お腹がリズミカルに動いて、体が小さく跳ねる。ヒクッ、ヒクッと繰り返す。
しゃっくりだと思うけれど、本当にそうなのか。痙攣だったらどうしよう。その不安に、順番に答えます。
- 猫のしゃっくりが起きるしくみと、起きやすい場面
- 咳・逆くしゃみ・えずきとの見分け方
- 痙攣かどうかを分ける、意識という手がかり
- 猫のてんかんは犬より少ないという実数
- 年齢によって疑う病気が変わること
猫もしゃっくりをする
横隔膜が短く縮む動き
しゃっくりは、肺の下にある横隔膜が短く縮むことで起こります。人と同じしくみで、猫にも起こります。
お腹のあたりが一定のリズムで動き、体が小さく跳ねます。数分でおさまることがほとんどです。
起きやすい場面
早食いが多いなら、器を浅いものに替える、少量ずつ分けて出す。それだけで減ることがあります。
しゃっくりに見えて、違うもの
心配なのはここです。似た動きで、別のことが起きている場合があります。
咳・逆くしゃみ
首を前に伸ばして、体を低くして音を出す。これは咳の姿勢です。しゃっくりと違い、姿勢が変わります。
鼻から勢いよく息を吸い込む動きなら逆くしゃみです。見分け方は別の記事にまとめています。

えずき(吐く前の動き)
お腹を波打たせながら、体を伸ばして前かがみになる動きです。しゃっくりより大きく、全身を使います。
吐かずに終わることもありますが、繰り返すなら毛玉や異物の可能性があります。
痙攣(けいれん)
いちばん心配されるのがこれです。分ける手がかりは、しゃっくりの回数でも強さでもありません。
- 名前を呼んで反応するか
- 目線がこちらを追うか
- 倒れていないか。立っていられるか
- よだれ、失禁、脱糞をともなっていないか
- 終わったあとにふらつく、ぼんやりする時間があるか
しゃっくりの猫は、途中でも普通に反応します。呼べば見ますし、歩いていきます。ここが大きな違いです。
⚠️ 獣医師・専門家へのご相談のお願い
猫の健康に関することは、かかりつけの獣医師にご相談ください。この記事は診断や治療の判断に代わるものではありません。
猫のてんかんは、犬より少ない
痙攣という言葉から、てんかんを思い浮かべる方は多いと思います。実際の数字を見ておきます。
日本獣医生命科学大学の長谷川大輔氏の総説では、てんかんの発生率を、犬で全体の約0.6〜1.0%、猫で0.04〜0.5%と推定しています。
同じ総説は、犬や猫において「てんかんは最も遭遇頻度の高い脳疾患である」とも述べています。脳の病気のなかでは多いものの、猫全体で見れば低い数字です。
てんかんの定義そのものも厳密です。同総説は「24 時間以上あけて少なくとも2 回以上の非誘発性てんかん発作が生じる病態」と説明しています。
つまり1回のしゃっくりらしき動きだけで、てんかんと考える必要はありません。
年齢によって、疑う病気が変わる
もし本当に痙攣だった場合、年齢が大きな手がかりになります。
岐阜大学附属動物病院 神経科は「脳腫瘍の最も多い症状は痙攣(けいれん)です」としたうえで、次のように説明しています。
「動物が若い場合は、てんかん(特発性てんかん)や脳炎などの可能性が高いですが、中高齢の動物で痙攣が繰り返し起きる場合は、脳腫瘍の可能性があります」
ここで大事なのは、シニアの猫で繰り返すときは早めに動物病院へ、ということです。年齢のせいにしないでください。
動物病院で相談したい様子
- 呼びかけに反応しない、意識がはっきりしない
- 倒れる、体が突っ張る、手足を規則的に動かす
- よだれ、失禁をともなう
- 長く続く、1日に何度も繰り返す
- 口を開けて呼吸している、呼吸が速く苦しそう
- 食欲が落ちている、元気がない
- シニアになってから始まった、繰り返している
動画に撮っておいてください。診察室では出ないことが多く、映像があると獣医師の判断が早くなります。
撮るときは全身が入るようにします。顔だけだと、体の動きや姿勢が分かりません。
よくある質問
- Q猫のしゃっくりは止めたほうがいいですか?
- A
数分でおさまるなら、そのまま見ていて大丈夫です。人にするように驚かせる、無理に水を飲ませるといった方法は避けてください。早食いが原因なら、食べ方を変えるほうが確実です。
- Q寝ているときにヒクヒクします。大丈夫ですか?
- A
眠っている猫が小さく体を動かすのはよくあることです。声をかけて普通に目を覚まし、そのあと変わりなく過ごせるなら心配は少なめです。起こしても反応が鈍いときは受診してください。
- Qしゃっくりみたいな動きが痙攣かどうか、どう見分けますか?
- A
手がかりは意識です。呼びかけに反応し、目線が合い、普通に動けるならしゃっくりの可能性が高くなります。反応がない、倒れる、よだれや失禁をともなうときは、動画を持って受診してください。
- Q子猫のしゃっくりが多いのですが、問題ありますか?
- A
子猫の時期は比較的よく見られ、成長とともに減っていきます。食欲と体重が順調で、元気に遊べているなら様子を見てかまいません。体重が増えない、下痢をともなうときは受診してください。
まとめ
猫のしゃっくりは横隔膜の動きによるもので、数分でおさまるなら心配はいりません。
見分けるための手がかりは、意識があるかどうかです。呼んで反応するなら、まず落ち着いてください。反応がないとき、シニアで繰り返すときは、動画を持って動物病院へ。


参考: 長谷川大輔(日本獣医生命科学大学 獣医放射線学研究室)「犬猫のてんかん」日本医科大学医学会雑誌 2022年 18巻4号。
岐阜大学附属動物病院 神経科「脳の疾患」。いずれも2026年8月21日に確認しました。
