ストーブガードを買ってきたのに、猫が屋根の上に乗ってしまう。あるいは売り場に何種類も並んでいて、どれが猫に効くのか分からない。冬の入り口でつまずきやすいのが、この二つです。
ストーブガードはもともと小さな子ども向けに作られた製品で、作り手が「犬や猫も入りにくい」と書いているものは、そのなかのごく一部にとどまります。しかも反射型・対流型・ファンヒーターという本体の型が違えば、同じガードは使えません。
メーカーが製品ごとに何を想定しているか、そしてファンヒーターで猫がいるときに何が起きるかを整理しました。買う前に、まず自分の家のストーブを見るところから始められます。
ストーブガードは、製品によって見ている相手が違う
グリーンライフは、ストーブガードを専門に作っているメーカーです。同社がストーブガードとして並べている製品をひとつずつ読むと、犬・猫・ペットという語が出てくるのは「わんにゃん屋根付きストーブガード」の1製品だけでした。
同じ反射型ストーブ用の3製品を並べると、違いがはっきりします。屋根のない製品の説明は「お子様の手が入りにくいよう、床との隙間を低設計」。見ているのは床側のすき間です。屋根が付くと「お子様のストーブ操作を防止します」に変わります。そしてペット向けの製品だけが「犬や猫も入りにくい柵の間隔35㎜未満」という数字を出し、さらに「ストーブを金具に乗せ加重でとめる固定金具付」と書かれています。
| 製品 | 屋根 | 柵のすき間 | 説明に出てくる相手 |
|---|---|---|---|
| SG-N | なし | 記載なし | お子様 |
| YSG-N | あり | 記載なし | お子様 |
| YSG-NP(わんにゃん) | あり | 35㎜未満 | お子様とペット |
つまり、屋根が付いているかどうかだけでは足りません。猫を想定した製品は、屋根に加えて柵のすき間と本体の固定まで指定されています。売り場で迷ったら、箱や商品ページに犬や猫の語があるかを先に見ると、絞り込みが早く終わります。
ストーブの型が合わないと、そのガードは使えない
ストーブガードの説明には、ほぼ例外なく使ってはいけない相手が書かれています。屋根なしの製品には「対流型ストーブ・ファンヒーター(石油・ガス)には使用しないでください」、ペット向けの屋根付きには「本製品は反射型ストーブ専用の商品です。反射型ストーブ以外には使用しないでください。」とあります。
反対に、FF式の温風ヒーター向けに作られた三方式のガードには「(反射型・対流型)ストーブ及び(石油・ガス)ファンヒーター、鋳物ストーブには使用しないでください」と書かれています。熱の出かたも高温になる場所も型ごとに違うので、ガードは別物として設計されています。
そのため、猫に効くかどうかを考える前に、自分の家のストーブがどの型なのかを決める必要があります。本体の取扱説明書か、型番でメーカーの商品ページを引けば分かります。ここを飛ばすと、せっかく選んだ屋根付きが使えないという結果になりかねません。
ファンヒーター用のガードには、屋根がない
ここで困るのが、石油ファンヒーターを使っている家です。グリーンライフのファンヒーター向けガードを全部見ると、屋根が付いているものは一つもありませんでした。外側の高さは52㎝から71㎝で、吹き出し口だけを覆う小型のものだと21㎝です。つまり上は開いています。
同じメーカーが、反射型ストーブ用には屋根付きのペット向け製品を作っているのに、ファンヒーター用には作っていません。これは品揃えの話ですが、猫のいる家でファンヒーターを選ぶと、売られているガードだけでは上を閉じられないということでもあります。
なお、ここで数えたのは1社の製品です。ほかのメーカーに屋根付きのファンヒーターガードがある可能性は残ります。ただ、買う前に「屋根が付くか」を条件として確かめておけば、届いてから気づくことは避けられます。
ファンヒーターは、猫がいると自動で消えないことがある
最近の石油ファンヒーターには、人がいなくなると燃焼を抑えて最後に消す機能が付いています。ダイニチの石油ファンヒーターは、人がいない状態が続くと約15分で燃焼量を抑え、約20分で小火力になり、約60分で自動消火します。
ところが、このセンサーは「犬や猫などの小動物が動いているとき」にも、人の存在として反応することがあります。猫が部屋を歩いていれば、センサーは人がいると判断します。留守番する猫のために付けたつもりの機能が、猫によって解除される形です。
反対に、猫がいるのに気づかないこともあります。同じ注記には「本体から5m以内にいても、センサーより低い位置で横になっているときなどは検知範囲外になります」とあります。猫は低いところで丸くなっているので、こちらに当たることもあります。どちらに転んでも、このセンサーが見ているのは人です。猫のいる部屋では、出かける前に自分で消すほうが確実でしょう。
チャイルドロックも同じです。使いどころとして挙がっているのは「小さなお子さまのいたずらや、運転誤操作を防止したいとき」で、猫は出てきません。ただ、機能そのものはボタンを押す相手を選ばないので、かけておけば猫にも働きます。
公的機関が記録している、ペットが起こした火災
製品評価技術基盤機構(NITE)は2024年3月、ペットによる火災事故について注意喚起を出しています。2013年度からの10年間に通知されたペットによる事故は61件、うち54件が火災に至っていました。ペット別では猫が最も多く35件です。
その35件を行動で分けると、冬に身構える場所が思っていたのと違うことが分かります。
| 猫がした行動 | 件数 |
|---|---|
| こんろの操作ボタンやスイッチを押した | 20件(57%) |
| 高いところの電気製品に排尿した | 14件(40%) |
| 暖房器具を倒した | 1件(3%) |
ストーブよりこんろのほうがはるかに多いという結果です。製品別で見ても、石油・ガス・電気のストーブを合わせて5件、ペット用ヒーターが3件です。いちばん多いガスこんろは23件なので、桁がひとつ違います。暖房器具のガードを用意するなら、あわせてこんろのロックもかけておくと、効きめの大きいほうから手を打てます。
ただし、この61件は製品事故として通知されたものの集計であって、ペットが関係した火災の全体を数えたものではありません。少ないから安全だとは読めない数字です。記録されている暖房器具の事例は、電気ストーブが倒れて「付近に置かれていた枕にヒーター面が接触して着火したもの」と推定されており、倒れたこと自体より、そばに燃える物があったことが被害を広げています。
NITEが挙げている対策のうち、暖房に関わるのは「こんろや暖房器具の周りには可燃物やペットの興味を引く物を放置しない」です。ガードの外側であっても、毛布やクッションが近くにあれば同じことが起こります。
ストーブを出す前に決めておくこと
順番があります。まず本体の型を確かめ、その型に使えるガードのなかから、犬や猫に触れている製品を選ぶ。ここまでが買い物の話です。
残りは置き方で決まります。ストーブの周りに毛布やクッション、猫のおもちゃを置かないこと。ガードに洗濯物を掛けないこと。これはダイニチの取扱説明書にも「ストーブガードをご使用のときは、囲いに干し物を掛けたりしないでください。異常燃焼や火災の原因になります」と書かれている条件です。
そして、留守のあいだは消す。省エネセンサーは猫を人と見なすことがあるので、出かければ自動で消えるという前提は置けません。寒さが気になるなら、暖房器具を足すより先に、猫が自分で暖を取れる場所を増やす手があります。

なお、ペット用ヒーターでも3件の火災が記録されています。ペット用だから置きっぱなしでよいことにはならないので、使う前にコードの状態と周りの物を見ておきましょう。

よくある質問
- Q手作りのストーブガードでも大丈夫ですか?
- A
自作する場合は、本体の取扱説明書が求める可燃物との距離を自分で満たすことになります。ダイニチの取扱説明書には、ガードに干し物を掛けないようにという条件も書かれています。素材が燃えないかどうかだけでなく、熱源との距離と、猫が乗ったときに倒れないかまで見ておきましょう。
- Qガードを置けば、留守のあいだもつけたままで大丈夫ですか?
- A
NITEは、ペットを家に残して出かけるときの対策として、暖房器具の周りに可燃物を放置しないこと、目を離すときはペットをケージに入れることを挙げています。ガードはそのうちの一つなので、出かけるときに消すところまでを一組にしておくと安心です。
- Q猫がいる部屋は何度にすればいいですか?
- A
必要な室温は年齢や持病、毛の長さで変わります。子猫やシニア、療養中の猫は条件が違うので、かかりつけの動物病院に相談してください。
