ひんやりマットにプール、クールウェアに給水ボトル。夏が近づくと売り場に犬用の涼しげなグッズが並びますが、どれから買えばうちの子が楽になるのかは、値札を見比べていてもなかなか決まりません。困るのは、置く場所も使う時間帯もばらばらな道具が、同じ棚にまとめて置かれていることです。
そこでこの記事では、犬の暑さ対策グッズ23点を、室内・水遊び・散歩という3つの場面に分け、素材と冷え方、どんな体格や性格の子に合うかを軸に紹介します。読み終えたときに、自分の家では夏のどの場面が手薄なのか、そこに何を一つ足せばいいのかまで決められるようにまとめました。
ただし道具をそろえれば安心、というわけではありません。まずは犬の体が熱をどう逃がしているのかと、様子が変わったときに何をすべきかから見ていきましょう。
犬が暑さに弱いのはなぜか|体のしくみと見のがしたくないサイン
犬は人と同じようには汗をかけません。そのため熱の逃がし方にも限界があり、飼い主が環境を整えてやる必要が出てきます。まずは体温調節のしくみと、とくに暑さに弱い犬の特徴、そして体調が崩れたときのサインを順に押さえておきましょう。
汗をかけない犬は、呼吸で熱を逃がしている
犬の汗腺は足の裏にしかなく、人のように全身から汗を流して体を冷ますことができません。かわりに口を開けて浅く速い呼吸をくり返し、口のなかや気道の水分を蒸発させて、そのときに奪われる熱で血液を冷やしています。夏によく見るハアハアという呼吸は、犬にとって数少ない冷却手段なのです。
この方法には弱点があって、空気が湿っていると水分が蒸発しにくくなり、湿度が80%を超えるころには効きめがほとんど残りません。しかも犬や猫の平熱は38℃ほどで、40℃を超えると熱中症の危険が出てきます。危ない体温まで1〜2℃しか余裕がないわけで、梅雨明けの蒸し暑い日がどれだけ危うい状況なのかが分かるはずです。
とくに暑さに弱い犬を知っておこう
同じ気温でも、体つきによって危険度は変わります。パグやブルドッグ、フレンチブルドッグといった鼻の短い短頭種は気道が狭く、呼吸で熱を逃がすやり方がもともと苦手です。日本犬やシベリアンハスキーのような寒い土地の犬種も、密な毛におおわれているぶん熱がこもります。
年齢と体格も見のがせません。体温調節が未熟な子犬、脱水にかたむきやすい高齢の犬、皮下脂肪が断熱材のようにはたらく肥満ぎみの子は、いずれも熱をためこみやすい立場にあります。チワワやミニチュアダックスのように背が低く足の短い犬は、散歩のときに地面からの熱をまともに受けます。心臓や呼吸器の持病がある子、腎臓の値を指摘されている子も、同じ暑さで重くなりやすいので、夏の過ごし方はかかりつけの獣医師と相談して決めてください。これらに当てはまる子と暮らしているなら、後で紹介する道具をそろえる前に、まず外に出る時刻とエアコンの設定から見直したほうが効果は大きいでしょう。
サインが出たら、その場でやることは1つ
犬は具合が悪くても、それを表に出さずに我慢してしまいます。見た目では分かりにくく、気づいたときには重くなっている例が少なくないので、次の変化はいずれも見のがさないでください。
- 口を大きく開けて激しくハアハアする、よだれを垂らす、落ち着きがなくなる
- 目や口のなかの粘膜が赤い、体が熱い、筋肉がふるえる
- 吐く、下痢をする、足もとがふらつく
- 呼吸が苦しそう、動かなくなる、呼びかけに反応しない、発作を起こす
下にいくほど深刻で、重い状態は命に関わります。涼しい場所へ移し、22〜28℃くらいの水をかけるか、首・脇・内股といった太い血管の通る場所に冷たいものを当てて風を送りながら、動物病院に電話をして指示を受けてください。先に連絡を入れて体を冷やしておくほうが助かる見込みは高くなります。様子を見ようと自己判断せず、まず電話をかけてください。
症状の見分け方と、病院に着くまでにできることは別の記事で詳しくまとめています。夏に入る前に一度読んでおくと、いざというときに手が動きます。

グッズを買う前に決めておきたい3つのこと
売り場で迷わないために、買う前に決めておくとよいことが3つあります。使う場面、素材、そして安全面の確認です。順に見ていきましょう。
使う場面を先に決めてから選ぼう
暑さ対策の道具は、置きっぱなしにするものと持ち歩くものでまったく別の系統に分かれます。そのため「涼しくなりそうだから」という理由で買い足すと、似た用途のものばかりが増えていきがちです。自分の家で手薄な場面はどこかを、下の表で当たりをつけてみてください。
| 場面 | 気をつけたいこと | 主に使う道具 |
|---|---|---|
| 室内 | 室温と湿度、日が差し込む時間 | ひんやりマット、タイル |
| 庭・ベランダ | 直射日光、地面の照り返し | プール、日よけテント |
| 散歩 | 出る時刻、路面の熱、水分 | クールウェア、給水ボトル |
| 留守番 | エアコン、飲み水、停電 | エアコン、ひんやりマット |
4つの場面のうち、室内と留守番はほぼ同じ環境の話なので、まずここを整えるのが土台になります。庭や散歩の道具は、そのうえで足していくものと考えると順番を間違えません。
素材で冷え方も手入れも変わる
ひんやり系の道具は、素材によって熱の移り方がはっきり違います。金属や石は乗った瞬間に熱を吸い取り、布やジェルはやわらかく体になじみながらふれた面の熱を移していきます。どちらが好みかは犬によって分かれ、冷たすぎるものを嫌って乗ろうとしない子もいるでしょう。
| 素材 | 冷たさの伝わり方 | 手入れと丈夫さ |
|---|---|---|
| アルミ | 乗った瞬間に熱が移る | 水拭きで済む。かじりに強い |
| 大理石 | おだやかで冷えすぎにくい | 傷がつきにくく長もちする |
| ジェル | やわらかく体になじむ | 手洗いが中心。破れに注意 |
| い草・接触冷感の布 | ふれた面がひんやりする | 洗えるものが多く通気がよい |
警戒心の強い子には、前足や胸だけが乗る小さめの一枚から試すと受け入れられやすくなります。反対に、寝そべって過ごすのが好きな子には体がすっぽり収まる大きさを選んであげてください。
誤飲と冷えすぎの2つは先に手を打っておこう
涼しくするための道具が、思わぬけがや体調不良の入り口になることもあります。買う前に次の2点だけは確かめておくと安心です。
ジェルを封じた製品や保冷剤は、かじって袋が破れると中身を飲みこんでしまうおそれがあります。何でも口に入れる時期の子犬や、噛む力の強い子には、破れようのないアルミ・大理石・い草を先に検討してください。もし中身を口にして、元気がない・吐くといった変化が出たときは、時間をおかず動物病院に連絡しましょう。
もう一つが冷えすぎです。保冷剤を体に長く当てたままにすると低温やけどにつながることがあるので、布でくるむ、当てる時間を区切るといった加減が要ります。エアコンがよく効いた部屋では金属や石の板が冷たくなりすぎることもあるため、犬が自分で降りて別の場所へ移れるようにしておいてください。
室内の暑さ対策グッズ9選|マット・ボード・タイル
家のなかでまず用意したいのは、犬が自分から乗って体の熱を逃がせる場所です。アルミ、大理石、ジェル、い草、そして大判のタイルという順に、素材ごとの持ち味を見ていきましょう。
1. 薄型のひんやりアルミプレート
アルミの板そのもののような薄い形で、使わない季節は家具のすきまに立てて片づけられます。表面の汚れは固くしぼった布でひとふきすれば落ち、寸法もいくつか用意されているので愛犬の体格に合わせられます。小型犬から中型犬の定位置に一枚、という使い方に収まりやすい形です。
2. 手ごろな価格のアルミプレート
金属の冷たさを愛犬が気に入るかどうか、まず確かめたいときに手を出しやすい価格帯です。軽いので片手で持ち上げられ、寝床のそばと風の通る場所で置き場所を試し比べることもできます。気に入ったようなら、あとから大きめの一枚に買い足す進め方も取れるでしょう。
3. かじる子にも向く厚手のアルミマット
歯や爪が当たっても形が崩れにくい厚みがあり、置きっぱなしにしても傷みにくいタイプです。ケージの床に合わせて敷いておけば、暑いと感じた犬が自分で乗って背中やお腹の熱を逃がせます。何年か使うつもりで一枚だけ選ぶなら、こうした頑丈な作りが結局は無駄になりません。
4. マルカン ひんやりクールアルミプレート
ゴールデンやラブラドールのような体の大きな子でも、全身がのる幅を確保できる大判サイズです。表面のアルマイト加工で汚れが染みこみにくく、裏の滑り止めパッドがフローリングの上でのずれを抑えてくれます。体が大きいほど熱は下がりにくいので、伏せた姿勢がすっぽり収まる寸法を選んであげてください。
5. 天然大理石のペットボード
石が持つひんやり感はおだやかで、金属ほど強く冷たさが伝わらないぶん、冷たいものを嫌がる子でも受け入れやすい素材です。表面に傷がつきにくく、何年も使い続けられる丈夫さもあります。重量があって犬が乗り降りしても位置がずれないため、置き場所を決めてしまえるのも扱いやすいところ。
6. ドギーマン 純アルミ ひんやりジェルマット
上が金属、下がジェルという二重構造で、ひんやり感とやわらかな寝心地を一枚にまとめたマットです。ジェルの側には噛みつきを抑える苦味成分が加えられ、両面には滑りにくい加工がほどこされています。それでも噛む力の強い子だと破れることはあるので、目の届く場所で使ってあげましょう。
7. 洗えるひんやりクールジェルマット
白くまの柄がかわいらしいジェルタイプで、体をあずけるとやわらかく沈み、ふれている面から熱が移っていく作りです。表面は毛がからみにくい仕上げで防水にも対応しているため、汚れたら水で流せます。ジェルは破れると中身が出てくるので、子犬や噛み癖のある子には次のい草タイプや、先に挙げた金属と石の板のほうが向いています。
8. ドギーマン ござわん
天然のい草を編んだござで、ふれた瞬間のさらりとした感触と風の通りやすさが持ち味です。くるくる巻いて持ち運べるので帰省先や車の後部座席にも広げられます。破れて中身が出る心配がない点は、子犬との暮らしでは心強い条件でしょう。
9. 玄関に置ける大判のひんやりタイル
陶器や石の板を玄関や土間に敷いて、家のなかに涼める一角をつくれるタイプです。冷たさが長もちするので、犬のほうから移動してきて伏せる休憩所になります。かじっても壊れず、汚れたら水を流して洗えるため、外との出入りが多い場所にも向いています。
もっとも、マットは部屋そのものが暑いと役に立ちません。室温と湿度の整え方はこちらにまとめています。

水遊びと日よけのグッズ7選|庭やベランダで涼む
日中の散歩に出づらい時期でも、庭やベランダにプールを広げれば体を動かす時間をつくれます。買う前に決めるのは大きさ、素材、そして水の抜きやすさの3つです。
大きさは、犬が中で向きを変えられて、伏せても体がはみ出さない寸法が目安になります。狭すぎれば窮屈ですし、広すぎると足がつかずに怖がることもあるので、体格から逆算して選んでみてください。
| 体格 | 犬種の例 | 直径・大きさの目安 |
|---|---|---|
| 小型犬 | チワワ、トイプードル | 直径70〜90cm前後 |
| 中型犬 | 柴犬、コーギー、ビーグル | 直径100〜120cm前後 |
| 大型犬 | ゴールデン、ラブラドール | 直径150cm以上、長方形も |
水は深く張らないほうが安全です。足が底にしっかりつく高さ、目安としてひじから胸のあたりまでにとどめておけば、泳がせなくても十分に涼めます。多頭で一緒に入れたいなら、円形より正方形や長方形のほうが体格に余裕が出ます。
素材は大きく2つ。犬には爪と歯があるので、丈夫さを重んじるなら硬いほうが扱いやすくなります。
| タイプ | 特徴 | 向いている犬 |
|---|---|---|
| 硬質PVC・自立式 | 側面が厚く自立。空気入れ不要 | 爪の強い子、大型犬 |
| エアー式 | 軽くて安い。パンクしやすい | 小型犬、短時間だけ使う子 |
あとは片づけのしやすさです。底や側面に水抜き栓が付いていれば、重いプールを持ち上げずに排水できますし、たたんで平らになる製品なら冬のあいだの置き場所にも困りません。底面に滑り止めがあるかどうかも見ておくと、踏ん張れずに転ぶ事故を避けられます。
1. 折りたたみ式ペットプール
広げるだけで立ち上がる厚手PVCの定番で、中板にプラスチックのボードが入っているぶん側面がへたりにくい作りです。爪でひっかいても穴があきにくく、80cmから160cmまで4つの寸法があるので体格に合わせて選べます。水抜き栓が付いていて片づけも早く、最初の一台として選ばれやすいタイプです。
2. OWNPETS 折りたたみペットプール
120cm前後という中型犬にちょうどよい大きさで、底板に補強が入っているぶん揺れにくい作りです。空気を入れる手間がなく、厚みのある生地なので爪の強い子でも扱えます。柴犬やコーギーくらいの体格で、大きすぎず小さすぎない一台を探している場合の候補になるでしょう。
3. 大型犬向けの大判プール
直径150cm以上、あるいは長方形の大判で、大型犬が伏せても余裕のある広さを取れます。水の量がそれだけ増えるので、排水栓の付いたものを選んでおくと後片づけの負担がまるで違ってきます。多頭飼いで一緒に入れたい家庭にも合いますが、置ける面積は先に測っておきましょう。
4. 日よけ屋根付きの大型プール
サンシェードが一体になったタイプで、真上からの日差しをさえぎりながら水に入れます。庭に木や軒がなく日かげをつくれない家では、犬にとっても付き添う人にとっても助かる形です。そのぶん設置に必要な面積は広くなるため、屋根を開いたときの寸法まで確かめてから選んでください。
5. 小型犬・子犬向けのコンパクトプール
直径70〜90cm前後の小さめサイズで、チワワやトイプードルのほか、水にまだ慣れていない子犬にも向いています。ためる水が少ないぶん準備も片づけも短く済むので、平日の夕方に思いついて出すこともできるでしょう。ベランダや浴室など、限られた場所に置きたいときにも収まります。
6. エアー式のビニールプール
空気を入れてふくらませる昔ながらの形で、軽さと価格の手ごろさ、それにふちのクッション性が持ち味です。ただし爪が当たると穴があきやすいため、爪を整えてから使う、短い時間で切り上げるといった前提で選ぶのが向いています。今年だけ試してみたい、という場合には気楽な選択肢でしょう。
7. 屋外用のペットテント
庭やベランダ、キャンプ場で日かげをつくるための小型テントです。直射日光をさえぎれる場所が一つあるだけで、犬は暑くなったときに自分から避難できます。メッシュ地で風が抜けるものを選び、水の器と一緒に置いておけば、屋外で過ごす時間の安心感がぐっと増すはずです。
遊ばせているあいだに守りたいこと
水遊びは楽しい反面、目を離したすきに事故が起きやすい遊びでもあります。次の点はプールを出すたびに思い出してください。
遊び終えたら、タオルとドライヤーで体をしっかり乾かします。とくに耳のなかや皮膚のしわの間は水気が残りやすい場所で、湿ったままにしておくと皮膚のトラブルにつながることがあります。耳をかゆがる、赤みやにおいが出るといった変化が続くようなら、自己判断せず動物病院を受診してください。
乾かす時間を短くしたい場合は、ドライヤーボックスという道具もあります。

散歩とおでかけのグッズ7選|体を冷やす・水を持ち歩く
外に出る場面では、道具より先に決めることがあります。それが時刻です。散歩は早朝か、日が落ちてから時間がたったあとに回し、日中に出るのはできるだけ避けましょう。歩く時間そのものも短めに切り上げるほうが、体への負担は小さくなります。
足もとの熱も見のがせません。犬は人より背が低く、アスファルトにためこまれた熱をまともに受ける位置を歩いています。玄関を出る前に手の甲を路面に当ててみて、熱いと感じるなら時間をずらすか、土や草のある道へ回してあげてください。ここから紹介する7点は、そのうえで体の熱を逃がしたり、水を切らさないようにしたりするための道具です。
1. 犬用クールウェア
水にぬらして着せるタイプや、ふれた面がひんやりする生地を使ったウェアです。背中やお腹という面積の広い部分をおおえるので、外を歩くあいだの熱の逃がし方としては効率のよい形といえます。風が抜ける生地を選ぶと蒸れにくく、体を締めつけない少しゆとりのあるサイズが快適です。
2. ネッククーラー
首に巻いて使うタイプで、保冷剤を差しこむものと冷感素材だけのものがあります。首まわりは太い血管が通っている場所なので、ここを冷やすと涼しさを感じ取りやすくなります。重さのあるものを嫌がる子もいるため、軽さと締めつけ具合は実際に着けて確かめるのが確実でしょう。
3. クールリング
決まった温度で自然に固まる素材を使った、首にかける輪の形をした道具です。冷蔵庫や冷たい水で戻して使い、結露しにくいので首まわりの毛がぬれずに済みます。軽くて着け外しも早く、小型犬から中型犬まで寸法がそろっているため、散歩のたびに使う道具として続けやすい形です。
4. 保冷剤入りのクールバンダナ
保冷剤を差しこんで首元に巻く布で、柄の種類が多く、見た目を楽しみながら使えます。保冷剤は冷たさが強いので、当てっぱなしにせず様子を見ながら使うのがこつ。予備をもう一つ凍らせておけば、長めのおでかけでも途中で入れ替えられます。
5. ひんやりクールタオル
水にぬらして絞ると冷たくなるタオルで、背中にかける、首に巻く、休憩中に体をふくといった使い道の広さが持ち味です。丸洗いできて何度でも使え、たたむとかさばらないのでバッグの片すみに常備しておけます。一枚あれば、公園のベンチで休むときにさっと取り出せます。
6. 携帯用の給水ボトル
ふたが受け皿を兼ねていて、片手で水を出して飲ませられるボトルです。夏の散歩ではこまめに水を飲ませることが何より大切なので、道具を一つだけ買うならここから始めてもよいくらいです。持ち歩く重さに直結するため、容量は散歩の長さに合わせて選んでみてください。
7. 折りたためるウォーターボウル
シリコンなどでできた、つぶすと平たくなる水飲み用の器です。ペットボトルの水をそのまま注げるので、給水ボトルと組み合わせなくても水やりが成り立ちます。軽くて洗いやすく、旅行や車での移動にも持っていける点で、一つ持っておくと出番が多い道具でしょう。
持ち物がそろうと車で遠出したくなりますが、夏の車内だけは別に考えてください。
冷房を止めた車のなかは、ほんの数分で温度が跳ね上がります。外気温35℃の炎天下で行われた測定では、日よけを使わない黒い車の室内が最高57℃、窓を3cm開けた状態でも45℃に達しました。買い物のあいだだけ、という短い時間でも犬を車に残さず、車から離れるときは必ず一緒に連れて行ってください。
車で出かける日の装備は、こちらの記事でまとめています。

屋外で過ごす季節は、蚊やマダニへの備えも同じ時期に必要になります。

留守番中は室温の管理が主役|エアコンの設定と停電への備え
ここまで紹介してきた道具は、どれも犬が自分で移動して使うものです。つまり留守番のあいだに部屋そのものが暑くなってしまえば、逃げ場は残りません。熱中症を防ぐ道具というものはなく、涼しい環境をつくったうえで補うのがマットやタオルの役どころだと考えてください。
室温は22〜25℃、湿度は50〜60%あたりが、犬にとって過ごしやすい範囲です。夏の日中に留守番をさせるなら、エアコンはつけたままにしておくのが基本です。扇風機やサーキュレーターで空気を回すのも有効ですが、風を犬に直接当て続けないよう向きを調整しましょう。
飲み水は器を2か所に分けておくと、ひっくり返しても片方が残ります。ケージや寝床の位置も見直しておきたいところで、午後になると日が差しこむ窓ぎわは、出かけたときには涼しくても帰るころには熱をためています。カーテンやすだれで日差しを切り、部屋のなかで温度の上がりにくい場所へ寝床を移しておくと安心です。
気がかりなのが停電です。夏の雷雨や台風でエアコンが止まると、部屋の温度は短時間で上がります。遮光カーテンを閉めてから出かける、アルミのマットを床に敷いておく、水の器を1つ増やしておくといった備えがあると、帰宅までの時間を少しでも楽にできます。なお、凍らせた保冷剤を置いておく手は、留守番中にかじって中身が出るおそれがあるため、目の届かない時間には向きません。長時間の停電が起きたときは、涼しい場所へ避難させることまで考えておきましょう。
よくある質問
- Qひんやりマットに乗ってくれないときは、どうすればいいですか?
- A
まず疑いたいのは置き場所です。ふだん眠っている位置から離れたところに敷いても、犬はわざわざ移動してくれません。寝床のとなりに並べておけば、自分のタイミングでのぼることがあります。それでも避けるようなら素材が合っていない見込みが高く、金属を嫌う子がい草や大理石なら平気だった、という例は珍しくありません。反対に、暑いときだけ玄関のタイルへ行く子もいるので、犬が自分で選んだ場所に一枚足す考え方もできます。
- Qマンションのベランダでプールを使ってもいいですか?
- A
建物によっては、管理規約でベランダでの水の使用が制限されていることがあります。まず規約を確かめてから、水を流せる排水口があるか、階下へ漏れる造りになっていないかを見ておきましょう。使えると分かった場合も、水を抜くときは一気に流さず、少しずつ排水口へ送るかバケツでくみ出すほうが確実です。床がコンクリートだと日中に熱を持つので、プールの下や周りにマットを敷いておくと足の裏を守れます。
まとめ
- 犬は足の裏にしか汗腺がなく、呼吸に頼った放熱は湿度が高いと効きにくくなる
- 短頭種・寒い土地の犬種・子犬・高齢の犬・肥満ぎみの子はとくに熱をためやすい
- 激しい呼吸やよだれ、ふらつき、意識の変化が出たら電話をしてから病院へ向かう
- 室内はマットの素材、屋外はプールの大きさと排水、散歩は時刻と水が判断の軸
- ジェルと保冷剤は誤飲と低温やけどに注意し、犬が自分で離れられる置き方にする
- 留守番はエアコンでの室温管理が土台で、停電したときの備えも決めておく
道具は、犬が自分で涼しい場所を選べるようにするためのものです。どれだけそろえても暑さそのものを消してくれるものではありませんから、部屋の温度、外に出る時刻、水の3つを先に整えたうえで、足りない場面に一つずつ足していくのが遠回りのようで確実といえます。今年の夏、うちの子がどの場面でつらそうにしていたかを思い出しながら、必要な一つを選んでみてください。
※体温・室温・湿度の目安は環境省「ペットの熱中症と対策」、車内温度は日本自動車連盟(JAF)のユーザーテストによります。
※愛犬の様子や体調に気になる変化があるときは、かかりつけの獣医師にご相談ください。
