「犬のマイクロチップって、うちの子にも入れないといけないの?」と気になっている飼い主さんは多いと思います。2022年6月から制度が変わり、いつ・どうやって迎えた犬かによって、義務なのか努力義務なのかが分かれるのがポイントです。この記事では、マイクロチップとは何か、義務化のしくみ、迷子や災害時に役立つメリット、動物病院での装着方法と費用の目安、登録の手続き、安全性についての疑問まで、環境省の情報をもとに飼い主さん目線でわかりやすくまとめました。(制度の内容は2026年7月時点の情報です)
犬のマイクロチップとは
マイクロチップは、犬の体の中に入れるとても小さな電子標識です。円筒形のカプセルの中に、その犬だけの15桁の数字(番号)が記録されていて、専用の読み取り機(リーダー)をかざすとその番号を読み取れます。この番号と登録情報を照らし合わせることで、その犬の飼い主が誰かを確かめられるしくみです。
大きさは直径2mm前後・長さ1cm前後ほどで、獣医師が専用の注入器を使って、首の後ろあたりの皮膚の下に入れます。首輪や迷子札と違って外れたり落ちたりする心配がなく、いちど入れれば基本的に一生使えるのが特徴です。GPSのような位置情報の機能はなく、あくまで「その犬が誰の犬かを確かめるための番号」だと考えておくとわかりやすいですよ。
マイクロチップには居場所を追跡する機能はありません。あくまで、保護された犬に読み取り機をかざして番号を読み取り、登録された飼い主情報とつなげるためのものです。「入れておけばスマホで居場所がわかる」といったものではない点は、あらかじめ知っておいてくださいね。散歩中や外出時の脱走そのものを防ぐには、リードや首輪、脱走対策といった日ごろの備えが大切です。
犬のマイクロチップは義務?義務化のしくみ
2022年(令和4年)6月1日から、改正された動物愛護管理法により、犬や猫のマイクロチップに関するルールが変わりました。ここでいちばん大切なのは、「販売される犬」と「すでに飼っている犬」で扱いが違うという点です。自分の犬がどちらに当てはまるのかを確認しておきましょう。
ブリーダー・ペットショップは「義務」
ブリーダーやペットショップなどの販売業者(犬猫等販売業者)は、販売する犬にマイクロチップを装着し、登録することが義務づけられました。そのため、2022年6月1日以降にペットショップやブリーダーから迎えた犬は、すでにマイクロチップが入っていることがほとんどです。この場合、飼い主さんは新しく入れる必要はなく、後ほど紹介する「飼い主情報への変更登録」を行うことになります。
すでに飼っている犬の飼い主は「努力義務」
一方で、すでに犬を飼っている飼い主さんや、知人・保護団体などから譲り受けた犬については、マイクロチップの装着は「努力義務」とされています。努力義務とは、「できるだけ装着するよう努めましょう」という位置づけで、入れていなくても罰則があるわけではありません。とはいえ、迷子や災害のときに役立つことから、環境省も装着・登録をすすめています。入れるかどうかは、かかりつけの動物病院とも相談しながら判断するとよいですよ。
- 2022年6月以降にペットショップ・ブリーダーから迎えた → すでに装着済みのことが多い。飼い主情報への変更登録が必要
- それ以前から飼っている・知人や保護団体から譲り受けた → 装着は努力義務。入れるかは飼い主さんの判断(動物病院で装着できます)
犬にマイクロチップを入れるメリット
努力義務の犬でも、マイクロチップを入れておくといざというときに飼い主さんのもとへ戻りやすくなるという安心があります。主なメリットを見ていきましょう。
- 迷子・脱走時に身元がわかる:保護された犬に読み取り機をかざせば番号がわかり、登録情報から飼い主にたどり着けます
- 災害時に再会しやすい:地震や豪雨などではぐれてしまっても、確実な身元証明になります
- 外れたり消えたりしない:首輪や迷子札のように外れる心配がなく、いちど入れれば基本的に一生使えます
- 「自分の犬」だと証明しやすい:盗難や取り違えなどのトラブルのとき、飼い主であることを示す手がかりになります
とくに、地震や台風などの災害時ははぐれてしまうリスクが高まります。マイクロチップとあわせて、日ごろから同行避難の備えをしておくと安心です。犬の防災対策は、こちらの記事でくわしくまとめています。

犬のマイクロチップの装着方法と費用
どこで・どうやって入れるの?
マイクロチップの装着は、動物病院で獣医師が行います。専用の注入器を使って、首の後ろあたりの皮膚の下にチップを入れます。処置そのものは短時間で終わることが多く、通常の予防接種などと同じように受けられます。麻酔が必要になるかどうかや、ほかの処置とあわせて行えるかは、犬の状態によって変わるため、かかりつけの動物病院に相談して決めるのが安心です。
費用の目安
装着にかかる費用は数千円程度が目安ですが、動物病院によって金額は異なります。装着費用とは別に、後述する登録手数料もかかります。自治体によってはマイクロチップの装着費用の一部を補助している場合もあるため、お住まいの地域の情報もあわせて確認してみてください。正確な費用は、受診する動物病院に事前に問い合わせるのが確実です。
ここで挙げた金額はあくまで一般的な目安で、実際の費用は動物病院によって変わります。「必ずこの金額」というものではありません。正確な金額や、麻酔・ほかの処置とあわせて行えるかどうかも含めて、装着を考えている動物病院に直接確認するのがいちばん確実です。
犬のマイクロチップの登録手続き
マイクロチップは、入れるだけでは意味がなく、飼い主情報の「登録」まで行って初めて役立ちます。番号と飼い主さんの情報がひもづいていないと、保護されても連絡が取れないからです。登録は、環境大臣が指定した登録機関(公益社団法人 日本獣医師会)が運営する「犬と猫のマイクロチップ情報登録」で行います。
登録の流れ
- 新しく装着したとき:動物病院で装着したあと、飼い主さん自身がオンラインまたは郵送(用紙)で登録します
- 装着済みの犬を迎えたとき:ペットショップなどから迎えた犬は、前の情報から自分の情報へ「変更登録」を行います
- 引っ越し・飼い主が変わったとき:住所や飼い主が変わったら、そのつど変更登録が必要です
登録や変更にはそれぞれ手数料がかかり、オンラインと郵送で金額が異なります。手続きの細かい手順や最新の手数料、必要な書類は変わることがあるため、登録は必ず環境省・指定登録機関(日本獣医師会)の公式サイトで最新の案内を確認しながら進めてください。装着してくれた動物病院で、登録方法を案内してもらえることも多いですよ。
登録情報が古いままだと、せっかくマイクロチップが入っていても連絡が取れません。引っ越して住所が変わったときや、犬を譲り受けたとき・譲ったときは、そのつど変更登録をしておきましょう。電話番号やメールアドレスを変えたときも同じです。いざというときに確実に連絡が届くよう、情報は最新に保っておくのがおすすめです。
マイクロチップのよくある疑問(安全性・痛み・MRI)
「体に入れて大丈夫なの?」「痛くないの?」といった不安を感じる飼い主さんも多いと思います。気になりやすいポイントを整理しました。ただし、犬の体質や健康状態には個体差があるため、心配なことは必ずかかりつけの獣医師に相談してくださいね。
- 安全性:マイクロチップは体に害の少ない素材で作られており、一般に安全とされています。体への影響が心配な場合は、装着前に獣医師に相談しましょう
- 痛み:装着は通常の注射に近い処置で、短時間で終わることが多いとされています。犬の反応には個体差があります
- MRI検査:マイクロチップが入っているとMRI画像に影響が出ることがあります。検査を受けるときは、マイクロチップが入っていることを事前に病院へ伝えてください
持病がある犬や、体がとても小さい子、高齢の犬などでは、装着にあたって配慮が必要なこともあります。装着後に、入れた部分を気にする・腫れる・元気がなくなるといった気になる様子が見られたときは、自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。装着するかどうか迷うときも、まずは獣医師にその子の状態を診てもらったうえで判断すると安心です。
迷子・脱走を防ぐための日ごろの備え
マイクロチップは「はぐれたあとに再会するための備え」ですが、そもそも脱走や迷子を起こさない工夫もあわせて大切です。散歩中の飛び出しを防ぐリードや首輪の見直し、玄関や庭からの脱走対策を、日ごろから整えておきましょう。あわせて確認したい記事を紹介します。


よくある質問(FAQ)
- Qすでに飼っている犬にもマイクロチップは必要ですか?
- A
すでに飼っている犬や、知人・保護団体などから譲り受けた犬については、マイクロチップの装着は「努力義務」とされています。入れていなくても罰則はありませんが、迷子や災害のときに飼い主さんのもとへ戻りやすくなるため、環境省も装着・登録をすすめています。入れるかどうかは、その子の体質や健康状態も踏まえて、かかりつけの動物病院と相談しながら決めるとよいでしょう。(2026年7月時点の情報です)
- Qペットショップで買った犬は、登録もお店がやってくれますか?
- A
2022年6月1日以降にペットショップやブリーダーから迎えた犬は、販売業者によってマイクロチップの装着と登録が済んでいることがほとんどです。ただし、そのままでは前の登録者の情報になっているため、飼い主さん自身が自分の情報への「変更登録」を行う必要があります。手続きの方法はお店から案内があることが多いので、迎えるときに確認しておきましょう。詳しい手順は環境省・日本獣医師会の公式サイトで確認できます。
- Qマイクロチップを入れれば、犬の居場所がわかりますか?
- A
いいえ、マイクロチップにGPSのような位置情報の機能はありません。あくまで、保護された犬に専用の読み取り機をかざして15桁の番号を読み取り、登録された飼い主情報とつなげるためのものです。「入れておけばスマホで居場所がわかる」といったものではないので、脱走そのものを防ぐには、リードや首輪、玄関・庭からの脱走対策など日ごろの備えもあわせて大切にしてください。
まとめ
- マイクロチップは15桁の番号が入った小さな電子標識。首の後ろの皮下に入れ、飼い主の身元確認に使う(GPSではない)
- 2022年6月1日施行の改正動物愛護管理法で、ブリーダー・ペットショップは装着・登録が義務
- すでに飼っている犬の飼い主は「努力義務」。罰則はないが、迷子・災害への備えとして推奨されている
- 装着は動物病院で獣医師が行い、費用は数千円程度が目安(病院により異なる)
- 登録は指定登録機関(日本獣医師会)で。引っ越し・譲渡時は変更登録を忘れずに。詳細は公式サイトで確認
犬のマイクロチップは、はぐれてしまったときに飼い主さんのもとへ戻るための、頼れる備えです。すでに飼っている犬では努力義務ですが、迷子や災害のことを考えると入れておく安心は大きいもの。入れるかどうかや費用は、かかりつけの動物病院と相談しながら決め、登録・変更手続きは環境省や日本獣医師会の公式サイトで最新の案内を確認して進めてくださいね。マイクロチップとあわせて、日ごろの脱走対策も整えて、大切な愛犬を守ってあげましょう。
※この記事は2026年7月時点の一般的な情報を、環境省の案内などをもとにまとめたものです。制度の内容や手数料は変わることがあります。最新の情報は環境省・指定登録機関(日本獣医師会)の公式サイトでご確認ください。犬の体質や健康状態には個体差があるため、装着の可否や体調の不安はかかりつけの獣医師に相談してください。
