玄関のドアを開けた一瞬、網戸を前足で横に滑らせた一瞬、ベランダに出した洗濯物のすきま。猫が外に出るきっかけは、玄関だけではありません。この記事では、猫の脱走防止グッズを玄関・窓(網戸)・ベランダの設置場所別に9点紹介します。あわせて、賃貸で使えるか、どんな猫や住まいには向かないかまで整理しました。
猫の脱走が起きる場所は「玄関・窓(網戸)・ベランダ」に分かれる
環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(平成22年2月)は、猫は屋内で飼うことを基本とし、環境を整えれば屋内だけで心身ともに健康に過ごせるとしています。同時に、屋内で飼っている犬や猫がドアや門のすきまから脱走しないよう、戸締まりに注意するよう呼びかけています。つまり「室内飼い」と「出入口の対策」はセットで考えるもの、という整理です。
グッズを選ぶ前に、自宅のどこが弱点なのかをはっきりさせておくと失敗しません。設置場所によって、必要な製品はまったく別のものになります。
玄関・廊下|人の出入りに合わせて飛び出す
宅配便の受け取りや家族の帰宅など、ドアが開くタイミングは毎日あります。ここで効くのは、玄関と居住スペースのあいだを物理的に仕切る背の高いペットゲートです。猫は助走をつけて跳べるため、ベビーゲートのような低いものでは越えられます。
窓・網戸|猫が自分で開ける/破る
網戸は前足で横にスライドできてしまうため、換気のつもりが出口になります。網そのものを爪で破って抜けるケースもあります。対策は「動かないように固定する(網戸ロック)」と「破られにくい網に替える・重ねる(ペット用の網戸ネット)」の2方向です。
ベランダ|まず「出さない」。ネットは戸建て・専用使用のバルコニー向け
同じ環境省のガイドラインは、集合住宅について「共用部分となっているベランダには、犬や猫を出さないようにしましょう」と案内しています。マンションでまず考えたいのは、掃き出し窓の内側で仕切って、そもそもベランダに出さない形です。玄関用と同じハイタイプのゲートがそのまま使えます。
ネットで面をふさぐ方法が向くのは、戸建てや、専用使用が認められたバルコニーです。手すりの下のすきま、隣戸との仕切り板の足元、室外機を踏み台にした乗り越えが弱点になります。マンションのバルコニーは取り付け方によって管理規約の確認が要るので、記事末のよくある質問にまとめました。
前述の環境省ガイドラインは、発情の時期には、いつもはおとなしい室内飼いの猫が突然家を飛び出すことがあると記しています。同ガイドラインがその対策として挙げているのは、なるべく早期の不妊去勢手術です。手術を済ませている場合も、普段の様子だけでグッズの要否を決めないのが安全側の判断になります。
グッズを使わない日ごろの工夫(声かけの習慣、猫の待機スペースづくりなど)は、別記事でまとめています。あわせて読むと対策の全体像がつかめます。

猫の脱走防止グッズの選び方|設置場所ごとに見るポイント
高さと「すきまの幅」で選ぶ
猫用として売られている突っ張りゲートは、天井近くまで届く150〜190cm前後のものが中心です。高さと同じくらい大事なのが柵と柵のあいだの幅で、子猫や細身の猫は数センチのすきまを通り抜けます。3.5cm間隔など、間隔を明記している商品を選ぶと判断しやすくなります。
賃貸で使えるか(穴あけの要否)で選ぶ
壁にビスを打つタイプは原状回復の問題が出ます。賃貸なら、突っ張り式・粘着式・面ファスナー式など穴あけ不要をうたう製品が候補になります。ただし粘着式は壁紙や樹脂サッシの種類によって跡が残ることがあるため、目立たない場所で試してから貼るのが確実です。
毎日通る場所かどうかで選ぶ
玄関の廊下のように人が何度も通る場所は、扉付き・片手で開けられる・自動で閉まる(オートクローズ)といった機能が効いてきます。逆に、ほとんど通らない窓辺なら扉なしの固定タイプで十分です。開け閉めが面倒だと使わなくなるので、通行頻度から逆算して選びましょう。
この記事で紹介するサイズ・仕様は、いずれも各商品ページの表記に基づく情報です。突っ張りタイプは「取付幅」と「高さ」の両方が範囲内でないと固定できません。設置予定の場所をメジャーで測ってから、最新の商品ページで数値を確認してください。価格や在庫、取り扱いサイズは変動します。
【玄関・廊下】猫の脱走防止ゲートおすすめ4選
玄関まわりは、ドアの内側または廊下の途中に「もう一枚」仕切りをつくるのが基本です。設置できる間口の幅と、天井までの高さで候補が絞られます。
1. のぼれんニャン バリアフリー Quick スリム(日本育児)|間口が狭い玄関に
ベビー用品メーカー・日本育児の猫用ゲートシリーズのスリムタイプです。商品ページによると幅73.5cmから取り付けられるため、マンションの短い廊下や、玄関からすぐ曲がる間取りのように、幅の取れない場所で選択肢になります。突っ張り式で穴あけは不要、下側もバリアフリー構造でつまずきにくい形です。
向かないケース:間口が広い玄関では別売の拡張フレームを足す必要があり、その分だけ費用がかさみます。また上部にすきまが残る設置になると、垂直の壁を登れる猫には突破されることがあります。
2. にゃんゲート LIFAXIA ペットゲート 150cm/170cm/190cm|高さを選びたい人に
高さを150cm・170cm・190cmから選べるタイプです。商品ページの表記では取付幅61.5〜220cmに対応し、細い廊下から広めのリビング入口まで同じシリーズでそろえられるのが利点です。玄関とキッチンの両方に立てたい、といった使い方に向きます。
向かないケース:高さを低めにすると、跳躍力のある若い猫には越えられる可能性があります。ジャンプで棚の上まで一気に上がるような猫の場合は、最初から190cmを選ぶほうが結果的に安く済みます。
3. にゃんドア ペットゲート ハイタイプ 高さ190〜250cm|天井が高い玄関に
商品ページによると高さ190〜250cmまで伸ばせるタイプで、天井高が2.4m前後ある住まいでも上のすきまを埋めやすいのが特徴です。取り付け幅はノーマルタイプが約85〜92.5cm、DXタイプが約85〜123cmで、床と天井で突っ張って固定します。ドア付きの両開きで、上下2か所のロックが付いています。
向かないケース:最小でも約85cmの幅が要るので、それより狭い間口には入りません。上下2か所を操作する構造のため、両手がふさがっているときの開閉には手間がかかります。買い物袋を持って何度も出入りする動線上には、片手操作できるタイプのほうが合います。
4. ペットゲート 突っ張り 高さ155cm/190cm・3.5cm間隔|子猫のすり抜けが心配な家に
柵の間隔を3.5cmと明記しているタイプです。商品ページでは取付幅61.5〜246cm(説明欄の対応サイズ表は66.5cmから17種類)に対応し、子猫の通り抜け対策と、90度未満まで閉じると自動で閉まってロックがかかる構造を両立しています。前後どちらからでも開けられ、段差を低くする専用スロープも付きます。
向かないケース:商品ページの説明では、90度以上開くと扉が開放状態でキープされます。「手を離せば必ず閉まる」わけではないので、人の出入りが多い時間帯に全開のまま放置しないよう、開き幅の習慣づけが要ります。
犬と猫を一緒に飼っている場合、同じ場所に犬用ゲートを検討することもあると思います。犬用ゲートは「越えさせない高さ」より「押し破らせない強度」を優先した設計で、猫用のハイタイプとは選ぶ基準が異なります。犬向けの選び方は別記事にまとめています。

【窓・網戸】猫の脱走防止グッズおすすめ4選
窓まわりは「開けさせない」「破らせない」の2段構えです。網戸ロックや網の張り替えは数千円以内で対策できるため、玄関ゲートより先に手を付けやすい場所でもあります。
5. のぼれんニャン 窓用 S/M(日本育児)|窓辺・カウンターを仕切る
窓やキッチンカウンターの前に立てる、背の低いタイプのゲートです。商品ページの表記では、Sサイズが高さ55〜88cm、Mサイズが高さ85〜148cmで、本体の幅は70cm(それより広い窓には別売パーツの追加が要ります)。上下に丈夫な枠がある引き違い窓に突っ張って使う形で、出窓や腰高窓など、床から天井まで塞ぐ必要がない場所にちょうど合います。
向かないケース:上を跳び越えられる高さなので、単独では掃き出し窓の対策になりません。床から続く大きな窓には、玄関用と同じハイタイプを立てるか、次のネットと組み合わせてください。
6. KOKUBO 網戸用ロック 6個セット(小久保工業所)|網戸を自分で開ける猫に
付属の粘着シールで貼り付け、レバーを起こして網戸のタテ枠を押さえる粘着式のストッパーです。商品ページでは「網戸を簡易的に開かないようにするためのもの」と案内されていて、力任せに引かれれば外れることもあります。6個入りなのでリビング・寝室・洗面所と、家じゅうの窓にまとめて付けられるのが利点で、工具は要りません。
向かないケース:網戸そのものを爪で破って出る猫には効きません。ガラス戸の種類によっては取り付けられない場合があり、粘着式のため設置面の汚れによって貼り付きも弱くなります。貼る前に設置面の油分やホコリを拭き取り、貼ってから24時間は網戸を動かさないでください。
7. ペット用網戸 SDT 92cm×180cm(明和グラビア)|今の網戸に重ねて貼る
既存の網戸の上から、付属の面ファスナーで留めるタイプのペット用ネットです。商品ページの表記では92cm×180cmで、網戸を外さず、あとから戻せる点が賃貸向きです。網の目が細かく、防虫を兼ねられます。
向かないケース:重ねて貼る分だけ厚みが出るので、網戸とサッシのクリアランスが狭い窓では引っかかることがあります。付属の面ファスナーは粘着で留めるため、貼る面のホコリを拭き取ってから貼ってください。窓のサイズが92cm×180cmを大きく超える場合も対象外です。
8. ペットディフェンス 網戸用ネット 切売(ダイオブランド)|網ごと張り替える
網戸ネットのメーカー、イノベックス(ダイオブランド)が出しているペット専用の張り替え用ネットです。幅91cmで1m単位の切り売りのため、窓の数とサイズに合わせて必要な分だけ買えるのが強みです。商品ページの表記では20メッシュ相当の厚手で、爪のひっかきに耐える抗菌タイプとされています。
向かないケース:網戸から古い網を外し、押さえゴムを入れ直す作業が必要です。DIYの経験がない場合や、網戸を外せない構造の窓(はめ殺し・ロール網戸など)では、7番の重ねるタイプのほうが現実的です。
【ベランダ】猫の脱走防止ネット|張るなら穴あけ不要のものを
ここで紹介するネットは1点です。前述のとおり、集合住宅で共用部分にあたるベランダは「出さない」が基本で、マンションでは掃き出し窓の内側にハイタイプのゲートを立てるほうが規約とぶつかりません。ネットが向くのは、戸建てや、専用使用が認められたバルコニーで、手すりの下のすきまや仕切り板の足元をふさぎたいときです。
選ぶときは、まず取り付け方式を見てください。ベランダ用として売られているネットには、付属のアンカーを壁に打ち込んで固定する製品があります。共用部分に穴をあけるのは管理規約に触れる可能性があり、賃貸なら原状回復の対象です。結束バンドやロープで手すり・柵に結んで留められる製品なら、この問題を避けられます。張る高さは、猫が乗れる室外機や物置の上まで含めて見積もってください。
9. 転落防止ネット 1m×1m/3m/5m 切り売り|結束バンドで手すりに結べる
商品ページの表記では、ポリエチレン製で穴のサイズは6mm、幅1mに対して長さを1m・3m・5mから選ぶ切り売りタイプです。付属品は結束バンドだけで、壁に打ち込むアンカーは入っていません。手すりや柵に結んですきまをふさぐ使い方になるため、穴をあけずに済ませたいバルコニーで扱いやすい形です。ハサミで好きな長さに切って調整できます。
向かないケース:幅1mのネットなので、手すりの上まで高く囲うには枚数と、結ぶ先になる支柱が要ります。商品ページにも「ネットの張り方によっては思わぬ事故に繋がる場合もございます。ご自身の責任の上、設置してください」という案内があり、猫をベランダに出したまま目を離す使い方は想定されていません。
設置場所別 早見表|どこに何を置くか
| 設置場所 | 主なグッズ | 取り付け方式 | 選ぶときの決め手 |
|---|---|---|---|
| 玄関・廊下 | ハイタイプのペットゲート | 突っ張り(穴あけ不要) | 取付幅と天井までの高さ |
| 腰高窓・カウンター | 窓用の低いゲート | 突っ張り(穴あけ不要) | 窓枠の高さと幅 |
| 網戸(開けられる) | 網戸ロック・ストッパー | 粘着式 | 設置したい窓の数 |
| 網戸(破られる) | ペット用の網戸ネット | 面ファスナー/張り替え | 賃貸か持ち家か |
| ベランダ | 脱走防止ネット | 結束バンド・ロープで結ぶ(壁にアンカーを打ち込む製品もある) | 穴あけの要否と目合いの細かさ |
2か所以上に弱点がある場合は、いちばん頻繁に開く場所から順に手を付けると効果が見えやすくなります。玄関のドアと網戸は毎日開け閉めするぶん、対策の有無がそのまま結果に出る場所です。
グッズを付けても脱走が起きるときに備えておくこと
ゲートもネットも、開けっぱなしにすれば機能しません。工事や来客で一時的に外す日、家族が設置場所を通り抜ける動線など、「対策が効かない時間」が必ず残る前提で備えておくと安心です。
その備えの中心が所有明示です。前述の環境省ガイドラインは、保護された犬や猫について、飼い主が迷子札やマイクロチップをつけていれば家に帰れた可能性が高いと指摘しています。マイクロチップは、いまはペットショップやブリーダーなどの販売業者に装着が義務づけられていて、一般の飼い主は努力義務です。販売業者から迎えた猫は、取得から30日以内に飼い主の情報へ変更登録をする決まりで、これをしないと保護されても連絡先をたどれません。首輪に付ける迷子札の選び方は別記事にまとめています。

よくある質問(FAQ)
- Q突っ張り式のペットゲートは賃貸でも使えますか?
- A
突っ張り式は壁に穴をあけずに設置できるため、賃貸でも選ばれています。ただし突っ張り圧が一点にかかるので、石膏ボードの壁や引き戸の枠に直接押し付けると、へこみや跡が残ることがあります。当て板が付属する製品はそれを使い、ベニヤや石膏ボードの吊り天井なら桟のある位置を選んで立ててください。粘着式の網戸ロックも同様に、目立たない場所で試してから本設置すると安心です。
- Q猫はどのくらいの高さのゲートなら飛び越えませんか?
- A
跳躍力は年齢・体格・性格で差が大きく、「この高さなら越えない」と言い切れる数字はありません。猫用として販売されているゲートが150〜190cm前後にそろっているのは、天井までのすきまを小さくする発想だからです。助走できる家具が近くにあると同じ高さでも越えやすくなるため、ゲートの手前にキャットタワーや棚を置かない配置もあわせて見直してください。
- Q網戸ロックだけで猫の脱走は防げますか?
- A
網戸ロックが対応するのは「猫が網戸を横に滑らせて開ける」パターンだけです。網そのものを爪で破って抜けるタイプの脱走には効きません。愛猫の行動がどちらなのか分からない場合は、まず網戸ロックを付けて様子を見て、網に爪あとや穴ができるようならペット用の網戸ネットを足す、という順番が無駄になりません。
- Qベランダにネットを張るとき、マンションの規約は関係しますか?
- A
関係します。国土交通省がひな型として公表している「マンション標準管理規約(単棟型)」では、バルコニーは共用部分の範囲に含まれ(第8条・別表第2)、区分所有者はそこに専用使用権を持ち(第14条)、共用部分は通常の用法に従って使う(第13条)という整理です。ただしこれはひな型であって、法律ではありません。実際にどこまで手を加えてよいかはお住まいのマンションの管理規約と使用細則で決まるため、購入前に規約の確認と管理会社への相談をおすすめします。確認したいのは、ネットを固定するときに壁や手すりに穴をあけないか、隣戸との仕切り板の前や避難ハッチの上を塞がない設置になるか、外観について色や取り付け方の指定がないかの3点です。
- Q子猫やシニア猫でも同じグッズを選んで大丈夫ですか?
- A
子猫は体が細いぶん、柵のすきまやネットの目を通り抜けることがあります。柵の間隔やネットの目合いを明記している商品を選び、実際の体格に対して余裕がありすぎないか確認してください。シニア猫の場合は跳躍より、足元のバー(またぎ部分)につまずかないかが問題になります。段差の少ないバリアフリー構造のゲートが扱いやすくなります。
まとめ
- 対策は「玄関・窓(網戸)・ベランダ」の設置場所別に考える
- 玄関はハイタイプの突っ張りゲート。取付幅と天井高を先に測る
- 網戸は「開けられる」なら網戸ロック、「破られる」ならペット用ネット
- ベランダはまず「出さない」。ネットを張るなら穴あけの要否と管理規約を確認する
- 柵の間隔・ネットの目合いは、子猫ほどシビアに見る
- グッズが効かない時間帯に備えて、迷子札などの所有明示も用意する
猫の脱走防止は、家じゅうを完璧に囲うことではなく、自宅でいちばん開きやすい場所を1つずつ潰していく作業です。玄関のゲート、網戸のロック、ベランダのネット。どれか1つ設置するだけでも、ひやりとする場面を1つ減らせます。愛猫の体格と住まいの寸法に合ったものを選んでみてくださいね。
なお、万が一外に出てしまったときの相談先として、環境省のガイドラインは、お住まいの自治体の動物愛護管理担当部署・動物愛護センター・保健所・獣医師会を挙げています。早めに連絡してみてください。
