旅行や入院で家を空けるとき、猫や犬を家に残したままお願いできるのがペットシッターです。探していると「動物取扱業の登録があるか確かめましょう」という一文によく行き当たります。
ただ、その登録をどこで見ればいいのかまでは、あまり書かれていません。番号を聞けばいいのか、どこかに一覧があるのか。
この記事では、動物の愛護及び管理に関する法律の条文と、自治体が公開している登録簿をもとに、登録番号を自分で確かめる手順をまとめます。あわせて、法律が決めていないこと、つまり飼い主の側から聞かないと分からないことも書きます。
ペットシッターの区分は「保管」
法律は、動物を扱う商売をいくつかの区分に分けています。条文では「動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。)、保管、貸出し、訓練、展示」と並んでいて、飼い主の家に通って世話をするペットシッターが当てはまるのは、このうちの「保管」です。
区分が分かると、確かめる先も決まります。犬や猫を売る店なら「販売」、しつけ教室なら「訓練」で登録しているはずなので、預かりをお願いするのに「販売」しか登録がない相手なら、そこで一度立ち止まれます。
受け付けるのは都道府県か政令市
条文は、登録先を「事業所の所在地を管轄する都道府県知事(指定都市にあつては、その長とする)」と定めています。つまり政令指定都市では、県ではなく市が窓口になります。
神奈川県を例にとると、横浜市・川崎市・相模原市はそれぞれ独自に一覧を出していて、県の一覧には載っていません。探すときは、まずシッターの事業所がある市区町村を聞いて、その地域を担当しているのが市なのか県なのかを確かめてください。
登録番号は、どこを見れば分かるのか
法律は登録番号の見せ方について、ふたつの決まりを置いています。ひとつは事業所に掲げる標識、もうひとつは自治体が備える登録簿です。飼い主にとって使いやすいのは、後者のほうになります。
標識は「事業所ごと」に掲げるもの
条文は「その事業所ごとに、公衆の見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号その他の環境省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない」としています。
ここに落とし穴があります。シッターの事業所が自宅であれば、飼い主がそこを訪ねる機会はまずありません。標識は確かに掲げられていても、こちらの目には入らない場所にあるわけです。だから「標識を見る」は、シッターを選ぶときの手段になりません。
登録簿は誰でも閲覧できる
もうひとつの決まりが効きます。条文は「都道府県知事は、第一種動物取扱業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない」と定めていて、誰でも見られる状態にしておくことが義務になっています。
ただし条文は「インターネットで」とまでは書いていません。窓口に行けば見られる、という形でも決まりは満たされます。ウェブで公開している自治体もあるので、まずは探してみて、見つからなければ窓口に問い合わせる、という順番になります。
自分の地域の窓口から探そう
検索するときは、一覧ファイルを直接探すより、その自治体の動物愛護を担当する部署のページにたどり着くほうが確実です。一覧は更新のたびに置き場所が変わることがあり、検索で上のほうに出てくるファイルが最新とはかぎりません。
担当部署のページには「第一種動物取扱業」という見出しがあり、そこから登録簿のファイルに進めます。自治体名と「第一種動物取扱業」で検索して、公式サイトのページを開くところから始めてください。
自治体ごとに、見え方がこれだけ違う
同じ登録簿でも、中身の作りは自治体ごとに違います。東京都と神奈川県を並べると、その違いがはっきりします。
| 見るところ | 東京都 | 神奈川県 |
|---|---|---|
| ファイルの形 | ExcelとPDF | |
| 地域の分け方 | 区部と島しょで分割 | 1ファイルにまとめ |
| 登録番号 | 区分の文字入り | 数字のみ |
| 区分の欄 | あり | あり |
| 扱う動物の欄 | なし | 哺乳類・鳥類・爬虫類 |
| いつ時点かの記載 | あり | 記載なし |
番号だけで区分が分かる自治体と、分からない自治体
東京都の登録番号は「21東京都保 第…」のように、年度の数字と都の名前のあとに区分を表す文字が入っています。「保」なら保管、「販」なら販売なので、番号を聞いただけで預かりの登録かどうかが読めます。
神奈川県の番号は数字が並ぶだけで、区分は番号から読み取れません。この場合は一覧の「種別」の欄まで見る必要があります。番号を控えるときは、区分の欄もあわせて見ておくと確実です。
いつ時点の一覧かが、書かれていないことも
東京都の一覧には基準日が入っていますが、神奈川県のものには見当たりません。登録はその後も増えたり抜けたりするので、一覧に名前がないことは、登録していないことの証明にはなりません。
見つからなかったときは、番号を聞き直すか、自治体の窓口に確かめるのが早道です。「一覧になかったので怪しい」と早合点しないでください。
法律が決めていないこと
確認の手順と同じくらい、決まりが置かれていない部分を知っておくと役に立ちます。聞かなければ出てこない情報が、どれなのかが分かるからです。
説明する義務があるのは販売する業者だけ
条文には飼い主への説明について定めた条があり、その主語は「動物の販売を業として行う者」です。販売する側には、動物の種類や習性、飼い方を購入者に説明する義務があります。
一方、保管を仕事にする区分には、同じ義務がありません。つまりシッター側から登録番号や区分を進んで伝える法律上の決まりはなく、こちらから聞いて初めて分かるということになります。聞きにくいことを聞いているわけではないので、遠慮なく尋ねてください。
予約の前に確かめる3つ
ここまでを、申し込みの前にできる形にまとめます。どれも電話やメールのやりとりのなかで済みます。
3つとも、相手を疑うための作業ではありません。登録は商売をするうえでの前提なので、きちんと営んでいるシッターなら番号はすぐ出てきます。答えが返ってこないときだけ、もう一度考えれば足ります。
よくある質問
登録のまわりで、本文に入りきらなかった問いをまとめます。
- Q登録のないペットシッターに頼むと、飼い主も罰せられますか?
- A
法律が登録を求めているのは、商売として動物を扱う側です。条文の義務は業を営む者に向いていて、頼んだ飼い主を罰する定めは置かれていません。
ただ、登録のない相手に預けること自体の危うさは残ります。登録には動物取扱責任者についての要件があるので、そこを通っているかどうかは、相手を知る手がかりになります。
- Q登録番号に有効期限はありますか?
- A
登録には満了の日があり、登録簿にも満了年月日の欄が設けられています。期限が来る前に更新の手続きをとる決まりです。
番号を照らすときは、満了日が過ぎていないかもあわせて見てください。登録簿が古い時点のものだと、更新後の情報が反映されていないこともあります。
- Qペットホテルとペットシッターで、登録の区分は違いますか?
- A
どちらも預かる仕事なので、区分は同じ「保管」です。施設に連れて行くか、家に来てもらうかの違いであって、法律上の区分は変わりません。
ペットホテルの料金のめやすは別の記事にまとめています。ペットホテルの料金相場|犬・猫のサイズ別の目安と料金が変わる条件もあわせてどうぞ。
まとめ
ペットシッターは「保管」の区分で登録し、その番号は自治体の登録簿で誰でも確かめられます。標識は事業所に掲げるものなので飼い主の目には入らず、シッター側から説明する法律上の義務もありません。だからこそ、番号を聞いて自分で照らすのがいちばん確実です。
一覧の作りは自治体ごとに違い、いつ時点のものかが書かれていないこともあります。見つからないときは窓口に確かめれば済む話なので、気負わずに、申し込みのついでに聞いてみてください。
出典: e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」/東京都「第一種動物取扱業の登録について」/神奈川県「第一種動物取扱業」(2026年10月22日に確認)。法令や自治体の公開方法は変わることがあるので、手続きの詳しいところは、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。
