猫がトイレ以外で粗相をしたとき、においが残るのが困りものです。洗剤を使わずに高温の蒸気で流せるスチームクリーナーは、カーペットや猫トイレの掃除に選ばれやすい道具でもあります。
東京都がこの製品を5台そろえて温度を測っていました。目を引いたのは掃除中ではなく、そのあとの時間のほうです。5台とも、表面が40℃以下になるまでに30〜50分かかっていました。4台は使い終わって10分たっても、55℃以上の箇所が残っていました。
片づけるまでのあいだ、それは床に置かれた温かい物体になります。猫が寄ってくる条件がそろう時間帯が、思ったより長いということです。取扱説明書のほうの言い分も合わせて、順に見ていきます。
取扱説明書は、どれもペットを名指ししています
東京都は5台の表示も調べていて、注意書きの文面がそのまま並んでいます。「お子様やペット(動物)のそばでは使用しない」「お子様やペット(動物)の手の届かないところに保管する」「人やペットに向けて使用しない。やけど・けがの原因になります」。
もっと強い書き方をしている製品もありました。「蒸気を人やペットに向けないでください。死亡・やけどのおそれがあります」。スチームを当てるなという話と、そばで使うなという話が、どちらも入っています。
一方で、メーカーの商品ページには洗剤を使わないからペットのいる家に向くという案内も見かけます。これは洗剤が残らないという意味なので、注意書きのほうと矛盾しているわけではありません。ただ、読者に届きやすいのは商品ページのほうです。熱についての話は、説明書を開かないと出てきません。
冷めるまでに30〜50分かかります
測られたのは、スチームの温度と製品そのものの表面温度の両方です。使用中は噴出口のまわりがいちばん熱くなり、80℃近くに達する製品もありました。あらかじめホースが付いている製品では、ホースの表面も50℃近くまで上がっています。
| 時点 | 確認されたこと |
|---|---|
| 使用中 | 噴出口付近が80℃近くに達する検体あり |
| 使用中 | ホースの表面が50℃近くに達する場合あり |
| 使用終了から10分 | 5台中4台で、最も高い箇所が55℃以上 |
| 40℃以下になるまで | 5台とも30〜50分程度 |
| 給水口付近 | 時間が経っても高温を保ちやすい |
掃除そのものは数分で終わっても、片づけられる状態になるのはその先です。報告書は水を足すときの注意として書いていますが、この時間は床や棚に置いたままにしている時間でもあります。猫が温かい場所を選ぶことは電気毛布で確かめた猫の好みのとおりです。ちょうど寄っていきたくなる温度帯を、片づけるまでのあいだ通過していくことになります。
外から見ても、冷めたかどうか分かりません
ここがいちばん厄介なところでした。電源を入れるとランプが点く製品はあるものの、コードを抜くとランプは消えてしまいます。報告書は「外観からは、温度変化の確認は困難であった」としています。
つまり、持ち主にも猫にも見分けがつきません。熱いものを避けられるのは熱いと分かる場合だけなので、見た目が変わらないまま55℃が残るというのは、避けようのない条件です。蒸気そのものの熱さは加湿器の蒸気で確かめたことでも同じ形で出てきました。
参考として報告書が挙げているのが、玩具の安全基準です。熱源を持つ玩具では、手が触れる部品の温度が室温20℃のとき55℃を超えてはならないと決められています。ただしこれは玩具の基準で、スチームクリーナーに当てはまるものではありません。同じ55℃がどう扱われているかの目安として読む数字です。
冷める時間の表示があるのは、5台のうち3台でした
冷却にかかる時間の目安を書いていた製品は3台です。製品が高温になること自体を明記していたのは2台、スチームによるやけどへの注意を明記していたのは2台にとどまりました。
東京都は表示の目安について、実際の測定結果と比べて実態に即した内容にするよう求めています。手元の製品に目安が書かれていたとしても、その数字を短めに見積もらないほうがよさそうです。
粗相の掃除で使うなら
猫のいる家では、粗相した場所の掃除で登場することが多い道具です。そもそも粗相を減らせるならそのほうが早いので、原因のほうが気になる場合は粗相そのものを減らす側の話を先に読んでみてください。
使う場面では、猫を別の部屋に移してから始めるのが確実です。取扱説明書は「そばでは使用しない」という書き方なので、同じ部屋にいる状態はそもそも想定の外です。掃除が終わったあとも、戻すのは製品を片づけてからにします。
置き場所は、床よりも猫が上がらない高さのほうが安全です。家電の上を猫がどう扱うかは冷蔵庫の上で調べたことでも出てきましたが、冷却のあいだだけでも、猫の動線から外しておくと気にせずに済みます。
今日のうちに確かめられること
まず手元の製品の説明書を開いて、冷却時間の目安が書かれているかを見ます。書かれていなければ、30〜50分を下敷きにして片づけの段取りを決められます。
次に、使い終わったあとの置き場所を決めておきます。いつも床に立てかけているなら、そこが猫の通り道になっていないかを見てください。給水口のあたりが長く熱を持つので、水を足すのも猫を戻す前に済ませてしまうほうが手順としては楽です。
よくある質問
- Q猫がいる部屋でスチームクリーナーを使ってもいいですか。
- A
東京都が調べた製品の注意書きには「お子様やペット(動物)のそばでは使用しない」とありました。別の部屋に移してから使うほうが、説明書の指示には沿います。戻すのは掃除が終わったときではなく、製品を片づけてからです。
- Q使い終わってどれくらいで片づけられますか。
- A
東京都の試験では、5台そろって30〜50分を要していました。表面が40℃以下になるまでの時間です。10分の時点ではまだ4台に55℃以上の箇所が残っています。製品に目安の表示があっても、測定結果とは差があると報告書は指摘しているので、短めに見積もらないほうが安全です。
- Q冷めたかどうかは触って確かめればいいですか。
- A
触って確かめるのは、それ自体がやけどにつながります。報告書も、電源コードを抜くとランプが消えるため外観から温度変化を確認するのは難しかったとしています。時間で区切るほうが確実です。
- Q猫がスチームクリーナーでやけどした事例はありますか。
- A
この報告書に載っている相談事例は人のもので、猫の事例は出てきません。製品の注意書きがペットを挙げているという事実と、使用後も長く熱が残るという測定結果があるだけです。事故が起きた記録ではなく、条件の話として読んでください。
まとめ
スチームクリーナーの取扱説明書は、どれもペットを名指ししていました。「そばでは使用しない」「手の届かないところに保管する」という書き方で、蒸気を向けないようにという注意も別に置かれています。
そして東京都の測定では、片づけられる温度に下がるまで30〜50分かかっていました。10分後も55℃以上の箇所が残った製品が5台中4台あります。しかもコードを抜くとランプが消えるので、見た目では冷めたかどうか分かりません。
粗相の掃除そのものは数分で終わります。猫を戻すタイミングを掃除の終わりではなく片づけの終わりに合わせること、それと冷却中の置き場所を猫の動線から外しておくこと。この二つで、説明書が求めている使い方に近づきます。
