猫の好みは、実際に遊ばせてみるまで分かりません。家にある紙やトイレットペーパーの芯で作れば、気に入られなくても作り直せます。汚れたら捨てられるので、好みを探るのに向いていますよ。
この記事で作るのは4つです。紙を丸めるだけのボール、芯にフードを入れて転がすもの、芯を立てて並べるおやつ探し箱、そして段ボールに穴を開けるのぞき穴ボックス。材料はどれも家にあるもので、作る時間は1分から15分までが目安です。
作る時間が短い順に、材料と道具、手順をそのまま書いていきます。そのうえで、毛糸やリボンのように手作りで使いたくなる素材のうち、猫の体に入ると命に関わるものを分けて示しました。飲み込んでしまったときにやってはいけないことも、あわせてまとめました。
家にあるもので作れる猫のおもちゃ4つ
道具は、はさみかカッターがあれば足ります。刃物を使うあいだは猫を別の部屋で待たせて、できあがってから渡しましょう。猫は狩りの本能が強い動物なので、獲物のように不規則に動くものや、自分で工夫すると食べ物が出てくるものによく反応します。作る時間が短い順に見ていきましょう。
知育タイプのおもちゃに入れるフードは、その日のごはんから取り分けます。おやつを別に足すと、遊べば遊ぶほど1日の摂取量が増えてしまうからです。ドライフードなら1回に5粒から10粒ほどで十分に遊べます。
1. 紙を丸めるだけのボール
いちばん手軽なのが、コピー用紙や新聞紙を手でくしゃくしゃに丸めたボールです。軽いうえに不規則に転がるので、猫が前足で弾いたあとの動きが読めず、そのまま追いかける遊びになります。
大きさは、その猫が丸呑みできないことを基準にします。愛猫の口の幅と見比べて、口に丸ごとは入らないと分かるまで大きく丸めてください。子猫と成猫では口の大きさが違うので、同じ紙の量でも猫に合わせて加減します。紙は噛まれるとすぐにほぐれるので、破れて小さなかけらが出た時点で遊びを終わりにして、捨てましょう。
| 材料 | コピー用紙か新聞紙 1枚 |
|---|---|
| 道具 | なし(手で丸めるだけ) |
| 作る時間の目安 | 約1分 |
| 大きさの目安 | 猫の口に丸ごと入らない大きさ |
| 向いている遊び | 追いかける・前足で弾く |
2. トイレットペーパーの芯のフード転がし
トイレットペーパーの芯は、両端を折り込むだけで筒型の容器になります。中にドライフードを入れて小さな穴を開ければ、転がすたびに1粒ずつフードが出てくる知育おもちゃができますよ。
作り方は3手順です。まず芯の片方の端を軽くつぶして折り目をつけ、弧を描くように内側へ折り曲げます。反対側も同じように折り、筒の中が見えないほど重なっているかを確かめてください。最後にカッターで、フード1粒が通るくらいの穴を開ければできあがりです。テープも糊も使いません。開けたあとは縁を指でなぞって、切り口が尖っていないかを確かめてください。尖りが残っていたら、その場で切り直して整えます。
フードを5粒から10粒ほど入れて猫に渡します。はじめはなかなか出てこないので、飼い主が数回転がして見せてください。そのうち猫は、穴から出ることを自分で覚えます。すぐに出ないこと自体は退屈のもとではなく、いろいろ試しながら食べる時間が狩りの本能を満たす刺激になりますよ。芯に絵を描いて見分けをつけるなら、なめても害のないペンを選びましょう。
| 材料 | トイレットペーパーの芯 1本/ドライフード 5〜10粒 |
|---|---|
| 道具 | カッター |
| 作る時間の目安 | 約5分 |
| 大きさの目安 | 穴はフード1粒が通る大きさ |
| 向いている遊び | 転がして出す |
3. 芯を立てて並べるおやつ探し箱
同じ芯をもう少し使うと、鼻と前足の両方を使う難しめのおもちゃになります。浅い空き箱に芯を立ててすき間なく並べ、いくつかの芯の底におやつを1粒ずつ落とすだけです。
芯は箱の縁より少し高くなるよう切りそろえると、猫が上からのぞき込む形になります。すべての芯には入れず、いくつかを空のままにしておくと、外れがあるぶん探す時間が延びますよ。芯どうしがぐらつくときは、箱の内寸に合わせて本数を足して詰めます。それでも猫が箱を倒せば芯は散らばるので、遊び終わりに本数を数えて回収してください。
前足が届かない深さだと、猫は途中であきらめます。うまくいかないようなら芯を短く切り直して、届く深さから始めるのがおすすめです。
| 材料 | トイレットペーパーの芯 数本(箱の内寸が埋まる本数)/浅い空き箱 1つ/おやつ |
|---|---|
| 道具 | はさみ |
| 作る時間の目安 | 約10分 |
| 大きさの目安 | 芯の高さは箱の縁より少し高め |
| 向いている遊び | 前足でかき出す |
4. 段ボールののぞき穴ボックス
段ボール箱は、ふたを閉じて側面と上面に穴を開けるだけで、中をのぞいて手を入れる遊び場になります。紙のボールや小さなおもちゃを転がし入れておくと、猫は穴から前足を差し込んで取り出そうとしますよ。
穴は、前足は入るけれど頭は入らない大きさにします。寸法で決めずに、はじめは小さめに開けて、猫が前足を差し込めないようなら少しずつ広げてください。猫に試させるのは刃を置いてからにして、広げるときはもう一度猫を別の部屋へ移してください。広げるのをやめる位置は、愛猫の頭の幅と見比べて決めます。段ボールは押されるとたわむので、頭の幅に近づいたところで手を止めておきましょう。切ったあとは指でなぞって、ささくれが残っていないかを確かめてください。
穴の数を増やしたり、高さをずらして開けたりすると、同じ箱のまま難しさを変えられます。かじられて縁がぼろぼろになってきたら、直すより新しい箱で作り直すほうが早いです。
| 材料 | 段ボール箱 1つ/中に入れる紙のボールや小さなおもちゃ |
|---|---|
| 道具 | カッター |
| 作る時間の目安 | 約15分 |
| 大きさの目安 | 穴は前足が入り、頭は入らない大きさ |
| 向いている遊び | のぞく・穴に前足を入れる |
手作りに使わないほうがいい素材
作れるものが決まったら、使わない素材も先に決めておきましょう。手作りのおもちゃで起きる事故の多くは、材料を選ぶ段階で防げます。
とくに危ないのが、毛糸やリボン、ミシン糸のような細長いものです。飲み込むと片方の端が舌の付け根や胃の出口、腸に引っかかり、もう片方が腸の動きに乗って先へ進みます。すると腸がアコーデオン状にたぐり寄せられて動かなくなります。さらに進めば血流が滞って壊死したり、糸が腸を切ってしまったりするのです。ひもでぶら下がるおもちゃを遊んでいるうちに壊し、そのまま飲み込む事故が実際に起きています。
異物が消化管に詰まったときは、繰り返す嘔吐、食欲不振、元気の低下から始まります。厄介なのは、毛玉を吐くときや胃腸炎と見分けがつきにくいことです。進むとお腹を痛がる、血便が出るといった状態になります。ぐったりしている、呼吸が速いといった様子も見逃さないでください。腸が詰まると数日で急速に悪化し、症状が出てから1週間以内に手を打たないと命に関わります。ひもや布が見当たらないことに気づいたら、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。
連絡してから受診するまでのあいだに、やってはいけないことが2つあります。ひとつは、口や肛門から糸が見えていても引っ張ることです。糸は腸の壁とこすれて動かないので、引いても抜けず、胃や腸を切ってしまいます。もうひとつは、吐かせようとすることです。口の中に手を入れる、水や牛乳、食塩を飲ませるといった処置はしないでください。動物病院に着くまで待ちます。待つあいだは、何をいつどのくらい飲み込んだかを整理して、同じ物が残っていれば持って行きます。
| 使わない素材 | 避ける理由 | 代わりにどうするか |
|---|---|---|
| 毛糸・リボン・ミシン糸 | 腸がたぐり寄せられる | 紙・段ボール |
| 鈴・ビーズ・ボタン | 丸呑みして詰まる | 音の出る部品は足さない |
| ヘアゴム・輪ゴム | 丸呑みして詰まる | 紙を丸めたボール |
| アルミホイル・ビニール | かじって飲み込む | コピー用紙・新聞紙 |
| ペットボトルのふた | 丸呑みできる大きさ | 芯のフード転がし |
| 接着剤・塗料 | においが刺激になる | 折り込みだけで組む |
| マスキングテープ・金属 | はがして飲み込む | 色を付けるなら猫に無害なペン |
接着剤もテープも使わずに組み立てられるところが、紙と段ボールの利点です。塗料や接着剤に含まれる化学物質は、嗅覚の鋭い猫にとって想像以上のストレスになることがあります。色を付けたいなら、なめても害のないペンだけにとどめておきましょう。
遊ばせ方で決めておく3つ
どう遊ばせるかで、安全も、猫が飽きるまでの時間も変わります。次の3つを決めておけば十分です。
遊ぶあいだは目を離さないでおこう
紙も段ボールも、猫が本気で噛めばどこかが壊れる前提だと考えてください。遊んでいるあいだは同じ部屋にいて、噛みちぎった破片を飲み込む前に取り上げられるようにしておきましょう。獲物に見立てたものを噛んで壊すところまでが、猫には一続きの行動です。壊れること自体は止められないと分かっていれば、あわてずに済みますよ。
遊び終わったら片づけよう
遊びが終わったら、猫が自分では開けられない引き出しや戸棚にしまいます。市販のひも付きのおもちゃを出したままにすると、飼い主がいない時間に噛みちぎって飲み込む事故につながるからです。紙や段ボールも、放っておくうちに少しずつ食べてしまう猫がいるので、しまう対象は同じだと考えてください。
壊れたら作り直そう
紙のおもちゃは消耗品です。破れて小さなかけらが出たら、その場で捨てて新しく作りましょう。1分で作り直せるのが手作りの強みですから、テープで補修して使い続けるより、こまめに替えるほうが安全ですし、結局は早く済みます。
手作りではまかないきれない場面
手作りで用意できるのは、飼い主が見ていられる時間の遊びです。紙のおもちゃは消耗品なので、長く使いたいものや、部屋に上下の動きを足したいものは、別の手を考えることになります。
段ボールをもっと大きく使いたくなったら、猫ハウスの作例と市販品を並べた記事が参考になります。

壁を使った上下の運動は、猫の体重がかかるので、紙や段ボールでは受けきれません。選び方と設置の注意点は、市販品も本格的な手作りもこちらにまとめています。

よくある質問
- Q作ったおもちゃで遊んでくれません。どうすればいいですか?
- A
まず、難しすぎないかを疑ってみてください。フード転がしなら、穴の数を増やすと出やすくなり、簡単に出てくるぶん続けたくなります。そのうえで、猫の前で飼い主が動かしてみましょう。転がして音を立てる、穴からフードを1粒だけ落として見せる、といった一手間で興味を持つことがあります。それでも反応がないなら、形や素材の好みが合っていない可能性が高いです。同じおもちゃでも猫によって食いつきははっきり分かれるので、紙、筒、段ボールと種類を変えて試すほうが早く見つかります。
- Q紙や段ボールそのものを食べてしまう猫にも作って大丈夫ですか?
- A
食べ物ではないものを繰り返し口にする猫では、手作りかどうかにかかわらず素材の管理が必要になります。噛むだけでなく飲み込むところまでいくようなら、紙も段ボールも遊び道具にしないほうが安全です。布やビニールを日常的に食べる様子があるときは行動の面から相談できるので、かかりつけの動物病院に一度話してみてください。
作ったおもちゃで遊んだあと、繰り返し吐く、食欲が落ちる、じっとうずくまるといった様子が続くことがあります。飲み込んでいる可能性があるので、ひもや布が見当たらないときも含めて、早めにかかりつけの動物病院で相談してください。お腹を痛がる、血便が出る、ぐったりするといった状態が加わったときは、すぐに受診してください。
※おもちゃの作り方と材料の注意点は富山県「適正飼育お知らせノート」および広島県動物愛護センターの公開情報、誤飲と線状異物の症状・経過および受診までにしてはいけない処置は次郎丸動物病院、日本動物医療センター、あいむ動物病院西船橋、しょうどうぶつ病院、konomi動物病院、姉ヶ崎どうぶつ病院の各院の解説、室内の事故防止と化学物質の注意は環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」に基づきます(2026年9月1日確認)。
