「愛犬のいびきが急に大きくなった」「グーグーという音がうるさくて心配」——寝ている愛犬のいびきは、かわいらしく感じる一方で、体調に問題がないか気になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。犬のいびき自体は珍しいものではなく、多くは心配のいらないものです。ただ、なかには動物病院で診てもらったほうがよいケースもあります。
この記事では、犬がいびきをかく主な原因、「急に増えた・大きくなった」ときの観察ポイント、短頭種で気をつけたいこと、おうちでできること、そして「こんなときは受診を」という目安までをまとめました。読了の目安は約5分です。
犬がいびきをかく主な原因
いびきは、眠っているあいだに空気の通り道(気道)がせまくなり、そこを空気が通るときに粘膜が振動して音が出る現象です。原因はさまざまで、寝る姿勢のような一時的なものから、体調や体のつくりに関わるものまで幅があります。代表的なものを見ていきましょう。
寝るときの姿勢
もっとも身近なのが寝る姿勢によるものです。あおむけや、あごが胸に近づくように丸まった体勢では、気道が一時的にせまくなっていびきをかきやすくなります。姿勢を変えるとおさまることが多く、元気や食欲がふだんどおりなら過度に心配する必要はありません。
鼻づまり・鼻炎やアレルギー
鼻がつまっていると、口や鼻を通る空気が乱れていびきが出やすくなります。ほこりや花粉、ハウスダストなどに反応した鼻炎やアレルギー、軽い鼻水などが背景にあることもあるといわれています。くしゃみや鼻水をともなうとき、季節によって症状が変わるようなときは、こうした要因が関わっているのかもしれません。
体重の増加(肥満)
体重が増えると、のどのまわりにも脂肪がつき、気道が圧迫されていびきをかきやすくなることがあるといわれています。「最近太ってきたな」と感じるころからいびきが目立つようになった、というときは体重が関わっている可能性も考えられます。急な食事制限は体に負担がかかるため、体重管理はかかりつけの獣医師と相談しながら、無理のない範囲で進めるのが安心です。
加齢によるもの
年齢を重ねると、のどや気道まわりの筋肉がゆるみやすくなり、若いころよりいびきをかきやすくなることがあります。シニア期に入ってから少しずついびきが増えてきた、という程度であれば加齢による変化のこともありますが、急な変化や、ほかの症状をともなうときは注意が必要です。
短頭種の体のつくり
フレンチブルドッグ・パグ・シーズー・ボストンテリアなどの短頭種(鼻がみじかい犬種)は、体のつくりのうえで空気の通り道がせまく、もともといびきをかきやすい傾向があるとされています。短頭種のいびきについては、あとの「短頭種は注意」で少しくわしく取り上げます。
まれに気道や心臓に関わるもの
数は多くありませんが、気道の一部や心臓に関わる状態がいびきのような呼吸音として現れることもあるといわれています。見た目や音だけで原因を判断することはむずかしいため、いびきに加えて呼吸がつらそう、咳が続く、疲れやすいといった様子があるときは、自己判断で様子を見続けず動物病院に相談しましょう。
「急にいびきが増えた・大きくなった」ときの観察ポイント
これまでいびきをかかなかった犬が急にかくようになった、あるいは音が明らかに大きくなったというときは、体に何らかの変化が起きているサインのことがあります。あわてる必要はありませんが、次のようなポイントをあわせて観察しておくと、動物病院での相談にも役立ちます。
- 体重の変化…最近太ってきていないか、逆に急にやせていないか
- 鼻水や咳の有無…くしゃみ・鼻水・咳をともなっていないか
- 起きているときの呼吸…寝ているときだけか、日中も呼吸音が目立つか
- 呼吸のつらさ…お腹を大きく動かす、口を開けてハアハアしている様子はないか
- 元気や食欲…遊びや散歩をいやがる、ごはんを残すなどの変化はないか
寝る姿勢だけが原因のいびきは、姿勢を変えるとおさまり、ほかにいつもと違う様子はないのがふつうです。一方で、上のようなサインが重なるときや、日を追って音が大きくなっていくようなときは、環境だけでは説明しづらいことがあります。いつから、どんなときに変わったかをメモしておくとよいでしょう。
短頭種は注意
フレンチブルドッグ・パグ・シーズー・ボストンテリア・ペキニーズなどの短頭種は、鼻やのどの空気の通り道がせまい体のつくりをしており、いびきや「ブーブー」といった呼吸音が出やすい傾向があります。こうした短頭種の犬に見られる呼吸のしづらさをまとめて「短頭種気道症候群」と呼ぶことがありますが、いびきがある=すぐにこの状態だと決めつける必要はありません。程度には個体差があります。
短頭種で気をつけたいのは、暑さや興奮で呼吸のしづらさが悪化しやすいという点です。気温や湿度が高い環境、激しい運動や強い興奮のあとは、呼吸が荒くなったりいびきのような音が強くなったりすることがあります。とくに夏場は熱中症のリスクとも重なりやすいため、涼しい環境づくりと、呼吸の様子の観察を大切にしたいところです。短頭種の夏の過ごし方や熱中症対策は、次の記事もあわせて参考にしてください。

寝ているときのいびきだけでなく、起きているときも呼吸が苦しそう、少し動いただけでゼーゼーする、舌や歯ぐきの色がいつもと違うといった様子があるときは、早めに動物病院で相談しましょう。
おうちでできること
寝る姿勢や体重、環境が関わっているいびきであれば、暮らしを少し工夫することでやわらぐことがあります。無理のない範囲でできる方法を紹介します。
寝る姿勢を工夫する
あごが胸に沈み込むような丸まった姿勢や、あおむけの体勢はいびきが出やすくなります。愛犬が横向きで、あごが少し上がるように休めると、気道が確保されやすくなります。頭をのせられる高さのある寝床を用意してあげると、自然と楽な姿勢をとりやすくなることもあります。
体重を無理なく管理する
体重の増加がいびきに関わっている場合は、適正体重に近づけることで呼吸が楽になることがあります。ただし、急な食事量の削減は体に負担をかけるため、食事の量や運動については、かかりつけの獣医師に相談しながら少しずつ進めるのが安心です。おやつの与えすぎにも気をつけましょう。
部屋の空気と湿度を整える
ほこりや乾燥、タバコの煙、香りの強い柔軟剤・芳香剤は、鼻やのどの粘膜への刺激になり、いびきの一因になることがあります。こまめな掃除や換気で空気をきれいに保ち、乾燥する季節は加湿器などで適度な湿度をたもつと、鼻の粘膜の負担をやわらげる助けになります。
寝床を見直す
沈み込みすぎるやわらかいベッドは、あごが下がって気道がせまくなりやすいことがあります。ほどよく体を支え、頭を少し高くして休めるタイプの寝床だと、楽な姿勢をとりやすくなります。犬用ベッドの選び方は、こちらの記事でまとめています。

また、寒い季節に体が冷えて丸まりすぎると、いびきをかきやすくなることもあります。寝るときの環境づくりは、次の記事もあわせて参考にしてください。

こんないびきは動物病院へ
おうちでの工夫は、あくまで姿勢や環境によるいびきへの対応です。次のようなサインが見られるときは、自己判断で様子を見続けず、早めに動物病院に相談しましょう。
- 呼吸が苦しそう、お腹を大きく動かして呼吸している
- 歯ぐきや舌が紫色・青白い(チアノーゼ)
- いびきや呼吸音が急に大きくなった、日ごとに悪化している
- 寝ているときだけでなく、起きているときも呼吸音が目立つ
- 咳が続く、少し動くとゼーゼーする、疲れやすい
- 食欲や元気が落ちている
とくに、歯ぐきや舌が紫色・青白くなるチアノーゼや、明らかに呼吸が苦しそうな様子は緊急のサインです。ためらわず、できるだけ早く動物病院を受診してください。受診の前に、いびきや呼吸の様子をスマートフォンで動画に撮っておくと、診察の助けになります。診察室ではふだんの症状が出ないこともあるため、家での様子を伝えられると獣医師の判断に役立ちます。最終的な診断や治療の判断は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
犬のいびきに関するよくある質問
- Q犬のいびきは放っておいても大丈夫ですか?
- A
寝る姿勢によるいびきで、姿勢を変えるとおさまり、元気や食欲がふだんどおりなら、様子を見られることが多いといわれています。ただし、急に大きくなった、日中も呼吸音が目立つ、咳や食欲不振をともなうといった変化があるときは、体調に関わるサインの可能性もあります。気になるときは動物病院で相談すると安心です。
- Q短頭種のいびきは仕方ないものですか?
- A
フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、体のつくりのうえでいびきをかきやすい傾向があるとされています。軽い程度なら大きな心配がないこともありますが、暑さや興奮で呼吸がつらそうになる、起きているときも呼吸音が目立つ、動くとすぐにゼーゼーするといった様子があるときは、早めに動物病院で相談してください。
- Q急にいびきをかくようになったのはなぜですか?
- A
体重の増加、鼻づまりやアレルギー、加齢による変化などが背景にあることがあるといわれています。原因は見た目だけでは判断がむずかしいため、体重・鼻水や咳の有無・起きているときの呼吸の様子などをあわせて観察し、いつから変わったかをメモしておくとよいでしょう。呼吸がつらそうなときや変化が続くときは、動物病院で相談してください。
まとめ
犬のいびきの多くは、寝る姿勢や環境による一時的なもので、姿勢や寝床、部屋の空気を整えることでやわらぐことがあります。一方で、急に大きくなった・起きているときも呼吸音が目立つ・呼吸が苦しそう・歯ぐきや舌が紫色(チアノーゼ)といった様子がそろうときは、体調に関わるサインの可能性があります。とくにチアノーゼや呼吸困難は緊急のサインです。「体重」「鼻水や咳」「呼吸のつらさ」「元気や食欲」を目安に、いつもと違うと感じたら早めに動物病院へ相談してあげてください。短頭種は暑さや興奮で悪化しやすいため、涼しい環境づくりもあわせて意識しておくと安心です。
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