台所で見上げると、冷蔵庫のてっぺんに猫がいる。あの高さまで一息で上がってしまうので、下ろしてもまた戻ります。
重さで壊れないかが気になりますが、メーカーの取扱説明書を五機種ぶん読んでみると、天面には「トップテーブル」という名前がついていて、耐荷重は30kgでした。猫の体重はこの範囲にゆうゆう収まります。
では説明書は何を止めているのか。読み進めると、禁じられていたのは重さではなく置き方のほうで、しかもその条件に猫はことごとく当てはまります。五機種で確かめられたことを順に見ていきます。
冷蔵庫の天面には、もともと置き場としての名前があります
シャープの大型冷蔵庫の天面にあるのは、「オーブンレンジや電子レンジなどが置けます」という一文と、「耐熱温度100℃」「耐荷重30㎏」の表示です。アイリスオーヤマも同じ値で、AQUAの冷蔵庫は「荷重30kgまで」と記しています。
つまり天面は、電子レンジを置くことを前提に作られた面です。猫が4kgでも6kgでも、数字のうえでは余裕があります。テープを貼る前に、まず自分の冷蔵庫がどの型なのかを見ておくと迷いません。
| メーカー・品番 | 天面の呼び方 | 耐熱・耐荷重 | 上にあける空き |
|---|---|---|---|
| シャープ SJ-B914 | トップテーブル | 耐熱100℃/耐荷重30㎏ | 30cm以上 |
| アイリスオーヤマ | トップテーブル | 耐熱100℃/耐荷重30kg | お手元の説明書の図で確認 |
| ハイセンス HR-D16F | トップテーブル | 記載なし | お手元の説明書の図で確認 |
| AQUA AQR-FD7P(冷蔵庫) | トップテーブル | 荷重30kgまで | 上面10cm以上 |
| AQUA AQF-F12R(冷凍庫) | トップテーブル | 耐熱100℃/荷重30kgまで | 上面3cm以上 |
ただし、どの冷蔵庫でものせていいわけではありません
シャープは自社サイトで「冷蔵庫の上に物をのせないでください」と案内しています。そのすぐあとに、こう続きます。「トップテーブル付きの冷蔵庫は、上に物をのせられます」。
同じメーカーの中で答えが分かれているのは、機種によって天面の作りが違うからです。のせられる型は、説明書の「各部のなまえ」にトップテーブルという項目があり、耐熱温度や荷重もそこに併記されています。そこに何も書かれていなければ、のせることを想定していない型だと考えられます。
止められているのは重さではなく、置き方のほうです
五機種の注意書きを並べると、禁じ方がはっきり分かれていました。重さの上限はむしろ寛容で、細かく指定されているのは置く位置と安定のほうです。
| 禁じていること | 書かれている理由 | 出典 |
|---|---|---|
| 不安定なものを置かない | 記載なし(注意として列挙) | シャープ SJ-B914 |
| すべりやすいものを置かない | 落ちて、けがの原因 | AQUA AQF-F12R(冷凍庫) |
| ドアの上端にかかる位置に置かない | 落下事故のおそれ | アイリスオーヤマ |
| 手前の線より先に重量をかけない | 記載なし(注意として列挙) | シャープ SJ-B914 |
| 電子レンジはトップテーブルの中央にのせる | 記載なし(設置条件として指定) | シャープ SJ-B914 |
| 水を入れた容器をのせない | 火災・感電の原因 | アイリスオーヤマ/AQUA |
猫は不安定で、よく滑り、ドアの上端の真上で丸くなり、手前にも奥にも動きます。中央に留まることも約束してくれません。ここに挙がった禁止事項のほとんどに、そのまま当てはまってしまう置き物だといえます。
ハイセンスはさらに踏み込んでいて、「トップテーブルに物をのせる場合は、冷蔵庫の転倒防止とともに落下防止措置をしてください」と書いています。のせることを禁じるのではなく、落ちないようにする手当てのほうを求めています。
上にあけておく空きは、10㎝から30㎝あります
見落としやすいのが、天面そのものではなく、その上の空間です。AQUAの冷蔵庫は上面10cm以上、シャープの大型機は30cm以上を必要な空きとしていて、どちらの説明書にも「図は、必要最小設置寸法です」と添えられています。
猫がそこで丸くなっているあいだ、説明書が求めている空きは猫の体の高さぶん埋まります。一時的にいるだけの猫を説明書が想定しているわけではありませんが、天面に箱や毛布を置きっぱなしにしているなら、そちらは完全に「のせた物」に当たります。
「冷蔵庫の上は暖かい」は、説明書には書かれていません
猫が乗る理由として、天面の温かさを挙げる説明をよく見かけます。ところが五機種を全文で探しても、天面が熱くなるという記述は一件も出てきませんでした。
熱いと書かれているのは、いずれも側面のほうです。アイリスオーヤマは「約50〜55℃になることもありますが、発火することはありません」とし、ハイセンスは「本体の表面(両側面)がとくに熱く(50〜60℃)なりますが異常ではありません」と記しています。AQUAも側面が熱くなる理由を、露付きを防ぐパイプと放熱パイプで説明しています。
これは猫が高いところを好む理由まで否定するものではありません。ただ、暖を取りに来ていると考えて天面に毛布を敷くと、説明書が求めている空きのほうを先に埋めてしまいます。熱がこもるのは側面だと分かっていれば、壁とのすき間を詰めないという判断につながります。
ペットのことは、どの説明書にも書かれていません
五機種を通して「ペット」「猫」「動物」を探しましたが、室内で動物が乗る場面の記述はありませんでした。ハイセンスに「小動物等によって配線を傷つけられるおそれ」という一文がありますが、これは車庫や小屋で使わないようにという設置場所の注意で、天面の話ではありません。
ですから、人が物を置く前提で書かれた条件を、飼い主の側で読み替えることになります。幸い読み替えは難しくありません。「不安定」「すべる」「ドアの上端」「手前」という四つの言葉を、そのまま猫に置いてみれば足ります。
今日のうちに確かめられること
説明書を出してきて、最初の数ページにある「各部のなまえ」を開きます。天面にトップテーブルと書かれていて耐熱温度や荷重が添えてあれば、物をのせられる型です。何も書かれていなければ、のせない前提の型だと考えて進めます。
次に、天面の上にどれくらい空きがあるかを測ります。吊り戸棚や天井が近い置き方だと、10cmに届いていないことも多いはずです。そのうえで、いま天面に置いてあるものを見直します。すべるトレーや紙は猫の足元が流れる原因になりますし、ドアの上端にかかる位置の物は、猫が動いたときにそのまま落ちてしまうでしょう。
コンセントまわりが気になるなら、コードを止められない機器の扱いも同じ考え方でまとめています。こんろのスイッチなど、台所のほかの場所から先に手をつけたいときはキッチンまわりで先にふさぐところのほうが順番として早いかもしれません。
なお、家電に乗ること自体をやめさせたいという話であれば、降りるときの着地のほうが問題になることもあります。高いところから降りるときの話に、高さと降り方の考え方を書きました。同じ台所の家電なら、炊飯器の蒸気口の温度も公的機関が測っています。
よくある質問
- Q猫が冷蔵庫の上に乗ると、冷蔵庫に負担がかかりますか。
- A
読んだ五機種は、いずれも天面の耐荷重を30kgとしていました。猫の体重でその上限を超えることはまずありません。ただし説明書は重さとは別に、不安定なものやすべりやすいものを置かないよう求めています。重さよりも、落ちるかどうかで考えるほうが説明書の書き方に近いといえます。
- Q冷蔵庫の上が暖かいから猫が乗るのでしょうか。
- A
五機種の説明書に、天面が熱くなるという記述はありませんでした。熱くなる場所として挙げられているのは側面で、アイリスオーヤマは約50〜55℃、ハイセンスは50〜60℃という数字を示しています。天面の温かさを前提に毛布などを敷くと、上にあけておくべき空きのほうを埋めてしまいます。
- Q上にどれくらい空けておけばよいですか。
- A
機種ごとに違うので、説明書の据え付けのページを開くのが早道です。今回読んだなかでは、小さい型が10cm、大型機が30cmでした。いずれも「必要最小設置寸法」という書き方で、これ以上は詰めない下限を示す数字です。吊り戸棚の下に置いていると届いていないこともあるので、一度測ってみてください。
- Q天面に猫用のベッドを置いてもいいですか。
- A
トップテーブルと書かれた型なら、重さそのものは問題になりません。ただし置けば常設の「のせた物」になるので、上にあけておく空きはその高さぶん減ります。ドアの上端にかかる位置も、アイリスオーヤマが落下事故のおそれとして避けるよう求めています。ハイセンスのように落下防止措置を求めている説明書もあるので、置くなら中央に寄せて、ずれない形にしておくほうが説明書の指示には沿います。
まとめ
冷蔵庫の天面は、電子レンジを置くために作られた面でした。耐荷重30kgという数字を見るかぎり、猫の重さは論点になりません。
代わりに説明書が繰り返していたのは、不安定なものを置かない、すべるものを置かない、ドアの上端にかからないようにする、手前に重量をかけない、という四つでした。猫はそのどれにも当てはまるので、乗ること自体より落ち方のほうに目を向けるとつじつまが合います。
そして上の空きは10cmから30cm。まずは説明書の「各部のなまえ」と据え付けのページを開いて、自分の冷蔵庫がどちらの型でどの数字なのかを確かめるところからです。
