愛犬とのドライブを楽しみにしていたのに、いざ車に乗せると「そわそわ落ち着かない」「よだれを垂らす」「吐いてしまう」——そんな経験はありませんか?実は、犬の3頭に1頭が車酔いを経験しているといわれています。
犬の車酔いは、単に「乗り物に弱い」というだけでなく、平衡感覚の未発達や不安・ストレスなど、身体と心の両方が関係しています。特に子犬やシニア犬は酔いやすく、放っておくと「車=怖いもの」という印象が残ることもあります。
そこで本記事では、犬の車酔いの原因・症状・基本対策をわかりやすく解説します。さらに、犬の車酔い対策におすすめのサプリも紹介。
この記事を読めば、「車に乗るとぐったりしていた愛犬」が、安心してドライブを楽しめるようになるための具体的なステップがわかりますよ。
犬の車酔いとは?
犬の車酔いとは、車の揺れや匂い、緊張などによって平衡感覚が乱れ、体調不良を起こす状態を指します。人間と同じように、犬にも「三半規管(さんはんきかん)」があり、これが刺激を受けすぎると吐き気や不快感が生じます。
ただし、犬は言葉で「気持ち悪い」と伝えられないため、飼い主が早めにサインを察知してあげることが大切です。症状を見逃さず、早期に対処すればひどい車酔いを防げます。
犬の車酔いの主な症状
- よだれを大量に垂らす
- そわそわして落ち着かない
- あくびを繰り返す
- 震える・ハァハァと息が荒くなる
- 鳴く・クンクンと訴える
- 嘔吐・吐き気をもよおす
これらの症状は軽度のうちは一時的な不安反応ですが、繰り返すうちに「車=怖い」と学習してしまうケースもあります。早い段階で対応してあげることが重要です。
子犬・成犬・シニア犬で違う酔いやすさ
実は、車酔いのしやすさは年齢によっても異なります。特に子犬は三半規管が発達途中のため、揺れや振動の影響を受けやすい傾向があります。一方、シニア犬は体力や平衡感覚の衰えによって酔いやすくなることも。
また、成犬でも「過去に車で吐いた経験」があると、それを記憶して不安が強まり、結果的に車酔いが悪化するケースがあります。“身体的な要因+心理的な不安”の両面を理解しておくことが、正しい対策の第一歩です。
車酔いしやすい犬種
犬種によっても車酔いのしやすさは異なります。特に三半規管が敏感な犬種や、ストレスを感じやすい犬は注意が必要です。
犬が車酔いする原因|身体と心の両面から理解する
犬の車酔いを防ぐには、まず「なぜ酔うのか?」という原因を理解することが大切です。実は、犬の車酔いには身体的な要因と心理的な要因の2つが深く関係しています。
三半規管の刺激による平衡感覚の乱れ
車が動くときに感じる揺れや加速・減速は、耳の奥にある「三半規管」という器官で感知されます。犬が車酔いする主な原因のひとつが、この三半規管の働きにあります。
特に子犬は三半規管が発達途中のため、わずかな揺れでも強い違和感を感じやすい傾向があります。これにより、バランス感覚が乱れ、脳が「体が揺れているのに視界は止まっている」という矛盾を感じ、吐き気や不安を引き起こすのです。
これは人間の「乗り物酔い」と同じメカニズムであり、犬が吐く・よだれを垂らすなどの症状は、身体がこの不快感に反応しているサインといえます。
ストレス・不安・過去の経験による影響
身体的な要因だけでなく、心理的なストレスも大きな原因の一つです。過去に車で吐いた経験がある犬は、その記憶が「車=気持ち悪い・怖い」として残ってしまうことがあります。
また、初めて車に乗る子犬や、動物病院など嫌な場所に行くときだけ車に乗せられる犬は、「車=不安や緊張の場所」と学習してしまうこともあります。飼い主の焦りや緊張も伝わりやすく、犬が安心できない車内環境になると、酔いやすさが増します。
車内環境(匂い・温度・揺れ)の影響
車の中は、犬にとって人間以上に刺激の多い空間です。匂い・温度・音・揺れが少し変わるだけでも、犬の感覚には大きな負担となります。
芳香剤やタバコのにおい、強い冷暖房の風、窓からの騒音なども酔いやすさを助長する要因です。特に、換気が不十分な車内では二酸化炭素濃度が上がり、吐き気を誘発することもあります。
また、カーブやブレーキの多い道では酔いやすくなるため、走行ルートや運転の仕方も影響します。静かで安定した走行と、優しい運転を心がけることが、犬の安心にもつながります。
このように、犬の車酔いには「身体」「心」「環境」の3つの要素が密接に関係しています。
犬が車酔いで吐いたあとのケア
もし車の中で吐いてしまった場合は、まず落ち着いて犬の体調を確認しましょう。吐いた後に元気があり、水を飲めるようなら心配はいりません。無理に再び乗せず、少し休ませることが大切です。
また、胃を刺激しないようにその後の食事は1〜2時間ほど控えめに。頻繁に吐くようなら、獣医に相談し、薬やサプリでのサポートを検討しましょう。
犬の車酔いを防ぐ基本対策
犬の車酔いは「体質だから仕方ない」と思われがちですが、実は日常の工夫や慣らし方次第で大きく改善できます。ここでは、今日から実践できる基本対策5つを紹介します。
車に慣れさせるトレーニングを行う
最も効果的な方法は、少しずつ車に慣らすことです。初めてから長距離ドライブに連れて行くと、不安やストレスが強く出てしまいます。
- 駐車中の車内でおやつをあげて「楽しい場所」と認識させる
- エンジンをかけて音や振動に慣れさせる
- 5分ほどの短距離ドライブで成功体験を積む
- 少しずつ距離と時間を伸ばしていく
「車に乗る=楽しいことがある」と学習させることがポイントです。公園やドッグランなど、楽しい目的地に行くことでポジティブな印象がつきます。
揺れを抑える運転と座席配置を工夫する
車の揺れは、犬の三半規管に大きな負担を与えます。なるべく揺れを感じにくい後部座席の中央〜運転席後ろにドライブボックスを設置し、急ブレーキや急カーブを避けた運転を心がけましょう。
また、シートベルト付きのドライブボックスやクレートを使うことで、姿勢の安定と安全性が向上します。振動が少なくなると、酔いにくくなるだけでなく、犬の不安も軽減されます。
出発前の食事・休憩タイミングに注意する
空腹でも満腹でも車酔いしやすくなります。出発の2〜3時間前に軽めの食事を済ませ、直前には食べさせないようにしましょう。胃の中に内容物が多い状態で揺れが加わると、吐きやすくなります。
長距離移動のときは、1〜2時間おきに休憩を取り、外に出してリフレッシュさせることも大切です。軽いお散歩や水分補給を挟むことで、体調が整いやすくなります。
車内の匂い・温度・換気を整える
犬は嗅覚がとても敏感。芳香剤や消臭スプレーの匂いでも気分が悪くなることがあります。車内は無臭または自然な空気環境を保つのが理想です。
また、夏場は温度上昇、冬場は乾燥がストレスになります。エアコンで快適温度(20〜25℃前後)を保ち、換気を定期的に行いましょう。窓を少し開けて風を通すだけでも、酔いにくくなります。
クレート・ドライブボックスを活用する
犬が安定した姿勢で座れる環境を作ることも大切です。クレートやドライブボックスを使うことで、視界の揺れが抑えられ、心理的にも安心します。
安心できる空間を作ることで、「車=怖くない」と学習しやすくなります。慣れてくると、ドライブ中にリラックスして眠れるようになる犬も多いです。
なお、犬を抱っこしたまま乗車するのは危険です。揺れが直接体に伝わるため酔いやすくなるほか、事故時のケガにもつながります。必ずドライブボックスやクレートに入れて固定しましょう。
車酔いしにくい環境づくりのコツ
車酔いを防ぐためには、単に対策をとるだけでなく、犬が安心して過ごせる車内環境を整えることがとても大切です。ここでは、飼い主が意識したい3つのポイントを紹介します。
お気に入りのタオルやおもちゃで安心感を
犬は「いつもの匂い」や「慣れた物」に強い安心感を覚えます。車に乗せるときは、普段使っている毛布やタオル、おもちゃを一緒に置いてあげましょう。
慣れた匂いがあるだけで、犬は「ここは安全な場所だ」と感じやすくなります。また、ドライブ中にリラックスして眠れるようになる犬も多く、結果的に車酔いの予防にもつながります。
こまめな休憩でリフレッシュ
長時間のドライブは、犬の身体にも心にも負担がかかります。1〜2時間に1回は車を停めて、外に出してあげましょう。
- 短いお散歩で気分転換
- 水を飲ませて水分補給
- 木陰などで体温調整
- おやつや褒め言葉で「頑張ったね」と安心感を与える
「車=休憩やご褒美がある場所」と学習させることで、次第に車に対する抵抗感が減っていきます。目的地まで焦らず、犬のペースで移動することが何よりの対策です。
飼い主の落ち着いた態度が愛犬の安心につながる
犬は飼い主の感情を敏感に察知します。飼い主が緊張していると、犬も不安になるというのはよくあることです。車に乗る前から「大丈夫」「楽しいドライブだね」と優しく声をかけ、落ち着いたトーンで接してあげましょう。
また、出発直前にバタバタと準備したり、怒ったりすると、犬はその空気を感じ取って緊張します。出発前に少しスキンシップを取ることで、心が落ち着き、車内でもリラックスしやすくなります。
犬にとって車の中は「飼い主と過ごす小さな部屋」です。快適な環境と穏やかな空気をつくることで、車酔いの不安を和らげることができます。
犬用酔い止めサプリを試してみる手も
薬を使うほどではないけれど、愛犬の車酔いをやわらげたい…。そんなときは、犬用の酔い止めサプリを使用してみるのも一つの手です。自然由来成分を中心に作られており、身体への負担が少ないのが特徴です。
サプリメントでリラックスをサポート
酔い止めサプリには、L-テアニンやトリプトファンなど、神経の興奮を抑えるアミノ酸が配合されています。これらは不安を和らげ、リラックス状態をつくることで車酔いを予防する効果に期待できます。
旅行や長距離ドライブの前日に与えるだけでも、落ち着きやすくなる犬が多いです。動物病院やネット通販で購入できますが、初めての場合は少量から試しましょう。

動物病院で相談できる酔い止め薬と注意点
トレーニングや環境改善を行っても車酔いが改善しない場合、動物病院での相談をおすすめします。犬専用の酔い止め薬は、症状を大きく軽減できるケースがあります。ただし、使用にはいくつかの注意点があります。
酔い止め薬を使うタイミングと注意点
動物病院では、犬の体質や年齢に合わせて安全な薬を処方してもらえます。一般的には、出発の30〜60分前に与えます。
- 必ず獣医師の診察を受け、処方を受けること
- 事前に体調チェック(空腹・下痢・嘔吐の有無)を行う
- 薬を与えたあとは眠気やふらつきに注意
- 持病や他の薬との併用は避ける
薬の種類によっては、眠気を誘う成分や、軽い脱水を引き起こす場合もあります。長距離ドライブの際には、休憩をこまめにとり、水分補給も忘れないようにしましょう。
人間用の薬を絶対に与えない理由
「人間の酔い止めを少しだけなら大丈夫」と思う方もいますが、これは非常に危険です。犬に人間用の薬を与えるのは絶対にNGです。
人間用の酔い止め薬に含まれる成分(ジメンヒドリナート、クロルフェニラミンなど)は、犬の体には強すぎることがあり、中毒症状を起こす危険があります。小型犬や子犬では、少量でも命に関わることがあります。
愛犬の体調や体重に合わせた薬を選ぶことが、最も安全で確実な方法です。迷ったときは必ず動物病院で相談しましょう。
獣医師に相談すべき症状の目安
車酔いの症状が慢性的に続く場合、内耳の病気や消化器系の不調など、他の原因が隠れていることもあります。早めに受診し、適切なケアを受けることが大切です。
薬はあくまで「補助的な手段」。根本的には、犬が安心できる環境とトレーニングの積み重ねが最も効果的な対策です。
まとめ|正しい対策で愛犬とのドライブを快適に
犬の車酔いは、体質だけでなく「慣れ・環境・安心感」によって大きく左右されます。焦らず少しずつ慣らしていくことで、ほとんどの犬が快適に車に乗れるようになります。
今回紹介した対策をまとめると、以下のポイントが重要です。
- 少しずつ車に慣らして「楽しい場所」と認識させる
- 揺れや匂いを抑えた快適な車内環境をつくる
- 食事・休憩・温度管理をしっかり行う
- クレート・ドライブボックスなどのグッズを活用する
- 必要に応じてサプリや獣医の相談を取り入れる
愛犬にとって「車=怖いもの」から「車=楽しいお出かけ」に変わると、ドライブはもっと特別な時間になります。飼い主の落ち着いた態度と優しい声が、何よりの酔い止めになるでしょう。
大切なのは、無理をさせず、少しずつ慣らすこと。時間をかけてトレーニングを続ければ、愛犬と一緒に遠出や旅行も楽しめるようになります。
愛犬のペースに合わせながら、安心・快適なドライブを実現しましょう。車酔い対策は、愛犬との絆をさらに深める第一歩です。