
粗相したときの正しい対応
叱らない
粗相を見つけても、猫を叱るのは逆効果です。猫は「なぜ怒られたのか」を結びつけて理解するのが苦手で、叱られることがかえってストレスになり、粗相が悪化することもあります。落ち着いて原因を探すことを優先しましょう。
においをしっかり消す
猫は自分の尿のにおいが残っている場所を「トイレ」と認識してしまいます。粗相した場所はすぐに掃除し、においをしっかり取り除くことが大切です。市販のペット用消臭剤などを使い、においを残さないようにしましょう。
原因が分からなければ獣医師に相談
環境を見直しても粗相が続く場合や、病気のサインがある場合は、自己判断せず動物病院を受診しましょう。病気が隠れていることもあれば、行動面の専門的なアドバイスが必要なこともあります。獣医師に相談することが、解決への近道です。
猫のしぐさや気持ちについては、こちらの記事でも紹介しています。あわせて読んでみてくださいね。

粗相のあとのニオイ対策には、こちらで紹介している消臭剤も役立ちます。

子猫のうちからトイレを覚えてもらう手順は、こちらで詳しく解説しています。

猫の粗相に関するよくある質問
まとめ
- 粗相の主な原因は、病気・トイレへの不満・ストレス・マーキングの4つ
- 急に始まった粗相は病気のサインのことがあり、まず体調を確認する
- トイレは清潔に、砂や場所、数(頭数+1個)を見直す
- 環境の変化によるストレスにも気を配る
- 叱らず、においをしっかり消すことが大切
- まず病気のサインがないか確認し、気になれば動物病院へ
- トイレは清潔に保ち、砂・場所・数を猫の好みに合わせる
- 環境の変化を減らし、落ち着ける場所を用意する
猫の粗相についてもっと知りたい方へ
去勢・避妊をしていない猫は、発情期に鳴き声が大きくなることもあります。発情期の夜鳴きの対処と相談の目安はこちらです。

- Q高齢の猫が粗相をするようになったのですが、年齢のせいでしょうか?
- A
年齢を重ねた猫は、足腰の衰えでトイレまで間に合わなくなったり、トイレのふちが高くて入りにくかったりすることがあります。一方で、急に粗相が増えた場合は膀胱や尿道のトラブルなど体の不調が隠れていることもあるといわれています。ふちの低いトイレに替えるなど環境を見直しつつ、尿の量や色、飲水量に気になる変化があれば、早めに動物病院に相談すると安心ですよ。
- Q多頭飼いで、特定の場所への粗相が続きます。どうすればいい?
- A
多頭飼いでは、トイレの数が足りていなかったり、ほかの猫がいて落ち着いて使えなかったりすることが粗相につながる場合があります。トイレは「猫の頭数+1個」を目安に、静かで人目につきにくい場所に分けて置いてみましょう。粗相した場所はにおいをしっかり消すことも大切です。それでも続く場合は、病気や猫同士の関係も関わっていることがあるため、獣医師に相談してみてくださいね。
とくに、何度もトイレに行くのにおしっこが出ない、血が混じる、痛そうに鳴くといった様子があるときは緊急性が高い場合があります。様子を見ずに、できるだけ早く動物病院を受診してください。
粗相は猫からの「困っているよ」というサインです。叱らずに原因をひとつずつ確かめて、猫が安心して過ごせる環境を整えてあげてくださいね。心配なときは、早めに動物病院に相談することが一番の近道ですよ。
