記事内にアフィリエイト広告を含む場合があります

犬に噛まれたら保健所に届けるのは誰か|期限も自治体で違う

犬に噛まれたら保健所に届けるのは誰か。期限も、届け出る人も自治体で違う 犬
この記事は約9分で読めます。

犬に噛まれたとき、まずは傷の手当てと受診が先に来ます。落ち着いてから出てくるのが、保健所に届けるのかという問いです。調べると、二十四時間以内と書く自治体と、翌日までと書く自治体が並んで出てきます。

違うのは期限だけではありません。東京都の条例が届出を義務づけているのは飼い主で、噛まれた側についての条文は置かれていないのです。一方で、被害者側の条文を持っている市もあります。

この記事では東京都、横浜市、浜松市の条文と、厚生労働省のサイトに載っている資料を引きながら、誰がいつまでにどこへ届けるのかを見ていきます。自分の住む自治体で確かめる手順もまとめました。

スポンサーリンク

届け出るのは飼い主。期限は自治体で変わる

まず、届出を義務づけている条文がどこにあるのかを押さえます。犬が人を噛んだときの手続きは、国の法律ではなく都道府県や市の条例が決めています。そのため、同じ事故でも場所によって期限が変わります。

東京都は「事故発生の時から二十四時間以内」

東京都動物の愛護及び管理に関する条例の第二十九条第一項には、こうあります。

飼い主は、その飼養し、又は保管する動物が人の生命又は身体に危害を加えたときは、適切な応急処置及び新たな事故の発生を防止する措置をとるとともに、その事故及びその後の措置について、事故発生の時から二十四時間以内に、知事に届け出なければならない。

起点は事故が起きた時刻で、気づいた時刻ではありません。東京都保健医療局の案内も、被害者の救護と再発防止の措置をとったうえで、二十四時間以内に事故発生届出書を出すという並びで書いています。提出先は事故が起きた場所で決まるので、住んでいる区ではなく、起きた場所の保健所を調べると迷いません。

横浜市は「事実を知った日の翌日まで」

同じ関東でも、横浜市の案内は起点も単位も違います。

飼い犬が人を咬んだとき、飼い主はその事実を知った日の翌日(区役所の閉庁日に当たるときは、翌開庁日)までに、区福祉保健センター生活衛生課に届けてください。また、咬みついた犬の飼い主は、2日以内にその犬を獣医師に検診させて、狂犬病にかかっていない事を確認するための鑑定を受けなければなりません。

時間ではなく日で数え、起点も知った日になっています。閉庁日なら翌開庁日まで延びると書いてあるぶん、夜間や休日に起きた事故でも手続きの道筋がはっきりします。

浜松市は時間や日ではなく「速やかに」

浜松市の条例は、令和六年四月に制定されたものです。第十条が届出の条にあたります。

(飼い犬の加害の届出)第10条 飼い犬が人の生命、身体又は財産に危害を加えたときは、当該飼い犬の飼い主は、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を市長に届け出なければならない。この場合において、市長は、必要な指示を与えることができる。

数字で区切らず、速やかにと書く形です。何時間という目安がないぶん、事故の当日に連絡してしまうほうが確実になります。なお浜松市の条文は、危害の対象に財産も入れています。

自治体飼い主の届出検診
東京都(条例第二十九条)事故発生の時から二十四時間以内事故発生の時から四十八時間以内
世田谷区(東京都内の案内)二十四時間以内に保健所へ連絡四十八時間以内に一回目。少なくとも二回目が必要
横浜市事実を知った日の翌日まで二日以内
浜松市(条例第十条)速やかに直ちに
埼玉県すぐに最寄りの保健所へすぐに狂犬病鑑定を受けさせる
犬が人を噛んだときの届出と検診の期限(自治体の案内と条文)

噛まれた側は、届け出なくてよいのか

ここが、調べていていちばん分かれる部分です。届出の条文は飼い主に向けて書かれていて、被害者側をどう扱うかは、条例によって形が違っていました。

東京都の条例に、被害者側の条文は無い

東京都の第二十九条は、主語が飼い主です。噛まれた人に届出を求める条文は、この条例には置かれていません。条文の面では、噛まれた側の手続きが決められていないことになります。

ただし届けない選択がよいという意味ではありません。埼玉県は被害者に向けて最寄りの保健所への連絡を呼びかけていますし、静岡県は噛まれたときと噛んだときを並べて、どちらも届け出るよう案内しています。飼い主が届け出たかどうかを被害者が確かめられるので、連絡しておくと話が止まりにくくなります。

浜松市には条文があり、努力義務になっている

浜松市の条例には、被害者側の条が独立して置かれています。

(飼い犬による被害の届出)第11条 人の生命、身体又は財産が飼い犬に危害を加えられたときは、その被害者は、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出るよう努めなければならない。

第十条の飼い主が「届け出なければならない」であるのに対し、第十一条の被害者は「届け出るよう努めなければならない」です。同じ条例の中で、義務の強さが書き分けられています。この違いが読めると、自分の自治体の条文を見たときにも強さを測れます。

「双方に届け出る義務があります」と書く記事があります

ここで引いた二つの条例では、そうなっていませんでした。東京都には被害者側の条文が無く、浜松市は努力義務です。自分の自治体がどちらの形かは、条文そのものを見ると確かめられます。

検診は四十八時間では終わらない

届出と並んでもう一つ期限があります。噛んだ犬を獣医師に見せる検診です。こちらは最初の期限だけが広く知られていて、その後に続きがあることはあまり書かれていません。

東京都の条例の第二十九条第二項は、次のように定めています。

2 犬の飼い主は、その犬が人をかんだときは、事故発生の時から四十八時間以内に、その犬の狂犬病の疑いの有無について獣医師に検診させなければならない。

国の通知が、検診の期間を二週間としている

厚生労働省のサイトに載っている徳島県の資料には、獣医師に向けた説明としてこう書かれています。

狂犬病の検診期間は、昭和27年1月10日付け衛発第16号厚生省公衆衛生局長通知より、2週間と通知されています。担当獣医師の判断のもと、最低2回以上の検診を行って下さい。

四十八時間以内というのは一回目の期限で、そこから二週間ほど見て最終の診断に至る流れです。世田谷区の案内も、四十八時間以内に一回目を受けたうえで少なくとも二回目が必要だと書いています。二回目まで見込んでおくと、予定を立てやすくなります。

届出をしないより、検診をさせないほうが罰は重い

東京都の条例には罰則の章があり、この二つは違う条で受けられています。

第三十九条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。…二 第二十九条第二項の規定に違反して、犬を獣医師に検診させなかった者…第四十条 次の各号の一に該当する者は、拘留又は科料に処する。…二 第二十九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

届出をしなかった場合は第四十条、検診をさせなかった場合は第三十九条です。金額でいえば検診のほうが重い枠に置かれています。狂犬病の疑いを確かめる手続きが、条例の中で重く扱われていると読めます。

噛んだ犬はどうなるのか

検索の候補にもっとも多く並ぶのが、この問いです。条文を見ると、行政が命じられる措置は一つではありません。東京都の条例では五つが並んでいて、順番にも意味があります。

(措置命令)第三十条 知事は、動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害したとき、又は侵害するおそれがあると認めるときは、当該動物の飼い主に対し、次の各号に掲げる措置を命ずることができる。一 施設を設置し、又は改善すること。二 動物を施設内で飼養し、又は保管すること。三 動物に口輪を付けること。四 動物を殺処分すること。五 前各号に掲げるもののほか、必要な措置

施設の改善、屋内での飼養、口輪という三つが先に並び、四番目に重い措置が置かれています。どれを命じるかを決めるのは知事で、条文はそこまでしか書いていません。一番目から三番目の措置は、飼い方を変えることで備えられます。

犬のマズル(口輪)おすすめ5選|使う目的・サイズの選び方と正しい慣らし方
「散歩中の拾い食いをやめさせたい」「動物病院で暴れてしまう」など、犬のマズル(口輪)を検討している飼い主さんは多いのではないでしょうか。マズルは犬を黙らせるための道具ではなく、拾い食いや咬傷を防いだり、通院や爪切りのときに一時的に使ったりす...

浜松市の条例は、命令の中身を並べずに一文でまとめています。市長は危害を加えた飼い犬の飼い主に対し、危害防止のために必要な措置を命じるものとする、という形です。書き方が違っても、行政が飼い主に対して命じる仕組みである点は共通しています。

自分の自治体で確かめる

ここまでに引いたのは、一部の自治体だけです。それでも期限の書き方と、届け出る人の扱いは、どれも同じではありませんでした。自分の地域の条文を開けるようにしておくと、数字を取り違えずに済みます。

探すときは、自治体名と「動物の愛護及び管理に関する条例」を並べて検索します。見る場所は三つです。事故が起きたときの措置を書いた条、そこに期限の数字があるかどうか、そして被害者側の条が別に置かれているかどうか。この順にたどれば、誰がいつまでに届けるのかまで確かめられます。

数字を他の地域にそのまま当てはめないでください

二十四時間という期限は東京都の条文の数字です。横浜市は日で数え、浜松市は数字を置いていません。記事や知恵袋で見た数字が自分の地域のものとは限りません。

よくある質問

条文を読んでいて迷いやすいところを三つまとめました。引用はいずれも、この記事で開いた条例と資料からです。

Q
犬同士の事故でも届出は必要ですか。
A

自治体によって分かれます。世田谷区の案内は、犬が人以外を咬んだ場合は届出の提出は不要だと書いています。

一方で浜松市の条例は、飼い犬が人又は他の動物をかんだときに獣医師の検診を求める形になっています。対象に動物が入っているかどうかは、条文を見ると分かります。

Q
届出の期限を過ぎてしまったらどうなりますか。
A

東京都の条例では、届出をしなかった場合と虚偽の届出をした場合が第四十条に置かれていて、拘留又は科料と定められています。

期限を過ぎたからといって届けなくてよくなるわけではありません。検診のほうも残っているので、動物病院と保健所の両方に連絡すると話が進みます。

Q
噛まれた側は何を控えておけばよいですか。
A

ここで引いた条例では、届出と検診の義務は飼い主の側に置かれています。静岡県の案内は、事故があった日時、場所、犬の特徴、飼い主の住所氏名を届け出る項目として挙げています。

これらは飼い主が届け出るときにも必要になる項目なので、その場で控えておくと、あとの確認が早くなります。犬の身元については鑑札の番号が手がかりになります。

まとめ

犬が人を噛んだあとの手続きは、三つの軸で自治体ごとに分かれていました。届け出る人、期限、そして検診の回数です。

届出を義務づけられているのは飼い主で、東京都には被害者側の条文がなく、浜松市では努力義務になっていました。期限は二十四時間以内、知った日の翌日まで、速やかにと三通りです。検診は四十八時間以内が一回目で、国の通知では二週間、最低二回以上とされています。

どの条がどの場面を受けているかが分かれば、自分の自治体の条例も同じ順番で読み解けます。つなぎ方そのものの決まりと、犬の身元を示す札については、別の記事にまとめてあります。

犬のノーリードは何に違反する?条例が決める罰は罰金ではない
犬のノーリードが何に違反するのかを、東京都の条例と施行規則、刑法の条文から整理しました。条例が義務づけているのはつないで飼うことで、散歩はただし書きで外れていること、罰より先に収容が来ることまで書いています。
犬の鑑札と注射済票|なくした・古い札・引っ越しの手続きを自治体別に比較
犬の鑑札や注射済票をなくしたとき、引っ越したときの手続きをまとめました。再交付は30日以内という全国共通の決まりから、札幌市・横浜市・静岡市・大阪市・松山市・斜里町の手数料と窓口の違い、注射済票の色でわかる年度まで整理しています。

出典: 東京都例規集「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」/東京都保健医療局「動物による事故」/世田谷区「犬が人を咬んだ」/横浜市「犬が人を咬んでしまったら」/浜松市動物の愛護及び管理に関する条例/厚生労働省サイト掲載「飼い犬が人を咬んだ場合の手続について」(2026年10月28日に確認)。条例は自治体ごとに内容が異なるため、お住まいの地域の条文でご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました