猫のベッドは、針も糸もミシンも使わずに作れます。たたむ、敷く、包む、かぶせるという4つの動作だけで形になるので、裁縫の道具が家になくても今日のうちに一つ用意できますよ。
この記事で作るのは4つです。毛布をたたむだけのベッド、浅い箱にタオルを敷く寝床、100円ショップのクッションで作るベッド、そこに毛布をかけて屋根をつけるドーム型。材料は家にあるものと100円ショップでそろい、作る時間は1分から10分ほどが目安になります。
ここからは、4つそれぞれの材料と手順を見ていきます。手軽なものから始めて、最後の1つは3番目のベッドに屋根を足す形なので、上から順に読むと作りやすいはずです。縫わない代わりに接着剤やテープへ手が伸びやすいので、その代わりになる留め方は4つを紹介したあとの節にまとめました。冬に暖かさを足す順番と、洗って清潔に保つ手順は後半で扱います。
縫わずに作れる猫のベッド4つ
用意する道具は、はさみが1本あれば足ります。箱を切るあいだは猫を別の部屋で待たせて、切り口を指でなぞってささくれが残っていないことを確かめてから渡しましょう。どれも途中で材料を入れ替えられるので、まずは1分でできるものから試してみましょう。
猫は狭いところを好み、体がすっぽり入る程度の広さがあれば寝床になります。作りはじめる前に、いま愛猫がどこでどんな格好で寝ているかを見ておきましょう。体を丸めて寝る猫なら丸まった姿がちょうどおさまる広さ、体を伸ばして寝る猫なら伸びたときの長さが目安です。広すぎると囲われている感じが薄れ、狭すぎると姿勢を変えられません。迷ったときは丸まった姿に合わせておいて、あとから周りに毛布を足して広げるとうまくいきます。
1. たたむだけの毛布ベッド
いちばん手軽なのが、毛布やバスタオルを重ねてたたむだけのベッドです。厚みが出るぶん床の冷たさが伝わりにくく、猫が上で踏み固めながら自分の好きな形にしていきます。
たたむときは、布のヘリが内側に隠れるように折るのがコツです。ヘリからほつれた糸は猫が噛んでいるうちに口へ入るので、外に出さないだけで危なさがぐっと減ります。角がそろっていなくても構いませんが、猫が乗ってもずれない厚みになるまで重ねてください。フローリングの上に直接置くと滑るため、下にもう1枚敷くか、部屋の隅に寄せると安定しますよ。
| 材料 | 毛布かバスタオル 2〜3枚 |
|---|---|
| 道具 | なし(たたむだけ) |
| 作る時間の目安 | 約1分 |
| 大きさの決め方 | 猫が丸まった姿がおさまる広さ |
| 向いている猫 | 床やソファで平らに寝る猫 |
2. 浅い箱にタオルを敷く寝床
空き箱にタオルを敷くと、壁のある寝床になります。すっぽり収まる狭さと四方の囲いがそろうので、床にじかに敷いた布より使ってくれることがありますよ。
使う箱は、猫が自分でまたいで入れる高さのものを選びましょう。深すぎる箱は出入りのたびに跳ぶ必要があります。高齢になると動きが鈍くなるので、子猫や年をとった猫にはとくに浅いものが向いています。高いときは側面をはさみで切り下げて、切り口をもう一度内側へ折り返すと、縁がやわらかくなって噛まれてもささくれが出にくくなります。仕上げに、内側にめくれたテープの端やホチキスの針が出ていないかを見て、あれば取り除いてください。外側で底を閉じているぶんは、はがれていなければそのままで構いません。
敷くタオルは、箱の底に合わせて折ってから入れます。はみ出した部分を外へ垂らすと猫が引っぱって崩してしまうので、内側に折り込んでおきましょう。段ボール箱を使う場合も手順は同じで、内側に粘着の跡が残っていないかだけ先に見ておくと安心です。使いはじめてからは、猫がかじって落とした破片をその日のうちに拾いましょう。小さなごみは猫がおもちゃにしてしまい、そのまま飲み込む危険があります。
| 材料 | 浅い空き箱 1つ/タオル 1〜2枚 |
|---|---|
| 道具 | はさみ |
| 作る時間の目安 | 約5分 |
| 大きさの決め方 | 猫が中で丸まれて、自分でまたげる高さ |
| 向いている猫 | 壁のある場所に入りたがる猫 |
3. 100円ショップのクッションで作るベッド
市販の猫ベッドに近い見た目にしたいなら、クッションをタオルで包む方法が近道です。クッションの中身もフリースのひざかけも100円ショップでそろうので、家に適した布がなくても材料を用意できます。ただし100円の商品ばかりではないので、値札を見てから選びましょう。
包み方は風呂敷と同じ要領です。タオルを広げてクッションを中央に置き、四辺を順に折り重ねて、最後の一辺を先に折った布の下へ差し込みます。差し込んだ端を奥まで押し込んでおくと、猫が乗ってもほどけにくくなります。使ううちに端が出てくることがあるので、ときどき見てあげてください。結び目を作らないのがポイントで、結んだ角は猫が噛んでほどき、そのまま口へ運んでしまうことがあります。
この作り方の利点は、包んでいる布だけを外して洗えることです。汚れたら別のタオルに替えればよく、乾きにくい中身を無理に洗わずに済みます。包む布は、綿のタオルかフリースが扱いやすいですよ。ウールに限らずどの布でも噛んでちぎって飲み込んでしまう猫はいるので、かじる癖があるなら、飲み込んでいないかを見ながら使ってください。
| 材料 | クッション 1つ/大きめのタオルかフリースのひざかけ 1枚 |
|---|---|
| 道具 | なし(包むだけ) |
| 作る時間の目安 | 約10分 |
| 大きさの決め方 | 猫が丸まった姿がおさまる広さ |
| 向いている猫 | やわらかい寝床を選ぶ猫 |
4. 毛布をかけて屋根をつくるドーム型
囲われた寝床を好む猫には、3で作ったベッドに屋根を足すとドーム型になります。縫わずに作れて、暑がったときは屋根だけ外せるため、季節に合わせて形を変えられるのが利点です。
屋根を支えるのは、まわりに置く器です。かごや浅い箱をベッドの後ろと両脇に置き、その縁へ毛布をかけ渡すと、布が沈み込まずに中の空間が残ります。正面の一辺はめくったままにして、猫がいつでも自分で出入りできる入口にしてください。かぶせた毛布が猫の上に落ちてこないかどうかは、手で軽く押して確かめておきましょう。
入ってくれないときは、屋根を半分だけかけて様子を見ます。奥まで暗くなるのを嫌う猫もいるので、明るさを残したほうが使ってくれることがありますよ。
| 材料 | 3で作ったベッド/毛布 1枚/かごか浅い箱 2〜3個 |
|---|---|
| 道具 | なし(かけるだけ) |
| 作る時間の目安 | 約5分 |
| 大きさの決め方 | 猫が中で向きを変えられる高さ |
| 向いている猫 | 暗くて囲われた場所で寝る猫 |
縫わない代わりに、どこで留めるか
縫わないと決めると、代わりに接着剤やテープで留めたくなります。ところが実際に要るのは、折り込む、重みで押さえる、器の縁にかけ渡すという3つで、あとは留めずに済む材料を選べば足ります。
接着剤から出る化学物質に、猫は敏感です。嗅覚が鋭いぶん、人が思う以上のストレスになりかねません。まして寝床は一日のうち長い時間を過ごす場所ですから、においの出るものは最初から入れないほうが確実です。テープやホチキスの針も同じで、猫がはがして口に入れると誤飲や口の中のけがにつながります。
| 留めたい場面 | 避けたいもの | 代わりの方法 |
|---|---|---|
| 布とクッションを固定したい | 両面テープ・接着剤 | 風呂敷のように折り重ねて端を差し込む |
| 布のヘリを始末したい | ボンド・グルーガン | ヘリを内側へ折り込んで隠す |
| 箱の形を保ちたい | 内側に貼るガムテープ・ホチキス | 底を折り込んで閉じられる箱を選ぶ |
| 屋根の毛布を支えたい | ひも・毛糸で結ぶ | かごや箱の縁にかけ渡す |
| 布どうしをつなぎたい | 安全ピン・クリップ | 大きい1枚の布に替える |
| ずれないようにしたい | 輪ゴム・結び目 | 下にもう1枚敷いて壁ぎわに寄せる |
毛糸やリボン、ミシン糸のように細くて長いものは、留め具としても飾りとしても寝床に持ち込まないでください。飲み込んだときに何が起きるかは、次のとおりです。
ひもや糸を飲み込むと、舌や胃、十二指腸といった口に近い側で片方の端が引っかかり、反対の端だけが腸の先へ送られていくことがあります。片側が動かないまま反対側だけが進むので、腸はひもに沿ってたぐり寄せられ、内側の壁が擦られて深く傷つきます。行き着くのは、腸がふさがることだけではありません。腸に穴が開いたり腹膜炎を起こしたりと、命に関わる状態まで進むこともあります。毛布からほつれた糸も、寝床のそばに置いた飾りのひもも、猫の体の中では同じことが起きます。
出やすいサインは、食欲が落ちる、何度も吐く、元気がなくなる、よだれが増える、お腹を痛がるといったところです。はじめのうちは軽い胃腸炎とよく似ていて区別がつかないので、寝床の布やひもが1本足りないと気づいた時点で、様子を見ずに動物病院へ電話してください。口や肛門からひもが見えていても、決して引っ張らないでください。見えているのは端の一方だけで、残りは体の中を長く走り、広い範囲で腸の壁とこすれ合っています。手前から引けば腸ごと引き寄せることになり、腸が裂けたり穴が開いたりする危険があります。自己判断で処置せず、そのまま受診しましょう。
冬に暖かさを足す順番と、熱源の置き方
寒い時期は、寝床を作り替えるより、いま使っているベッドに足すほうが早く効きます。足す順番は、床からの冷えを断つ、厚みを増やす、囲いを足す、の3つで考えると迷いません。
まずベッドの下にたたんだ毛布や板を1枚はさんで、冷たい床と接する面を減らします。次に中へ敷く布を重ねて厚みを出しましょう。最後に4番目の作り方で屋根をかければ、猫の体温で暖まった空気が中にとどまります。ここまでは電気をまったく使わないので、留守にするあいだも置いたままにできますよ。
それでも足りないときに熱源を足すことになりますが、決め手は置き方です。冬には、電気カーペットに長く寝ついたまま低温やけどを負う猫の事故が起きています。それほど熱く感じない温度でも、同じところが触れ続ければやけどになり、しかも痛みが出にくいので飼い主が気づくのは遅れます。熱源を使うなら寝床の一部だけに当てて、暑くなった猫がいつでも抜け出せる広さを残しておきましょう。
ただし、広さを残したから安心とはいきません。熱いと感じないまま進むやけどなので、猫が暑がってよけるのを待つ形では防ぎきれないからです。そこで、使う時間のほうを飼い主の側で区切ります。湯たんぽなら、寝床が暖まった時点で引き上げてしまえば、猫が触れ続けること自体がなくなります。留守にするあいだも使いたいときは、温度が上がりすぎない設定にできるか、ひとりでに切れる仕組みがあるかを、取扱説明書で必ず確かめてからにしてください。確かめられない熱源は、そばで様子を見られるときだけにして、留守のあいだはここまでの毛布と屋根で暖かさを作っておきます。
使ったあとは、猫のしぐさも見ておきましょう。熱源に触れていた側を同じところばかり舐める、そこを触られるのを嫌がるといった変化が、低温やけどの初めのころに出てきます。被毛に隠れて見た目では分かりにくいので、いつもと違うと感じたらその熱源を使うのをやめて、確信が持てなくても動物病院に相談してください。
ペット用のヒーターや湯たんぽの選び方と、低温やけどのときに皮膚へ出てくる変化は、こちらにまとめています。

暖房を使わない寒さ対策や、猫が寒がっているときのサインはこちらで詳しく扱っています。

洗える形で作って、清潔に保とう
手作りの寝床がありがたいのは、洗える形で作れることです。寝床のまわりはノミやダニといった衛生害虫が育ちやすい場所なので、こまめに洗って掃除できるかどうかが、見た目や素材より先に効いてくる部分です。
洗い方は使った布で変わり、タオルやフリースは洗濯表示を見て洗濯機に入れられます。いっぽうクッションの中身は水を吸って乾きにくいので、包んでいる布だけを外して洗うほうが回転が速くなります。箱は洗えないので、汚れたら中のタオルを替えて、箱そのものは傷んだ時点で新しいものに交換してください。
乾かすときは、中まで乾いたかどうかを手で確かめます。たたんだ内側に触れてひんやりするなら、まだ水分が残っています。洗い替えの布を1組多めに用意しておけば、乾くのを待つあいだも寝床を空けずに済みますよ。
| パーツ | 洗い方 | 取り替えるとき |
|---|---|---|
| 敷いたタオル・毛布 | 洗濯表示どおりに洗濯機へ | ほつれた糸が出てきたら |
| 包んだ布 | 外して洗濯機へ | 穴が開いたら |
| クッションの中身 | 表示にあれば手洗い | 平らにつぶれたとき・包み布が破れて中身が出たとき |
| 空き箱・段ボール箱 | 洗えない | 濡れた・縁がかじられたとき |
| 屋根にかけた毛布 | 洗濯表示どおりに洗濯機へ | ほつれた糸が出てきたら |
置き場所と数を決めよう
作った寝床は、1つを完璧に仕上げるより、複数を離して置くほうが猫には合っています。休息する場所は、トイレや食器、爪とぎと同じように複数を用意して、部屋のなかの離れた場所へそれぞれ置くのが望ましいからです。手作りなら数を増やしても負担にならないので、この点は市販品を1つ買うより有利ですよ。
置く場所は、人の通り道から外れた、落ち着けるところを選びます。狭くて囲われたところが好みなので、家具のすきまや部屋の隅がよく使われます。同じ形の寝床でも、日の当たる窓ぎわと暗い棚の下では使われ方が変わるので、季節ごとに猫が移るのを見ながら置き場所を足していきましょう。
それでも使ってくれないときは、まず場所を変えてみてください。別のところで寝続けるようなら、猫が選んだその場所へ寝床を移すほうが早く決まります。長く使えるものや洗濯機で丸洗いできるものと組み合わせたいときは、市販のベッドの選び方もあわせてご覧ください。

よくある質問
作りはじめる前に迷いやすい2つを補足します。
- Q布をかじってしまう猫にも作って大丈夫ですか?
- A
布を吸ったり、噛みちぎって飲み込んだりする行動はウールサッキングと呼ばれます。羊毛に含まれる脂など動物の皮脂への反応として起きるといわれますが、原因はそれだけではありません。早い時期の離乳やストレス、分離不安、乳を吸う行動が残っていることなど、複数の要因が重なって出ると考えられています。対象になるのは毛織物だけではなく、布の切れ端全般です。ですから寝床から遠ざけたいのはウールやニットに限らず、かじってちぎれる布そのものだと考えてください。噛みたい欲求のほうは、ちぎれない素材のおもちゃを用意すれば満たしてあげられます。かじるのが飲み込むところまでいったときは、様子を見ずに動物病院へ電話してください。飲み込んだかどうかがはっきりしないときも同じで、症状が出そろうのを待つ理由はありません。そのうえで布を寝床から外し、拭いて洗えるプラスチックの容器に替えます。成猫になってから、あるいは高齢になってから始まった場合は、体の病気が隠れていることもあるので、かかりつけの動物病院で検査を受けてください。
- Q洗剤や柔軟剤のにおいは気にしなくていいですか?
- A
猫は嗅覚が鋭く、においの強いものはストレスになることがあります。洗ったあとに香りが強く残るようなら、すすぎを1回増やす、香りの弱い洗剤に替えるといった調整をしてみてください。乾かす場所も、消臭剤や殺虫剤を使う部屋は避けたほうが無難です。新しい寝床に入らない理由がにおいの変化ということもあるので、洗い替えを全部いっぺんに洗わず、1枚は前のまま残しておくと見分けがつきますよ。
手作りのベッドを使いはじめてから、吐く回数が増える、ごはんを残す、動かずにうずくまっているといった様子が続くときは、布やひもを飲み込んでいる可能性があります。寝床の布に穴が開いていないかを確かめたうえで、かかりつけの動物病院へ早めに電話しましょう。お腹を痛がる、ぐったりする、よだれが増えるといった状態が重なったときは、その場で受診してください。
※寝床の広さと素材、高齢の猫に起こる変化、室内での事故防止、衛生害虫の対策は環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」、暖房器具による低温やけどと室内の危険箇所、テープや糊に頼らない組み方と金属・テープの誤飲への注意は富山県「適正飼育お知らせノート」、低温やけどの起こり方は消費者庁「ゆたんぽを安全に正しく使用しましょう!」、犬や猫の低温やけどの気づき方と受診の目安はつだ動物病院、ひも状異物の症状と受診までの対応は庄内通どうぶつ病院および横浜みどり動物医療センター しょうどうぶつ病院、ウールサッキングはONELife行動クリニックグループの各解説に基づきます(2026年9月1日確認)。
