猫の耳が左右にぺたんと倒れて、イカのひれのような形になることがあります。この形はいつのまにか「イカ耳」と呼ばれるようになり、機嫌が悪いサインとして紹介されることも多くなりました。
ただ、実際に猫を見ていると、遊びに夢中なときにも、物音に気づいたときにも、同じ形になります。耳の形だけでは、どの気持ちなのかは決まりません。
見るべきは、しっぽと目と姿勢の3か所。同じイカ耳でも、この3つが場面ごとに違う動きをするので、そこから意味を絞り込めます。耳が戻らないときに考えたいことも、最後にまとめました。
イカ耳は、耳が横に倒れた状態のこと
猫の耳は正面を向いているのがふだんの位置。そこから左右の外側へ倒れると頭の上が平らになり、その形がイカの頭に似ていることから、イカ耳と呼ばれるようになりました。
猫の耳は左右それぞれが別々に動くので、片方だけ倒れることもあります。音のした方向へ片耳だけ向けたまま、もう片方は正面のまま、という場面もよくあるものです。
イカ耳になる場面は、ひとつではない
同じイカ耳でも、猫が置かれている状況はかなり違います。よく見られる4つの場面を並べてみましょう。
音や気配に気づいたとき
物音がしたほうへ意識を向けているときに、耳が倒れたり後ろを向いたりします。このときの猫は動きを止めて、目を大きく開けたまま一点を見ていることが多いはずです。危険を感じているというより、情報を集めている途中の状態です。
遊びに夢中なとき
おもちゃに飛びかかる直前にも、耳はぺたんと倒れます。狩りの動きに入ると顔まわりを守る姿勢になるので、機嫌の良し悪しとは関係がありません。
この場面のイカ耳は、しっぽを小刻みに動かしていたり、お尻を左右に振っていたりと、動きの前ぶれとセットで出ます。
不安なとき・こわいとき
動物病院の待合室や、来客があったときのように、逃げ場が少ない状況でも耳は倒れます。このときは体を低くして小さくまとめ、しっぽを体に巻きこむような姿勢になりがちです。
やめてほしいとき
撫でられている最中に耳だけがすっと倒れたなら、そこから先は触ってほしくないという合図のことがあります。お腹や尻尾の付け根など、猫が触られたくない場所に手が伸びたときに出やすいものです。
そのまま続けると、噛む・前足で押しのけるといった、もっとはっきりした断り方に進むことも。耳が倒れた時点で手を止めておくと、お互いに嫌な思いをせずにすみます。
どの意味かは、耳以外の3か所で絞り込める
耳の形は同じでも、体のほかの部分は場面ごとに違う動きをしているもの。しっぽ・目・姿勢の3か所を一緒に見ると、意味をかなり絞り込めます。
しっぽ
遊びの前なら、しっぽの先だけが小刻みに動きます。こわがっているときは体に巻きつけるか、下げたまま動かしません。反対に、しっぽを大きく左右に打ちつけているなら、やめてほしいという気持ちが強めです。
しっぽの動きごとの意味は、別の記事で詳しくまとめています。

目
瞳孔が大きく開いているなら、興奮しているか警戒しています。遊びのときも同じように開くので、これだけでは決められません。目を細めてゆっくりまばたきするようなら、緊張はしていない状態です。
姿勢
前のめりで重心が前にあるなら、遊びか興味のどちらか。体を低くして後ろへ引いているなら、不安や警戒のほうです。座ったまま耳だけが倒れているなら、触られ方への反応であることが多くなります。
しっぽの先が小刻み+前のめり = 遊びのスイッチが入っている
体を低くする+しっぽを巻きこむ = 不安・警戒
しっぽを打ちつける+座ったまま = 触るのをやめてほしい
動きが止まる+一点を見る = 音のほうへ意識を向けている
イカ耳が戻らないときは、気持ちの話ではないかもしれない
ここまでの4つの場面は、どれもきっかけが終われば耳がもとの位置に戻るものでした。状況が変わっても倒れたままだったり、一日じゅう同じ状態が続いたりするなら、耳そのものに不快感がある可能性を考えます。
耳をしきりに後ろ足でかく、頭を左右に振る、耳のふちを何度もこすりつける。こうした動きがイカ耳といっしょに出ているなら、気持ちを読み取ろうとするより先に、耳の中の様子を見てあげてください。
動物病院で相談したい様子
耳の状態は自宅では見えにくいので、次のような様子があれば早めに相談すると安心です。
耳が倒れたままで、状況が変わっても戻らない
耳をかく回数が増えた、頭を振る動きが続く
耳の中に黒い汚れやべたつきがある、においが強くなった
耳をさわられるのを急に嫌がるようになった
首をかしげたままにする、まっすぐ歩きにくそうにしている
耳の中は自分ではのぞきにくいので、無理に綿棒などで触らず、そのままの状態で連れて行くほうが診察は進みます。かいている場面をスマホで撮っておくと、頻度も伝わります。
まとめ
イカ耳は、機嫌が悪いときだけの形ではありません。音に気づいたとき、遊びに入る直前、不安なとき、触るのをやめてほしいとき。同じ形が4つの場面で出るので、耳だけを見て気持ちを決めると読み違えます。
しっぽ・目・姿勢の3か所を一緒に見れば、どの場面なのかはかなり絞り込めます。そのうえで、きっかけが終わっても耳が戻らないときだけ、気持ちではなく体のほうへ目を向ければ十分です。


