すやすや眠る愛猫から「グーグー」と小さないびきが聞こえてきて、思わずほっこり——でも「猫っていびきをかくものなの?」「病気じゃないか心配」と気になってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫のいびきの多くは、寝る姿勢によるリラックスした生理的なもので、心配のいらないことがほとんどです。ただ、なかには体調に関わるサインが隠れていることもあります。
この記事では、猫がいびきをかく主な原因、よく混同される「ゴロゴロ音」との違い、急にいびきをかくようになったときの観察ポイント、そして「こんなときは受診を」という目安までをまとめました。読了の目安は約4分です。
猫がいびきをかく主な原因
いびきは、眠っているときに空気の通り道(鼻やのど)が一時的に狭くなり、呼吸に合わせて粘膜が震えることで出る音といわれています。猫の場合、その狭くなる理由はさまざまです。生活のなかでよく見られるものから見ていきましょう。
リラックスした寝る姿勢
もっとも多いのが、寝る姿勢によるものです。あごを引いて丸まったり、首がぐにゃっと曲がった体勢で熟睡したりすると、のどや気道が一時的に狭くなっていびきが出ることがあります。深く眠ってリラックスしているサインでもあり、姿勢を変えると音が止まるようなら、過度に心配する必要はないことが多いです。
鼻づまり・猫風邪
鼻がつまっていると空気が通りにくくなり、いびきが出やすくなります。いわゆる「猫風邪」と呼ばれる上部気道の感染では、鼻水やくしゃみ、鼻づまりがあらわれることがあり、それにともなっていびきのような音が出ることもあります。くしゃみや鼻水が続いているときは、鼻の状態が関わっているのかもしれません。猫のくしゃみや鼻水については、次の記事でくわしくまとめています。

肥満(のどまわりの脂肪)
体重が増えてのどのまわりに脂肪がつくと、気道が狭くなっていびきが出やすくなることがあるといわれています。人と同じように、太り気味の猫はいびきをかきやすい傾向があるとされます。最近ぽっちゃりしてきた、動くのがおっくうそう、という猫は、体重管理を意識してあげたいところです。
加齢による変化
年齢を重ねると、のどや気道まわりの筋肉がゆるみやすくなり、若いころよりいびきをかきやすくなることがあります。シニア期に入ってから音が目立つようになった、というのはよくあることです。ただし、加齢のせいと思い込まず、ほかの症状がないかもあわせて見てあげると安心です。
短頭種の顔立ちによるもの
ペルシャやエキゾチックショートヘア、ヒマラヤンなど、鼻が短くて顔が平たい「短頭種」と呼ばれる猫は、鼻の穴や鼻の通り道がもともと狭い体のつくりをしているといわれています。そのため、ほかの猫種にくらべていびきや鼻を鳴らす音が出やすい傾向があるとされます。日ごろからいびきをかいていて、元気や食欲もふだんどおりなら、その子の個性であることも多いですが、音が急に大きくなった・呼吸が苦しそう、といった変化には注意しておきましょう。
鼻や口のトラブル
鼻の中や口の中の炎症、できもの、まれに鼻腔のポリープや腫瘤(しゅりゅう)などが、いびきのような音につながることもあるといわれています。見た目だけで原因を判断するのは難しいため、いびきが続いたり、片側だけ鼻水が出る・口臭が強いといった様子が重なったりするときは、動物病院で口の中や鼻もあわせて診てもらうと安心です。
「ゴロゴロ音」といびきの違い
猫といえば、のどを鳴らす「ゴロゴロ」という音も特徴的です。これといびきを混同してしまう飼い主さんは少なくありません。見分け方のポイントを整理しておきましょう。
ゴロゴロ音…起きているときにも出る/なでられて甘えているときや安心しているときに多い/規則的で連続した振動音。
いびき…基本的に眠っているときの呼吸に合わせて出る/息を吸う・吐くのリズムに合っている/姿勢を変えると止まることがある。
大きな違いは、「起きているかどうか」と「呼吸に連動しているか」です。ゴロゴロ音は起きていても出て、甘えているサインであることが多いのに対し、いびきは眠っているときに呼吸に合わせて出ます。判断に迷うときは、猫がどんなときに音を出しているか(起きている/寝ている)を観察してみると見分けやすくなります。
急にいびきをかくようになったときの観察ポイント
今までいびきをかかなかった猫が、急にいびきをかくようになったときは、少し気にかけてあげたいタイミングです。次のような点を観察して、いつもと違う様子がないか確認してみましょう。
- 体重が増えていないか…のどまわりの脂肪でいびきが出やすくなることがあります。
- 鼻水やくしゃみをともなっていないか…鼻づまりや猫風邪が関わっている可能性があります。
- 起きているときも口を開けて呼吸していないか…猫が口で呼吸するのは、ふだんはあまり見られないサインです。
- 呼吸が速い・浅くないか…安静にしているのに呼吸が荒いときは注意が必要です。
- 音が日ごとに大きくなっていないか…だんだん強くなる場合は変化を記録しておきましょう。
いびき単独で、ほかにいつもと変わった様子がなければ、数日ほど様子を見ていて問題ないことが多いです。一方で、上のようなサインが重なるときは、体調に関わる可能性があるため、早めに動物病院へ相談すると安心です。
おうちでできること
生理的ないびきや、軽い鼻づまりによるものであれば、生活環境を整えることで音がやわらぐことがあります。無理のない範囲でできる工夫を紹介します。
寝る姿勢が変えられる寝床を用意する
あごが圧迫されるような窮屈な体勢が続くと、いびきが出やすくなることがあります。ほどよい広さがあり、猫が自由に姿勢を変えられる寝床を用意してあげましょう。丸まっても伸びても心地よい、やわらかめの寝床だと、気道が圧迫されにくくなります。
体重を適正にたもつ
のどまわりの脂肪はいびきの一因になることがあるため、太り気味の猫は少しずつ体重管理を意識してあげたいところです。急な食事制限は体に負担がかかるため、避けたい方法です。適正体重や食事量の目安については、自己判断で減らしすぎず、かかりつけの獣医師に相談しながら進めると安心です。
空気と湿度を整える
空気が乾燥したり、ほこりやタバコの煙、香りの強い柔軟剤・芳香剤などの刺激があったりすると、鼻の粘膜が刺激されて鼻づまりやいびきにつながることがあります。こまめな換気や掃除で空気をきれいにたもち、乾く季節は適度な加湿を心がけましょう。ペットのいる家庭向けの空気清浄機の選び方は、こちらの記事で紹介しています。

清潔な寝床をたもつ
寝床にほこりや抜け毛がたまると、眠っている間に鼻を刺激してしまうことがあります。猫が長い時間を過ごす寝床は、こまめに洗ったり掃除したりして清潔にたもちましょう。とくに換毛期は抜け毛が増えるので、寝床まわりの掃除もあわせて意識してあげると、鼻への刺激を減らす助けになります。
こんないびきは動物病院へ
いびきそのものは生理的なことも多いですが、次のようなサインが見られるときは、いびきの背景に体調の問題が隠れていることがあります。自己判断で様子を見続けず、早めに動物病院へ相談しましょう。
- 起きているときも口を開けて呼吸している(猫の口呼吸は要注意のサイン)
- 呼吸が速い・浅い、苦しそうにしている
- 歯ぐきや舌が青紫っぽい(チアノーゼの疑い)
- いびきが急に大きくなった、日ごとに悪化している
- 鼻水やくしゃみ、鼻づまり、食欲不振をともなっている
- 片側だけ鼻水が出る、鼻血が出ている
- 元気がなく、ぐったりしている
とくに、猫が起きているときに口を開けて呼吸している「口呼吸」や、歯ぐき・舌が青紫っぽく見える「チアノーゼ」は、体に酸素が足りていない可能性があり、急いで対応したいサインです。ぐったりして呼吸が苦しそうなときも同様です。このような様子が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診してください。
受診の前に、いびきが出る時間帯や姿勢、いつから続いているか、ほかの症状の有無をメモしておくと診察がスムーズです。スマートフォンでいびきや呼吸の様子を動画に撮っておくのもおすすめです。診察室ではふだんの様子が出ないこともあるため、家での状態を伝えられると獣医師の判断の助けになります。最終的な診断や治療の判断は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
猫のいびきに関するよくある質問
- Q猫のいびきは病気のサインですか?
- A
猫のいびきの多くは、寝る姿勢によるリラックスした生理的なもので、姿勢を変えると止まるようなら心配のいらないことが多いです。ただし、鼻水やくしゃみ、口呼吸、呼吸のしづらさなどをともなう場合や、急に大きくなった場合は、体調に関わる可能性もあります。気になる症状が重なるときは動物病院で相談すると安心です。
- Qゴロゴロ音といびきはどう違うのですか?
- A
ゴロゴロ音は、起きているときにも出て、甘えているときや安心しているときに多い規則的な振動音です。一方いびきは、基本的に眠っているときに呼吸に合わせて出る音です。「起きているか・寝ているか」と「呼吸に連動しているか」で見分けると分かりやすくなります。
- Q短頭種の猫はいびきをかきやすいですか?
- A
ペルシャやエキゾチックショートヘア、ヒマラヤンなどの短頭種は、鼻の通り道がもともと狭い体のつくりといわれ、いびきや鼻を鳴らす音が出やすい傾向があるとされます。ふだんから軽くいびきをかいていて元気なら個性のこともありますが、音が急に大きくなったり呼吸が苦しそうだったりする場合は受診を検討してください。
まとめ
猫のいびきの多くは、寝る姿勢によるリラックスした生理的なもので、姿勢を変えると止まるようなら心配のいらないことがほとんどです。一方で、肥満・鼻づまりや猫風邪・短頭種の特徴などが関わることもあり、起きているときの口呼吸・呼吸のしづらさ・歯ぐきや舌が青紫(チアノーゼ)・急な悪化がそろうときは、早めの受診が安心です。まずは「ゴロゴロ音といびきの違い」を意識しながら、いつもと違うと感じたら、ほかの症状もあわせて観察してあげてください。適度な体重管理や清潔な寝床、きれいな空気づくりも、愛猫の快適な眠りを守る助けになります。
